Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2017年05月号掲載

HOWL BE QUIET

メンバー:竹縄 航太(Vo/Gt/Pf) 黒木 健志(Gt) 橋本 佳紀(Ba) 岩野 亨(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

"Mr. HOLIC"というタイトルは、HOWL BE QUIETというバンドのセンスをよく表した言葉だ。"HOLIC(=依存症)"という一見ダークな意味を持つ言葉も、"Mr."がつくことでキャッチーでユーモラス、加えてキュートさまでも生まれてくるから不思議である。そのどこかいびつなアンバランスさや違和感がもたらすスパイスが、彼らの個性と言っていいだろう。歌詞は竹縄航太の赤裸々な心情が綴られ、サウンドには各プレイヤーの感性が発揮された、バンドにとって3年半ぶりの、そしてメジャー1枚目のアルバム。すべてが少年の笑顔のように、とびきりの輝きを放っている。

『Mr. HOLIC』は飾らない本音と真心を伝えてくるような作品だと思いました。ラヴ・ソングが多いのは、昨年12月にリリースしたシングルの表題である「サネカズラ」からの流れでしょうか?

竹縄:「サネカズラ」(Track.6)の延長線ですね。あのときにかっこつけてない自分を知ってもらいたくて、ありのままの自分を曝け出して――あのシングルを作ってリリースしてみて、"あ、やっぱ俺、これすげぇ性に合ってるな。恋愛についてぐだぐだ言ってるのが好きなんだな"と改めて思ったんですよね(笑)。それに気づけたことで1本芯が通ったんです。アルバムに入った新曲はそのあとに書いたものだし、それが一番書きやすかった。

-恋愛観を吐き出すことで、竹縄さんの心情がすっきりするということ?

竹縄:すっきり......というよりは、もうちょっとエゴかも。こういうことを言っている自分が好きなのかもしれないし――よっぽど恋愛に対して思うことがあるみたいで、いろんな言葉が出てきて。それは自分にとっても発見でした。好きな女の子のことを想ったときに出てくる言葉の量が圧倒的に多すぎる。それがアルバムの曲を作るうえですごく燃料になったんです。それを自覚したことで、言いたいこと、歌いたいことが溢れて......"文句を言いたい"に近いかもしれないんですけど(笑)、そういうものがブワーッと出てきて。

-竹縄さんにとっての恋愛は、ご自身の支えになっている、というのとはまた違う原動力を生むものなのかしら。

竹縄:支え......!? 支え......ではないと思う。考えたことなかったな。

-『Mr. HOLIC』を聴いて、さらにお話を聞いていると、竹縄さんの場合は"恋愛で得た幸福感を生きる気力にしている、楽曲にしている"というのとは違うのかなと。

竹縄:恋愛に生きているとか、恋愛することで力をもらっているというよりは、恋愛のことや好きな女の子のことを考えたときに湧き上がる怒りとか不甲斐なさ、情けなさ......そういうネガティヴな感情が言葉を生み出すエネルギーになっているのかもしれない。自分が"さぁ歌を作ろう"と思って、とめどなく言いたいことが出てくるときは自然体なんです。自分とまったく接点のないことを歌ってくれと言われても、どうしても(テーマと自分の間に)距離は生じてくるじゃないですか。

-そうですね。理解が浅い状態で歌にしたとしても、説得力は生まれないですし。

竹縄:思い入れの深さや、日頃それについてどれだけ考えているかで、その距離というものは縮まると思うんです。身近であれば身近であるほど自分にとっての刺激になるし、影響も大きい。恋愛はすっごい身近すぎるおかげで、怒りも感謝もいろんな感情がいくらでも出てくるし、それは自分にとって自然体の状態で生まれてくる感情だし。恋愛体質かどうかは自分でははっきりわからないんですけど、ただ恋愛のことになると、めちゃくちゃ話したくなる。そういう感覚に近いというか。

-恋愛観はその人の本質的な部分が浮き彫りになると思います。なかなかみんな......特にかっこつけたい人は、竹縄さんみたいにそれを赤裸々に吐き出すこともしないし、曲にするなんてもってのほかだと思いますけど(笑)。

黒木:そうそう、そこなんですよ(笑)。

竹縄:かっこいい恋愛観を語るような奴にはなりたくないんです(笑)。かっこつけるのが嫌だなと思ったんですよ。こうやってインタビューで話したりしているときとか、特に飲みに行ったりするときなんて普通に顔を見て酒飲みながら"この前こういうことがあってさ~......"って話すじゃないですか。このテンション、この熱量で歌を書きたいと思ったんですよね。歌にするからかっこいい言葉を使うとか、美化するとか、そういうことをせずになるべく自然体でいたい。だから俺はこのアルバムで、聴いてくれる人とサシで飲みたかったんだと思います。

-なるほど。

竹縄:大勢いる飲み会だとお互いの深いところまで話せなかったりするけど、サシで飲んだら何がなんでも話すしかなくて。それくらいの距離で、"俺こう思ってるんだ"とか"こんなこと言われたんだけどそれマジ許せなくて......"と話したかったし、俺がこんだけ自分のことを吐き出してるんだから、聴いてくれる人たちもそれくらいフレンドリーにがんがん来てほしい。俺は自然体な人とそういうことがしたいなと思ったから、自分もそういう人間でありたいなと思ったんですよね。『Mr. HOLIC』を作るうえで、なるべく自然体で、なるべくかっこつけてない竹縄航太でありたかった。

-"pre-HOLIC TOUR"の初日の赤坂BLITZ公演も、まさに"なるべく自然体で、なるべくかっこつけてない竹縄航太"でした。

竹縄:いままでの自分は、ライヴも音源もどこか八方美人だったなと思う。ようやく最近、地に足をつけてお客さんの目を見られるようになった感じがあるんですよ。それはこのアルバムを作ることができた、こういう気持ちをちゃんと自分の言葉で歌えることができたという自信もあるのかな。曲にもライヴにも自分の自然体を出せているので、すごくいいテンションだなと思います。

-そんなフロントマンは、楽器隊のみなさんにどう映っていますか?

黒木:僕ら3人は竹(竹縄)がどんなふうに女性と接しているかはもちろんわからないんですけど、例えば亨と竹が接しているのを見て"あ、竹縄は完全に亨にも依存してるな"と思うことがあるんです。人に対して依存しやすい。LINEの既読を1時間つけないだけで "クロ(黒木)とはっしー(橋本)、通知欄で確認してそのまま無視してるでしょ!"ってすごく怒るんですよ(笑)。それは僕も悪かったんですけど。

-なんて優しいメンバーなんでしょう。

黒木:今回なぜこういう歌詞になったかというと、やっぱり竹が"話さなくてもわかるでしょう?"という考え方をまったく信じていないからだと思うんです。"話さないと絶対わからないし、ちゃんと話して理解し合わないと"と思っている。それは恋愛においてかっこ悪いことだったりするかもしれないし、ダサいかもしれないけど、それでも構わず自分の想いを言葉にしてぶつけて、相手の想いを聞かせてほしいと訴える――それは友達として、同じバンドの仲間として接していても感じる部分で。だから今回の歌詞は、僕も"自分にもこういう想いはあるな"と思う部分が多かったですね。

岩野:うん。そうだね。