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INTERVIEW

Japanese

"MITSUBACHI ROCK CIRCUIT" 座談会

2021年10月号掲載

"MITSUBACHI ROCK CIRCUIT" 座談会

女性ヴォーカル限定サーキット・フェス"MITSUBACHI ROCK CIRCUIT"。その2度目の開催である今年は、11月20日に東京 下北沢、11月23日に大阪と、2デイズで開催される。本イベントの開催を記念して、0C(CODE OF ZERO)、‎しゃおん(chocol8 syndrome)、伊集院香織(みるきーうぇい)の3者による座談会を開いた。

CODE OF ZERO:0C
chocol8 syndrome:‎しゃおん(Vo)
みるきーうぇい:伊集院香織
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by yui
取材場所:渋谷nostyle

-今回は女性ヴォーカル限定サーキット・フェス"MITSUBACHI ROCK CIRCUIT"の開催を記念した座談会です。まずは、このサーキット・フェスに対するみなさんのイメージから聞かせてください。

伊集院:女性ヴォーカルが好きなお客さんみたいなのは一定数いる気がしていて。サーキットは、そういう方たちが"まだ知らない女性ヴォーカルを発掘したい"って集まってくれている印象があります。こういうイベントは、このコロナ禍でより少なくなってきているので、めちゃくちゃありがたいなと。

しゃおん:たしかに。コロナ禍になってライヴがなかなかできなくなってから、"どこ"とか"誰と"じゃなくて、全世界へ同時に発信していく形になることがどうしても多くなっているんですよね。だからこそ、自分たちのことをより好きになってくれそうな人に直接音楽を聴いてもらえることはすごく嬉しい機会だと思います。もちろん距離も取るし、対策もするんですけど、自分から突撃できる機会なので、そういう意味では嬉しいですね。

-CODE OF ZEROも、ちょこはち(chocol8 syndrome)と同じく第1回目から出演していますよね?

CODE OF ZERO:今回が第2回目なんですか? え、あれが1回目だとしたらすごい。何回もやっているんだと思っていました。1回目だと思わなかったくらい、初回からすごく盛り上がっているイベントなんだなという印象です......びっくりしました。

伊集院:ということは、コロナ禍で始まったイベントということか。勇気がある。

-そうなんですよね。初回がコロナ禍のサーキット・イベントというのも珍しい気がしますし、それでソールド・アウトしていることも素晴らしい。ところで、みなさんはそのコロナ禍に対してどう向き合っていますか?

伊集院:やっぱりコロナ禍でライヴはグンと減っちゃって。でも、制作環境を整えるいい機会だったなと思います。録音機材が増えて、宅録でできることが増えました。そのぶん自分のファンに向けた発信を増やしたり、ファンクラブを作ったり、そういうWEBでできる発信と、自分の企画イベントにも注力できるようになったというか、そこに集中できるようになって。ポンポン出演してもなぁ......というご時勢なので、出るイベントもすごく選ぶようになりました。今までもそうしてきたつもりだったけど、選ぶようになったら、ひとつひとつのイベントがより濃厚に、大事にできるようになって。初心を取り戻しています。もちろん、こんなご時勢じゃないほうがいいけど、個人的には自分と向き合えるいい機会だったなと思っています。

しゃおん:ちょこはちは、ずっとライヴ、ライヴ、ライヴ――と進んできたバンドで。年に100回くらいライヴをやって、そこで出会った人に好きになってもらうという地道な活動が8~9割くらいだったんです。それが一気に封じられてしまうというか、できなくなったときに"ライヴ以外でのちょこはちの魅力ってなんだ?"みたいな感じになってしまって。で、がむしゃらにライヴ以外の活動を頑張ってみたんです。TikTokだったり、YouTubeだったり、そういう地道な投稿とかをコロナ禍から続けて、TikTokは16万人くらいにフォローしてもらって、YouTubeも登録者が1万人になったんですよ。ライヴを封じられたことによって自分たちの発信の仕方が変わったのは、嫌なことも多いなかでのいいことだったなと。

-なるほど。

しゃおん:あと、去年から配信ライヴがすごく増えたじゃないですか? ライヴ後に撮った録画を観ることはあっても、それが生配信されることは今までに一度もなかったので、自分の歌の粗さとかダメな部分とかに気づいて。歌っていなかった期間も含めてすごく凹んだ時期があったんですよ。それで、家にいる時間は世に出てしまったその配信ライヴをずっと観て、どう歌ったら息を切らさずに滑らかに歌えるかとか考えていたので、コロナ禍の前より歌が上手くなったような気がします。それも良かったことかもしれないですね。

0C:うちもコロナ禍まではライヴが多かったんです。コロナ禍になって、去年も今年も、5ヶ月連続配信シングルという企画をやっています。ライヴ自体はちょっとずつ復活してきていますけど、急になくなるとか、状況によって変わるのがめっちゃ嫌で、確実にできることをやりたいなと。足を運んでくれていたファンの人たちって、今でも四国のほうの人とかは島から出られへん感じらしいんです。ほんまに来たくても来れへん人たちがまだまだいっぱいいるから、そこに対して確実に届けてあげられる方法として、曲を作るということ以外に思いつかんかったですね。ライヴをやっていても、Twitterのリプとかで"前より遠く感じる"とか"応援したいけど、行けへんくってもどかしい"というものを見ていて。寂しい思いをさせているので、普通に早く終わってほしい感じです。私はこの状況で良かったと捉えていることはそんなになくて。

-ライヴ自体はやれているけど、制限もあるじゃないですか? そういうなかで、ライヴの作り方に変化はありましたか?

伊集院:私のバンドは、みんなで踊るとか、声を上げるみたいなシーンがもともと少ないんです。聴いてもらうことが多いので、落差みたいなものはあんまりなくて。ただ、ちょっとしかないコール&レスポンスの部分で声を出してもらえないのは、ちょっと寂しいですね。もっとお客さんを入れたいなとかも、どうしても思っちゃいます。

しゃおん:私のところは、煽る曲も踊る曲も、コール&レスポンスする曲もそれなりにあるので......(苦笑)。すごく悩んで、最初は"パフパフ"って音がするボールをお客さん全員に渡してみたりもしたんですけど、あんまり声の代わりにはならなくて。"PUI PUI モルカー"の応援上映みたいに、"プイプイプイー"ってやってほしかったんですけど、お客さんも初めてだったのもあって、シリアスな話をしているときに"パフ~"って鳴っちゃって(笑)、ちょっとうまくいかなかったんです。でも、コロナ禍に入ってから作った「ソーシャルディスタンス」という曲(2020年リリースのライヴハウス支援特別両A面シングル『ソーシャルディスタンス/明日、隕石とともに』収録曲)は"離れて聴いてくれよ~"みたいな感じで、いい感じにみんなに散らばってもらったりしています。「オールでPPP」(2021年6月リリースのシングル表題曲)という曲も出したんですけど、手を広げてみんなと離れさせるみたいな感じの振付で、限られたルールの中で遊べるように、ライヴで遊べることを想定して作りました。最初は、声が出せないとか、熱が上がり切らない気持ちになったりもしたんですけど、1年も経つとお客さんもその中で自分をぶち上げる方法がわかってきていると思うので、適応してきている気はしますね。でも、声を出してほしいジレンマはまだあります。大阪とかでは、ふざけたことをやって野次が飛んでくるのが面白かったところでもあったので、"スン......"ってなると、普通にちょっと傷ついて(笑)。でも、それにも適応しました。

0C:うちはフロアにいる人が暴れたりする感じのバンドなので、本当にめっちゃ我慢させているんだろうなと感じているんですけど、自分自身が変えたことは、ライヴに関してはないかもしれないです。"コロナだからって、なんで私が変わらなあかんの?"という気持ちがあって。もちろん私が何も我慢していないわけではなくて、ルールを守ってやっている感じです。最初はアクリル板を"バーン!"って叩いたりしていたんですけど――

伊集院:破壊神(笑)。

0C:"ダメ"って言われました......(笑)。そうやって怒られたので我慢しているんですけど、フロアに来てくれている人にも我慢させてるんやろうなと。たぶん、"日々のいろんなしんどいことをライヴハウスで忘れたい"とか、"だからこそ楽しみたい"とかあると思うんですよ。それに代えられるものがないからこそ、頑張っていい曲を提供しないとなと思います。そう思ってやっている感じです。ライヴやりながら月に1曲出し続けるのはしんどいんですけど、やっぱりライヴハウスに来てくれている人以外も大事にしたいし、そこに来てくれている人たちにも、プラスαで面白いことをしてあげないと、みんな音楽が好きじゃなくなりそうだなって思うんです。