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INTERVIEW

Japanese

ドレスコーズ

2025年05月号掲載

ドレスコーズ

Interviewer:石角 友香

僕がロックンロールと言うときは本気です


-このアルバムには時代だったり志磨さんの今の年齢だったり、全部が関係してると思うんです。子どもみたいに全部壊して終わり、ではなく、これからを生きていくためのものという感じはしました。

そうですね。今の僕が壊すべきものはかつてのように簡単に壊せるものではない。でも、だからこそ自分たちは今一度......希望を持たんといかん、陽気にやらねばならん。決してニヒリズムみたいなものに飲み込まれてはいけない。負けてはいけない。今、そういうふうに僕は思っています。

-「ミスフィッツ」という曲もありますが、まさに"不適合者"なわけじゃないですか。でもミスフィッツなやつが生きていくにも、昔と違って2025年なりのやり方が示唆されていて、そこが全然違いますね。

あぁ、そうですね。

-ハッとするというか、そういうところが大きいアルバムだなと。

ツアーで過去の曲を歌い、それはもちろん僕にとって何よりの財産であるし、もちろん誇りに思っていますし、素晴らしいものであることに変わりはないんですけど、それで充分かというとそうではなかったんですよ。怒りとかやるせなさ、あるいは希望であるとか、自分の今の切実さを満たしてくれるものではなかったんです。そう、足りなかったんですよ。昔の曲じゃ足りないっていうすごく単純な理由でこのアルバムはできてるんです。今の僕に足るものを作らないと歌うものがないっていう。過去には"死ね!!!"とか(『ビューティフル / 愛する or die』表題曲「愛する or die」)そんな曲もありましたけど、今の僕の怒りがそれで収まるかというと、それでも足りないんですよ。全部ぶち壊すとか、そういうのでも足りない。今自分が歌うに足りる曲を作るというのでこれらの曲はできています。

-音楽的なことも含め、「ロックンロール・ベイビーナウ」はいわゆる王道のスリーコード的な部分もありながら、メッセージが全然過去と違うんですよね。昔はロックンロールは自分たち若者のものであり、大人に分かってたまるかみたいな。

うん、そうですね。

-でもこの曲ではそうじゃなくて、全世代のものだと歌っていて、今の志磨さんはそこにいるんだなと。

うんうん。それはどうですか。意外ですか?

-スカッとするというと違って、もうちょっと重いものも感じます。これが全然違う音楽性でこの歌詞だったら"新しいことに挑戦したんだ"と思うけど、そうじゃなくてあくまでロックンロールなので。

そうなんです。

-それがこのアルバムを"強いな"と感じる所以で。

あぁ、良かった。もちろん昔も今もロックンロールを信じていることに変わりはありませんし、例えばファンク・ミュージック(2017年リリースの5thアルバム『平凡』)であったりジプシー・ミュージック(2019年リリースの6thアルバム『ジャズ』)であったり、様々なスタイルに挑戦しながら作品を作ることもできるんですけど、僕がロックンロールと言うときは本気です。強大な敵を相手に本気で挑むときなんです。
僕が"足りない"って言ったのは、そういったロックンロール・ミュージックが今現在見当たらないということでもあるし。もちろん僕が聴きこぼしているだけで、そういったバンドはいるだろうし、昔のレコードを引っ張り出せばプロテスト・ソングなんてそれこそ山程ありますけど。でも、やっぱり今のこの状況に抵抗するために作られたロックンロール・ミュージックが僕は聴きたいんです。でも見つからない。だから作る、というまるで自分が音楽を始めたときみたいなすごくまっとうなプロセス。こういう音楽が聴きたい。でも見つからない。だったら自分が作る。そのときもやっぱりロックンロールだった。そういうプロセスを経てこのアルバムは生まれました。

-自分の中の強い感情から生まれていると。

そう。ロックンロール・ファンとしての。それは、この状況を嘆いたり、冷笑したりしてるようじゃダメなんです。それに真っ向から勝ちに行くというのが僕の狙いで、僕の決意なんで。そのためにはさすがにちょっと新しいことを試してみるかというスタイルでは敵わないんで、僕が知り得る一番強いカードを切るという。

-じゃあ昨年のツアーのときとは全然違う気持ちで臨めるんじゃないですか?

そう。振り返っている場合じゃないっすっていう感じ。この世界に対する諦めとか、やるせなさとか、そういうものに勝ちたい。希望を失いたくない。今のこの時代に希望を持つということは悲しいことにすごく困難です。だから全力で行かないと。ロックンロールをやらないと。

-("the dresscodes TOUR 2025"が)過去最大規模のツアーになった理由も分かります。

うん、ツアーもそう。本当に今が肝心なので、だから余計にね、しっかりしなければと思っています(笑)。この最悪な世の中で、僕ぐらいはしっかりしなければ、と(笑)。

RELEASE INFORMATION

ドレスコーズ
ALBUM
『†』
2025.5.14 ON SALE

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【数量限定特装盤】CD+Blu-ray+GOODS
NKCD-10537/¥13,000(税込)

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【初回限定盤】CD+Blu-ray
KICS-94200/¥7,700(税込)

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【通常盤】CD
KICS-4200/¥3,300(税込)

[EVIL LINE RECORDS]