Japanese
ドレスコーズ
2023年09月号掲載
Interviewer:石角 友香
コロナ禍のみならず、閉塞する現実への反抗と逃亡を幼い夏の恋に結晶させた前作『戀愛大全』(2022年10月リリースの8thアルバム)から1年空かずにリリースされるニュー・アルバム『式日散花(読み:しきじつさんか)』。前作が生命の輝きに満ちたものであったとするなら、今作に一貫しているのは様々な別れの感覚だ。この対照を成すテーマの出どころとはなんなのか。その発端となる2023年の出来事について、じっくりと言葉を探しながら進んでいったのがこのインタビューである。今年に入って多くのミュージック・ラヴァーが感じていることが、おそらく初めてアルバムという単位で表現された本作。作品のサブテキストとして読んでもらえると幸いだ。
-アルバムに先駆けて単曲をシングルとして先行配信されたり、ミュージック・ビデオも作られていたので、アルバムとしてまとまるまでのプロセスをお聞きできればと思います。
去年はアルバムっていう大きいゴールを目指さずに、「エロイーズ」(2022年5月配信リリースの楽曲)、「聖者」(2022年8月配信リリースの楽曲)とシングルを立て続けにリリースして、その間に生まれた曲を含めてあとからアルバムにまとめるという作り方を試してみたんです。そうやって完成した『戀愛大全』をリリースしてツアー("the dresscodes TOUR2022 『戀愛遊行』")を回って、さらに自分の好きなミュージシャンをゲストに招くツーマン・ライヴ・シリーズも同時に始めて。そういったライヴで次々に新曲を披露して、即座にシングルカットするっていうやり方がとてもうまくいっているので、それを継続してもう少し続けようと思いまして。なので『戀愛大全』から間髪あけずにずっと制作を続けた結果、こういうものが生まれました。で、話がちょっと前後しますが、そうやって新たな曲を作り始めたばかりのタイミングに映画監督の山戸結希さんが久しぶりにご連絡くださって。コロナ禍中はどこの世界もそうですけど、なかなか思うような活動ができず、ようやくまた思い通りの制作が可能になった今、まず最初に何を撮りたいかと考えたときに"志磨さんの音楽にカメラを向けてみたいと思いました"とおっしゃってくださったんです。こちらもちょうど曲を作り始めたばかりだったので、渡りに舟というか。そこで今考えていることについてしばらく話し合って。"僕は今、死について考えています"って(笑)。人は様々な"別れ"を経験したのち、その最たるものとして絶対的で究極的な"死"という別れに辿り着く。そのことについての曲を作りたくて、もし完成したらぜひそのミュージック・ビデオを山戸さんにお願いしたいですとお伝えして。それで最初にできたのが「最低なともだち」という曲です。そのあとも、山戸さんによって映像が与えられることを前提に曲を作り続けて、そのまま「少年セゾン」とか、今アルバムに入る曲が次々とできていったという感じですね。
-山戸さんにミュージック・ビデオを撮っていただくという前提がありつつも、純粋に「最低なともだち」という曲ができる背景もあるわけじゃないですか。そこで言うとどういうことが大きかったんですか?
2月に僕がずっと尊敬していたアート・ディレクターの信藤三雄さんが亡くなられて。晩年はあまりご一緒できなかったんですが、信藤さんには毛皮のマリーズの頃から何作もアートワークを手掛けていただいて、僕の音楽にまつわるとても大きな要素をずっとお任せしてきた方だったんです。特に毛皮のマリーズのヴィジュアルは信藤さんのフィルターを通して世の中に出たものであって、世間が見ていた僕らの姿は、実は信藤さんによって作られたものだったわけです。つまり僕と信藤さんは共作者でもあり共犯者のような関係でもあった。そんな大切な人を亡くしたことが僕は――幸せなことに、今までほとんど経験したことがなくて。それでもう、びっくらこきまして。訃報を知らされたときは追悼どころじゃなくて、パニックというか、まさに混乱してしまって。"なんで?"みたいな。理不尽に奪われた、引き離されたという気持ちでした。"なんでお別れしないといけないの?"、"はぁ? 聞いてないんですけど?"みたいな、聞き分けのない子どもみたいな状態ですね。それで「最低なともだち」ができて──それと前後して、自分がすごく影響を受けたミュージシャンも立て続けにこの世を去られたことも重なって、死について考えざるをえんという時期だったので。それがこのアルバムの大もとにありますね。
-後天的な親のような存在ですよね。
そう。不思議な関係ですね。信藤さんとのお別れに際していくつか文章を書いたりしたんですけど、僕と信藤さんの関係はやっぱり"寵愛を受けていた"っていう言い方が一番しっくりくるんですね(笑)、言葉にするならば。僕におめかしをさせて、きれいだね、きれいだねと言ってそれを写真におさめてくれて、あとは本当にたくさんのことを僕に教えてくれた人、という感じ。
-毛皮のマリーズのアートワークに関して言うと個人的には『ティン・パン・アレイ』(2011年リリースのアルバム)が強く記憶に残っています。
はい。あと『Mary Lou』(2010年リリースのシングル)のジャケットも僕はすごく好きで。大掛かりな準備をして、あのたった1枚の写真に1日を費やして。そういう経験も初めてだったし。そのあとすぐに『ティン・パン・アレイ』でさらに大掛かりな撮影をして(笑)、今でもよく覚えてます。
-仕事を進めていく段階での考え方も大きな影響が?
はい。僭越ながら脳みその回路がすごく似てたんじゃないかと思います。アートワークの打ち合わせで"今回の毛皮のマリーズのアルバムはどうのこうの......"とレコード会社の人が説明してるのに、信藤さんはまったく聞いてないんですね。もう黙ってずっと考えてて。そこから無言の時間が何十分も続くんです。信藤さんみたいな大御所デザイナーが腕組みしてうつむいて黙り込んだら、怖いじゃないですか。これを関係者は"信藤さんの魔の沈黙"と呼ぶらしいんですけど(笑)。僕はそれ、全然魔じゃなくて。今信藤さんが何を考えてるかがわかるんです。だから信藤さんより先に何か思いつきたくて、一緒に腕を組んで黙り込んで。"あ! 信藤さん、あれやるのどうですか?"ってひらめいたアイディアに信藤さんもピンときたら"おぉ、それだそれだ"って急に相好を崩してニコニコされて。それとは逆に、打ち合わせに行ったらなんの説明もなく無言でポンって渡されることもあって、それがもうこれ以外考えられないほど完璧なアイディアだったりして。だからとてもよく似た回路の脳みそを僕らは持っていて、そのうえ僕の何万倍もの知識と経験が詰まっているわけですから、あの信藤さんの脳みそがこの世から消失したっていうのがすっごいもったいなくて。"あの脳みそ欲しい!"って。USBメモリにスポッと(笑)。
-(笑)それは誰に権利があるのかっていう。
ほんとに。でもそれに近いものをいただけたと思ってますね。『式日散花』が完成した日、ひとりでそれを聴いていたら信藤さんのことをまた思い出して。このできたての音源を持って信藤さんのところによく行ったなぁ、それを聴きながらまた無言になって(笑)、ふたりでジャケット考えるんだよな、みたいな。じゃあこの『式日散花』を持ってったら信藤さん何出してくるのかな? ってふと考えちゃって。そしたら、なんとなく答えが浮かんだんですよね。わぁ、信藤さんっぽい! っていうジャケットが。だから僕の脳みそには、すでに信藤さんによって作られた回路があるなぁという気もする。
-それはだから血縁とかじゃなくて遺伝なんですよね。
そうですね。本当に。そうそうそう。
LIVE INFO
- 2025.11.21
-
THE BAWDIES
ポルカドットスティングレイ
PEDRO
SHERBETS
ドラマチックアラスカ
荒谷翔大
ザ・シスターズハイ
Adrian Sherwood
Hakubi
LONGMAN
reGretGirl
キタニタツヤ
東京スカパラダイスオーケストラ
SPRISE
Anyeed(Dyna/ego apartment)
超☆社会的サンダル
TOKYOてふてふ
TOMOO
浪漫革命
吉澤嘉代子
フレデリック
Bye-Bye-Handの方程式
FINLANDS
- 2025.11.22
-
Chimothy→
ねぐせ。
AIRFLIP
ポルカドットスティングレイ
wacci
キュウソネコカミ
ズーカラデル
NEE
the paddles
TOKYOてふてふ
LiSA
優里
BLUE ENCOUNT
moon drop
チリヌルヲワカ
ASP
Eve
miwa
Conton Candy
ストレイテナー
The Biscats
セックスマシーン!!
離婚伝説
Ado
MOS
荒谷翔大
リーガルリリー
NANIMONO
brainchild's
SUPER BEAVER
藤巻亮太
ビレッジマンズストア
PIGGS
sajou no hana
SPRISE
アーバンギャルド
Omoinotake / クリープハイプ / Saucy Dog / マルシィ ほか
CVLTE
RADWIMPS
ガガガSP / SpecialThanks / YONA YONA WEEKENDERS / BACK LIFT ほか
フレデリック
osage
- 2025.11.23
-
SHERBETS
NEE
キュウソネコカミ
ズーカラデル
Awesome City Club
ザ・クロマニヨンズ
ぜんぶ君のせいだ。
PENGUIN RESEARCH
怒髪天
優里
Eve
くるり
MEW
Galileo Galilei
Ado
秋野 温(鶴)
THE BAWDIES
チリヌルヲワカ
東京スカパラダイスオーケストラ
離婚伝説
CNBLUE
佐々木亮介(a flood of circle)
BLUE ENCOUNT / yama / Novelbright / 新しい学校のリーダーズ ほか
山本彩
ExWHYZ
RADWIMPS
OKAMOTO'S
Laura day romance
- 2025.11.24
-
リーガルリリー
ポルカドットスティングレイ
WurtS
brainchild's
ねぐせ。
キタニタツヤ
u named (radica)
ザ・クロマニヨンズ
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
go!go!vanillas
Lucky Kilimanjaro
すなお
私立恵比寿中学
くるり
NANIMONO
ブランデー戦記
清 竜人
Conton Candy
凛として時雨
秋山黄色
The Biscats
9mm Parabellum Bullet
LACCO TOWER
No Buses
CNBLUE
miwa
山本彩
BIGMAMA
崎山蒼志
ExWHYZ
RADWIMPS
Ayumu Imazu
MEW
- 2025.11.25
-
打首獄門同好会
Another Diary
すなお
シベリアンハスキー
The Ravens
chilldspot
- 2025.11.26
-
Dios
桃色ドロシー
ザ・クロマニヨンズ
シベリアンハスキー
TENDRE
UVERworld
PEDRO
BLUE ENCOUNT
material club
Mirror,Mirror
Galileo Galilei
chilldspot
- 2025.11.27
-
打首獄門同好会
MONOEYES
Cody・Lee(李)
moon drop
桃色ドロシー
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
ザ・クロマニヨンズ
TENDRE
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
PEDRO
Tempalay
あたらよ
- 2025.11.28
-
Galileo Galilei
優里
BLUE ENCOUNT
go!go!vanillas
怒髪天
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
VII DAYS REASON
Dios
崎山蒼志
凛として時雨
ズーカラデル
コレサワ
SHERBETS
Another Diary
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
ポルカドットスティングレイ
おいしくるメロンパン
sajou no hana
NEK!
CENT
OKAMOTO'S
meiyo
RAY
reGretGirl
- 2025.11.29
-
ビレッジマンズストア
Appare!
YOASOBI
NEE
暴動クラブ
brainchild's
Cody・Lee(李)
キタニタツヤ
優里
くるり
TOKYOてふてふ
MONOEYES
キュウソネコカミ
moon drop
THE BACK HORN
androp
The Biscats
フレデリック
チリヌルヲワカ
怒髪天
eill
LOCAL CONNECT
wacci
LACCO TOWER
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
ドラマチックアラスカ
アーバンギャルド
ねぐせ。
ExWHYZ
UVERworld
フラワーカンパニーズ
愛美
浪漫革命
東京スカパラダイスオーケストラ
BACK LIFT / 魔法少女になり隊 / LEEVELLES / パピプペポは難しい ほか
Bentham
MONO NO AWARE
NANIMONO
カミナリグモ
9mm Parabellum Bullet
PIGGS
- 2025.11.30
-
ビレッジマンズストア
YOASOBI
NEE
TOKYOてふてふ
凛として時雨
キタニタツヤ
崎山蒼志
くるり
キュウソネコカミ
moon drop
SHERBETS
THE BACK HORN
TENDRE
アーバンギャルド
the paddles
秋山黄色
TOMOO
LACCO TOWER
ドラマチックアラスカ
LUCY
ExWHYZ
Maki / SIX LOUNGE / w.o.d. / KUZIRA / TETORA
UVERworld
フラワーカンパニーズ
ポルカドットスティングレイ
NANIMONO
ズーカラデル
ぼっちぼろまる×ポップしなないで×ぜったくん
コレサワ / ヒグチアイ / のん / ひぐちけい
miwa
MONO NO AWARE
Conton Candy
JYOCHO
離婚伝説
- 2025.12.02
-
RADWIMPS
LONGMAN
Dios
RAY
マカロニえんぴつ × DISH//
私立恵比寿中学
GLIM SPANKY
SUPER BEAVER
IneedS
- 2025.12.04
-
TENDRE
LEGO BIG MORL
私立恵比寿中学
SHERBETS
Homecomings
アーバンギャルド
キュウソネコカミ
吉井和哉
Hakubi
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
NANIMONO
eill
Laughing Hick
崎山蒼志
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
怒髪天
ねぐせ。
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
RELEASE INFO
- 2025.11.21
- 2025.11.22
- 2025.11.26
- 2025.11.29
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2026.01.01
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.14
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号













