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LIVE REPORT

Japanese

FIVE NEW OLD

Skream! マガジン 2020年01月号掲載

2019.11.29 @EX THEATER ROPPONGI

Writer 河崎詩音 Photo by JON...

["Emulsification"Tour]ファイナルである11月29日EX THEATER ROPPONGI公演は、開幕から見ている側の気持ちをかっさらっていくようなライヴだった。

暗転すると、垂れ幕には、様々な色が混ざり合う様や色のついた粒子が目まぐるしく混ざり合う、彼らの最新アルバム『Emulsification』のコンセプト"乳化"を思わせる映像が流れ、物語が始まるかのように「Fast Car」でスタート。「What's Gonna Be?」で幕が上がると、全身で楽しさを表現しながら演奏するメンバーの姿が。アップテンポなビートにオーディエンスの身体もつられて揺れ始めると、HAYATO(Dr/Cho)の重厚なビートを合図に始まった「Hole」では、手を振りシンガロングが発生する。

"今日このファイナルでみんなとしか作れない最高の音楽のマーブル模様、最後まで一緒に作っていきたいと思います。どうぞ、初めましての人も何回も来てくれている人も、最後まで自由に、そしてひとつになって楽しんでいきましょう! よろしくお願いします!"とHIROSHI(Vo/Gt)が挨拶すると、序盤からすでに温まった会場をさらにヒートアップさせるように、"素敵なゲストをお呼びしたいと思います"とアルバムにも参加しているギタリストの是永巧一を迎え「Pinball」、「Not Too Late」を披露。是永のスパイシーで安定感のある演奏が4人のアンサンブルと混ざり合い、バンドの演奏がよりいっそう幸福感溢れるものへと昇華していった。

ホーン・セクションを迎え、音の深みも増し、華やかさを携えた「Same Old Thing」や、それに続く「Magic」では日が沈むようにゆったりと、しかし力強く奏でられた音楽がじゅわっと体内に溶ける感覚に陥る。そして、彼らの音楽のエッセンスの要となるゴスペルを取り入れた「In/Out」では、物語を読み聞かせるようなHIROSHIの優しい歌声が響きわたり、どこか懐かしく感じた。打って変わって都会的な「Ghost In My Place」、「Black & Blue」、「Last Goodbye」では、軽やかさと凛としたハーモニーを持ったWATARU(Gt/Key/Cho)の演奏と、濃厚でリズミカルなSHUNのベース、HAYATOのシャープ且つパワフルなドラムに合わせ、HIROSHIがオーディエンスと会話をするようにステージの端から端まで歌い歩き、誰ひとり取り残すことなくFIVE NEW OLDという大船に乗せていく。シックな雰囲気を持つ「Set Me Free」では音の奥行きや臨場感を体感し、彼らの手腕をまざまざと見せつけられ、そのまま後半戦へ突入した。

"14本目、各地ツアーを回って、いろんな人と音楽で交わって、いろんなエネルギーを持って帰ってきてここに今立ってます。だから今日はみんなとだけじゃなくて、このツアーで出会ってきたみんなと作るファイナルだって感じてます。だからこそ今日最高の瞬間をみんなと一緒に作りたいです。まだまだ、まだみんなとならやれる気がする。ついてきてくれますか? 歌おう!"とHIROSHIが会場をさらに上昇気流に乗せ、披露した「Keep On Marching」では、彼らの今のモードや楽曲そのものを表すかのように、人々が歩く映像をバックに高揚感溢れる演奏。"いつも心に太陽を!"とエネルギッシュにスタートした「Sunshine」、「Gotta Find A Light」では、クラップを起こしながら会場を盛り上げていく。こんなに楽しくていいのか(!?)と思うほど一緒になって楽しんでいるメンバーの姿は、力強くも優しくもあり、ハッピーが散りばめられていた。本編ラストとなった「By Your Side」は、ソウルフルでグルーヴ感を持つ演奏に、どよめきが起きるほどのHIROSHIのファルセット・ヴォイスや響き渡る歌声が炸裂。最後には大きな歓声と拍手が起き"ありがとう!"とステージをあとにした。

アンコールでは、映画"ガタカ"からインスピレーションを受けて作られたという「Bad Behavior」を。ツアーで吸収してきたパワーを振り絞るように演奏された今楽曲は、まさに映画と重なるような逆境さえも"追い風"にしてしまう力を含んでいた。「Please Please Please」では、HIROSHIからオーディエンスにシンガロングの指導が入るなど微笑ましい姿も。ラストには、"もともとパンク・バンドだった"とMCで語っていた彼らの昔を思わせるような「Ashes To Ashes」を披露。過去を否定するのではなく、"乳化"し溶け合うことで磨いた自身の武器を備えた、爆発力のある屈強な演奏で幕を閉じた。彼らの音楽は日常に花を添え、進むべき道を示してくれる光のような存在であると同時に、聴き手をグッと明るい場所に引き上げてくれるパワーを感じた。来年10周年を迎えるFIVE NEW OLD。記念すべき年にどんな物語を見せてくれるのか楽しみだ。

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