Japanese
キタニタツヤ
インタビュアー:秦 理絵
人間が持つ醜さや悪意、愚かさ、弱さを徹底的に掘り下げるほど、その強く美しい本性が浮き彫りになる。気鋭のシンガー・ソングライター、キタニタツヤが3枚目のアルバム『DEMAGOG』(読み:デマゴーグ)で描いたものは、そんな矛盾に満ちた人間の愛すべきコントラストだ。「悪魔の踊り方」(2018年)の衝撃から約2年。オルタナ・ロックからシンセ・ポップへと、異なるアプローチを取り入れてきた過去の作風が集約された今作は、再び自身の原点であるロックにフォーカスを当てた。一曲一曲に、"この作品に入れなければいけない"という強い必然性を持って生まれた7曲。だからこそ、以下のインタビューでは、すべての収録曲について触れ、その意図を探った。
-今作は、ロックな1stアルバム『I DO (NOT) LOVE YOU.』(2018年リリース)と、緩く踊れるチル・サウンドが主体だった1stミニ・アルバム『Seven Girls' H(e)avens』(2019年リリース)の融合のような作品ですね。
まさに。『DEMAGOG』は、『I DO (NOT) LOVE YOU.』と『Seven Girls' H(e)avens』の合いの子みたいな作品になりましたね。頭で考えたのは、オルタナ・ロックに戻りたいなっていうことだったんです。"ギター弾きてぇ!"っていうか。
-それは何かきっかけがあったんですか?
新しいギターを買ったんですよ。それを持ったら自然に"ロックなアルバムを作りたい"っていう気持ちになって。でも、『I DO (NOT) LOVE YOU.』と同じことをしてもしょうがないじゃないですか。今の僕は、前作(『Seven Girls' H(e)avens』)みたいなものも作れるようになったから、それをうまく混ぜつつ、調和させてみようっていうので今回みたいになったんです。
-シンプルに、ギター、ベース、ドラムのアレンジを聴かせるっていう。
うん。やっぱり生のギター、生のベース、生のドラムは好きだなぁって思いましたね。
-それに加えて、今作では、アコギとかピアノの聴かせ方にも気を配ってるように思いました。アコースティックなサウンドを大切にする意識はありましたか?
今回はわりとそこも意識しましたね。人間的なグルーヴというか。前作は、ドラムもベースも打ち込みで作っちゃう曲が結構あったんですけど、今回は、7曲の内6曲はドラムのMatt君と一緒に僕もベースを弾いたし、"せーの!"で録ったグルーヴの上で他の楽器を乗せてるし。やっぱりそれっていいなって思いました。
-初期作では、すべての作業をひとりでやってたことを考えると、だいぶ変わりましたね。
単純に、今は人と演奏したいんですよね。こういう(インターネット発の)出自だからこそっていうのもあると思うんですけど。とにかく人と合わせるのが楽しいなっていう感じです。ピアノのはっちゃんさん(平畑徹也)もそうですし。
-前作とはサポート・メンバーが変わりましたけど、ドラムのMattさん、鍵盤の平畑徹也さんとは、どういう経緯でやることになったんですか?
はっちゃんさんは(キタニも参加している)ヨルシカのピアニストなので、いつか俺も一緒に合わせたいなとは思ってたんです。今まではピアノを頼みたい曲がなかったんですけど、今回アレンジするうえで"ピアノを入れたいぞ"ってなったときに、はっちゃんさんしかいないなって。「悪夢」っていう曲では、メロトロンも弾いてもらってます。そういう音楽的素養もあるから相談してみたんです。
-Mattさんは?
わりと新しく知り合った友達なんですよ。僕の曲のドラム・カバーをインスタにあげてて、それに僕が気づいて、友達になったんです。"めっちゃうまいじゃん!"って。
-キタニさんから連絡を取ったんですか?
そうです。Matt君がバンドもやってるって知って、"今度、ライヴ観に行っていい?"って聞いたら、"来て来て"って言ってくれて。それから一緒にお酒を飲んだりしてますね。ベーシストとしては、今まで一緒にやったことがないタイプのグルーヴを持ってるんですよ。ブラック・ミュージック寄りのやつなんです。自分はわりとロック畑でやってきた人間だから、こういうドラマーと合わせたのは新鮮でした。
-たしかに今作はグルーヴの跳ね感がブラック・ミュージックっぽいです。
そこはMatt君の要素が大きかったと思います。
-あと、アレンジ的にはいろいろなタイプの曲がありつつ、今作はテンポ感とか音質、サウンドの雰囲気の面では、わりと統一感があるように感じたんですけど。
へぇ、ずっと聴いてもらってると、そういうふうに聴こえるんですね。面白い。そこは特に考えたわけではないですけど。ただ、楽器の構成としてギター2本、ベース、ドラムを全部生で入れてるし、音づくりに関しても、その日に持ってるグルーヴでその日に録り切るっていうことをやってたから、自然と近い雰囲気に収束していったというか。中間点に揃っていく感じがあったかな。マスタリング・エンジニアさんも全部同じだし。
-マスタリング・エンジニアは、John Greenhamさんですね。今年のグラミー賞で5部門を獲得したBillie Eilishとの仕事で知られる。どういう経緯で実現したんですか?
僕が海外のエンジニアとやってみたいって言ってたのを、ソニー・ミュージックの方が汲んでくれたんです。デモができた時点で、今回のサウンド感だったら、"この人どう?"って。
-Johnとは、直接コミュニケーションを取る機会はありましたか?
いや、僕が直接っていうのはなかったですね。でも、マスタリングの最終段階ぐらいのときに伝え聞いた話ですけど、"やってて楽しいよ"みたいなことを言ってくれたって。
スタッフ:めちゃくちゃ気に入ってくれたんですよ。"Tatsuya, great work!"っていうメッセージを送ってもらいました。
それ、もっと早く教えといてよ(笑)!
-ははは、知らなかったんですね(笑)。
ファースト・ネームで呼んでくれてる......。
-嬉しそう(笑)。マスタリングの仕上がりに関しては、どう感じました?
びっくりしました。こんなに色がつくんだって。マスタリングって、基本的に音を整えて聴きやすくする作業だから、歪ませたりしないんですよ。でも、そういう常識がパーンッて飛んで。"まだかっこ良くなる余地があったぜ"みたいな感じだったんです。
-そんなに違ったんですか?
簡単に言うと、めっちゃ歪んでたんですよ。マスタリングって、本当は歪ませちゃいけない工程なんですよ。きれいに整える作業だから。なのに、少し音が小さめできれいだったツーミックスのもの(ミックス済みの音源)が、マスタリング後にはビリビリいってるんですよ。そのぶん、よりロックになってて。あと、サチュレーションされて(歪みを加えて)、音に温かみが増してるとか、そういうこともされてましたね。
-キタニさんとしては、今回はロック寄りにしたいっていう想いがあったわけだから、そこにもハマったわけですね。
そうですね。テンションは上がりました。最近、歪むって嬉しいなって思うんですよ(笑)。その話を、キーボードのはっちゃんさんともしてて。"歪むって、いいことだね"って、高校生みたいな話をしたんです。ロックの原初体験というか、一番根本じゃないですか。そこに改めて立ち戻った感じはありますよね。
-話が前後しちゃいますけど、もう少し曲作りのスタート時点のことも聞かせてください。制作の始まりは3月以降だったそうですね。
そうです。
-コロナ禍で曲作りの方向性が変わった部分はあったんですか?
自分の曲作りのスタンスは変わってないですけど、社会全体がギスギスしてるなって感じたことが作品に反映されてると思います。マスクをしないで歩いてる人がいたら、めちゃくちゃ叩くじゃないですか。もしかしたら、その人には致し方ない事情とかがあったりするかもしれないのに、そういう前提なしに。ニュースやSNSを見てても、うんざりすることが多くて。そういうものに対するカウンターとして、この作品はできたと思います。
-でも、そこで感じた嫌悪感を垂れ流すだけではないですよね。
そういうつらい状況もあるんですけど、逃げちゃダメだと思うんです。社会全体の嫌なこともあるし、個人が抱えてる嫌なこともあるし、親しい人との間でも嫌なことがある。いろいろなタイプの嫌なことがあるけど、結局、自分で解決していかないとどうしようもないと思うんですよね。嫌だから、目を背けていたい。でも、最終的には、自分でどうにかしないと立ち行かないよねっていうことは言いたくて。それが、きれいごとにならないようにしたいなっていうのは考えてましたね。
-なるほど。
それで、自分の抱えている弱さを肯定しつつ、それでもなお立ち上がって前を向いて歩いていく、みたいな強さを表現したかったから、そういう象徴として"DEMAGOG"っていうタイトルを掲げたんです。(ウジェーヌ・)ドラクロワっていう画家が描いた、民衆を導く自由の女神の絵があって。COLDPLAYのアルバム(『Viva La Vida Or Death And All His Friends』)のジャケにも使われてるんですけど、ああいう強いアルバムを作りたかったんですよ。自分自身が強いデマゴーグになりたいけど、たぶん無理なので。せめて、そういうアルバムを作れたら、今後の人生において、自信になるだろうなって思ったんです。これから先つらいことがあったとしても、あのとき『DEMAGOG』っていうアルバムを作ったなって聴き返したら、過去の自分に説教されて背筋が伸びるというか。そういう説教臭いアルバムを作りたかったっていうのはありますね。
-それぐらい強さで希望へと導いていくようなアルバムが、今の自分にも、社会にも必要だった、ということですか?
うーん、社会にも必要だったとは思わないかな。それは言いすぎだと思いますけど、これがあって、助かる人も少しぐらいいたらいいなっていう願望ですね。
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