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INTERVIEW

Japanese

阿部真央

2020年01月号掲載

阿部真央

Interviewer:石角 友香

-同じお題でも、全然テイストの違う2曲ができたんですね。そして、だんだん恋愛系になって。「どうにもなっちゃいけない貴方とどうにかなりたい夜」はドキドキもするけど、ラヴリーな感じがします。

かわいいですよね? 私もすごくお気に入りです。サビはふた回ししてるんですけど、"どうにもならない"ってところを思いついたときにもう楽しくて楽しくて、"これをフィーチャーするような曲を作ろう"と思って。

-10代の阿部さんが歌うとエッジがあるというか、"え、そんなこと歌うの?"と思うかもしれないけど、今の阿部さんが歌うとラヴリーな感じに聴こえます。

だから、こっち側の年齢も関係ありますね。遊び感覚というか、そういうとこにも力の抜けた雰囲気を感じてもらえたのかもしれないです。

-そして、7曲目の「今夜は眠るまで」は笹路(正徳)さんのアレンジで、まさに笹路節!という仕上がりです。

そうなんだ。みんな言う。素敵なアレンジで、無駄と疑問がないんですよね。"これでいいのかな"みたいなのがまったくないから、アレンジのデモがきたら"これから変えないでください"みたいな。そこがすごいなと思いますね。私、体調崩してレコーディングは立ち会えなかったんですけど、行きたかったなっていうぐらい錚々たるメンバーの方にやっていただいて。

-笹路さんがアレンジされると曲が普遍的に聴こえますね。一般的にはスピッツ初期のイメージが強いんだろうけど。

もうほんとにいろんな方を手掛けていらっしゃいますからね。

-で、「君の唄(キミノウタ)」も2019年のリリースなんですよね。

そうなんですよ。5月発売だったので、1年も空いてない。ギュギュギュって感じ。

-「変わりたい唄」(2018年リリースの16thシングル表題曲)はもうちょっとボリュームがあったから、あれはあれで独立してるんだなと思いました。

そうですね。ベストに収録されて、あの3曲(『変わりたい唄』収録曲)は完結してるので、良かった。

-それもアルバムらしいアルバムになってる理由かも。そして、ラストは阿部さん恒例の弾き語りです。この恒例形式は変わらないんですね。

変わんないですね。結構気に入ってます。

-"おもしろい彼氏"っていうか、曲を聴いてると"おもしろい彼女"だなと。

えぇ? そうかなぁ(笑)? このとき好きだった人が面白い彼氏だったんですよ。変わってた。

-阿部さんの曲に出てくる魅力的な人ってかわいげとたくましさがあるというか、そういう印象があります。

そうかもしれん。そういう人が好きなのかもしれないですね。顔じゃなくて、かわいい人がいいな。かわいげ、大事かも。

-ラストで結構ほっこりします(笑)。

終わり良ければすべて良しだから、それまで辛辣なことを言ったアルバムだけど、最後ふっと終われば全部良しみたいな。

-恋愛系の作品がリアルなのはもちろん、だんだん物事への処し方が変わっていく、それがリアルに出てる作品でもあるのかなと。

まさにそうですね。何がどう変わったかっていうのは、いろんなことが変わりすぎて説明できる自信がないんだけど、明らかに変わった。それを感じてもらえると思うんですよ。特に、今までずっと曲を聴いてくれてる人は。それは考え方、捉え方、あとは自分の姿勢、さっき言った表現するものとして腹をくくったがゆえのことだから。そこに10年かかっていけたことも誇らしいというか、10年かけて作ったものって揺るがなさそうだなと勝手に思ってるんで、そういう意味でも満足してる作品ではありますね。

-なかなか10年、しかも10代からひとつのことをずっとやるってないかもしれない。朝ドラ("スカーレット")のヒロインじゃないけど、陶芸家とか(笑)。

職人に近いのかもしれないですね。職人って、すごく語弊があるんですけど、たぶんある種オタクっていうか。研究者もそうだと思うんだけど、大好きだから、やめない。そういう人、やっぱどっかおかしいし(笑)。

-変態じゃないと届かないものはありますから。

そう思いますね。あと、そうじゃないと飽きちゃって続かないと思うな。私もこの仕事以外のことは続かないですもん。で、職人の感性があるから、ビジネスになってるんだと思うんですよね。アーティスティックなだけだと埋もれるんです。変態的っていうのはテクニックの範囲でもあるし、こだわりが強いっていうか。

-1回使って終わりとか、1回聴いて終わりとかじゃない、ほんとに使ってもらえたり、聴いてもらえたりするものは職人的な感性があるからできるんじゃないのかなと思います。

それ、いい言葉だな。

-何度も聴けるアルバムらしいアルバムだと思います。そして、3月からは本格的なツアー"阿部真央 らいぶNo.9"が始まりますね。今回は『まだいけます』がガッツリ核になるツアーに?

ガッツリ核になると思いますね。ちょっとダサい言い方ですけど、攻めのアルバムになった気がするから、ライヴも攻め攻めじゃないといけないなと思ってるんで、リミッター外してできるように頑張ります。