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INTERVIEW

Japanese

FIVE NEW OLD

FIVE NEW OLD

Member:HIROSHI(Vo/Gt) WATARU(Gt/Key/Cho) SHUN(Ba/Cho) HAYATO(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

-その他、今回サウンド・アプローチでやってみたかったこと、試したかったことという意味で、何かモードのようなものはあったんですか?

HIROSHI:曲を自由に広げてあげるというか、曲がそれぞれに行きたがっている方向に向かっていこうってことに尽きると思うんですけど、そういう部分は自分以上に3人が、よくやってくれたんじゃないかなと。それに加え、今回コラボレーションに参加してくれたみなさんのアレンジ力が大きかった。そういう意味では、自分たちにない要素が乳化している感じはあって、「Magic」のKai(Takahashi/LUCKY TAPES)君もそうだし、「Pinball」の是永巧一さんもそうだし、「Same Old Thing」のTondenhey(踊Foot Works/Gt)もそうだし、「Set Me Free」も「Always On My Mind」も山本健太さんに鍵盤アレンジしていただいて、ほんと彩り豊かになったなっていうのはあります。参加してもらった曲に対しては、丸投げしたわけではないんですけど、"お任せします!"みたいなところはあって。僕はKai君と、SHUN君はTondenheyと、WATARUは是(是永巧一)さんとやりとりをしてっていうふうに、それぞれに分担したんです。

-あ、そういう作り方だったんですね。

HIROSHI:そうです。それぞれがやりとりしながら、"こんなふうになったんだけど、どう?"、"いいんじゃない"って作り上げていったんですよ。

-コラボしたい相手もそれぞれに選んだんですか?

HIROSHI:あ! たしかにそうですね。

WATARU:ほんまや(笑)。言われてみれば、そうですね。

-SHUNさんはTondenheyさんと、「Same Old Thing」でどんなことができると考えたんですか?

SHUN:前回のアルバム(2018年リリースの『Too Much Is Never Enough』)でも踊Foot Worksとコラボして、彼らの面白さ――ポップな部分もあり、音楽的な部分もありってところに惹かれたんですけど、FiNOにないポップな部分を切り拓いてくれるかなって思いました。もともとあったデモの段階では、"今までのFiNOはこうだよね"とか、お客さんが聴いたら"これこれ"って言うようなアレンジだったので、そのまま出しても面白くないよねってところから、とにかく曲を壊してほしいと言って、リミックスみたいな感じで作ってもらって。そこからメロディに対するコード感、響きを調整して、あと、バンドと打ち込みの割合をどれだけにするか?――それこそ、この1曲でどう乳化するか意識しながら一緒にアレンジを進めていきました。

-それでちょっとトラック・メイキングっぽいアレンジになっているんですね。「Pinball」の是永さんはWATARUさんのアイディアだったそうですが、是永さんって大ベテランじゃないですか。どういう繋がりなのかなって不思議だったんですよ。

WATARU:家がめっちゃ近いんですよ(笑)。それで、ほんとに他愛もないきっかけからお家にお邪魔させていただくようになって、お邪魔したらなんやかんや4~5時間喋って帰ってくるんです。ギタリスト同士で何かできたら面白いかなというのがひとつあったんですけど、僕、ギタリストにあまり友達いないので、お願いするなら是さんしかいなかったっていう(笑)。

HIROSHI:すげぇ消去法(笑)。

HAYATO:なんで友達おらんやつがいきなり是さんなんだよ(笑)。

WATARU:80年代から活躍されている方なんで、"当時の感じも匂わせるには?"みたいなことをふたりで喋りながらアレンジを進めて、最終的には80年代のCHICのNile Rodgersとか、EARTH, WIND & FIREとか。ギターのカッティングもアンプの音というよりは、"いかにもライン録りしたみたいな感じにできたら面白いよね"って言いながら、是さんが弾いたものに対して、僕がペンタトニック・スケールを弾いて、さらに是さんと僕のソロ・バトルがあるっていう。

HAYATO:バトルしてなかったよ。バトルって言ったら向かい合って弾くじゃないですか。でも、WATARUは是さんの背中を見ながら弾いてたんですよ。意味がわからない(笑)。

WATARU:恥ずかしかったっていうのもあるし、場所が取れなかったっていうのもあるし。

HIROSHI:いや、取れた取れた(笑)。

WATARU:僕には取れなかった。向かい合って弾くなんて、恥ずかしくてとてもじゃないけど、できないですよ(笑)。

-「Magic」でKaiさんとコラボしたのは、やっぱり今年2月から3月にかけてLUCKY TAPESとツアー("Hit The Trail")したことが大きかったんですよね?

HIROSHI:そうですね。ツアーで仲良くなったんですけど、せっかく繋がったし、アルバムも作るし、Kai君自身もアレンジャーとしていろいろやっているから、何かやろうよってところから、一番合いそうな「Magic」のデモを渡したら、気に入ってくれて、"ぜひやりたい!"ってノリノリで言ってくれたんです。それで"お任せします"って感じでメロディを渡して、"ラグジュアリーな曲にしたい"とだけ言ったら、あっという間でしたね。2、3回データのやりとりをしてOKだったので、改めてさすがだなって。お互いの好きなものはツアー中に話して、わかり合えていたせいか、FiNOっぽいのがどういうものなのかKai君もわかってくれていたんでスムーズでしたね。彼が普段、どういうところを気にしながら制作しているのかがわかったのも面白かったし。

HAYATO:次回は僕も一緒にやりたい人を見つけてコラボしたいですね。

-でも、今回、HAYATOさんはドラマーとして大変だったんじゃないですか?

HAYATO:そうなんですよ。「Keep On Marching」もちゃんとマーチング・スネア・ドラムを使ってるんです。

-あ、マーチング・バンド用のスネアっていうのがあるんですか。

HAYATO:あるんですよ。僕らが普段使っているスネアとは全然違う構造になっていて、プラスチックを叩いているようなというか、跳ね返りのいい、サスティーンのない、タン! っと止まる音がするんです。シェル(胴)の深さも結構あって、せっかくなんでと思って、それを使ってレコーディングに挑んだんですけど、チューニングが難しくて。慣れないぶん大変と言えば大変でしたけど。1曲目の「Fast Car」もクラッシュ・シンバル、1回しか叩かなかったりして、それも"クラッシュないほうがかっこいいんちゃう?"みたいな話からそうなったんですけど、ドラマーとしては入れたいんですよね。そういう部分も大変でした。叩きたい。でも、我慢するみたいな(笑)。それともう1曲、「Always On My Mind」は、初めてのバラードだったので、個人的にアルバムに入れたかったんです。最初ドラムはいらないかなとも思ったんですけど、そういう曲でドラムを叩いたとき、どんな表現ができるかやってみたかったんですよ。譜割が少ない曲ほど難しいってことを再認識しながら、そういう歌を生かすにはどうしたらいいかフレーズを考えるのは挑戦でしたね。