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INTERVIEW

Japanese

BURNOUT SYNDROMES

BURNOUT SYNDROMES

Member:熊谷 和海(Gt/Vo) 石川 大裕(Ba/Cho) 廣瀬 拓哉(Dr/Cho)

Interviewer:吉羽 さおり

-ちなみに何曲か候補としてデモを作ったんですか?

熊谷:この1曲だけでしたね。時間がタイトだったんです。話を貰ったのが、提出の1週間から10日前だったんですけど、ちょうどプロモーションやライヴも被っていて、実際に自宅で作業ができたのが2日間だけだったんですよ。提出直前の2日前まで頭の中でずっと描いていて、あとは一発勝負でバンッと出して、そのまま提出したという感じだったんです。もしそこで音楽プロデューサーのいしわたり淳治さんから歌詞のNGとかが入ると、地獄を見ることになるんですけど(笑)、今回はほとんど直しなくいけたのが、ある種作品を読んだときの僕の感じ方が正しかったということなんだと思います。

-自分の持っている感覚、好きなものとかなりシンクロする部分があった?

熊谷:そうですね。単純に相性が良かったんだなって思います。素でいけたっていう感じで。

-こうしてスケール感があってドラマチックで、且つ深みがあって考えさせられる、ストーリーの裏をも読んでいくような話っていうのが、またBURNOUT SYNDROMESには似合いますね。

熊谷:そうですね、話が凝っているんですよね。それがツボに入ったというか。ちょうどいい深みのある作品があるような気がして、最初からやりたいなって思ってました。

-アニメの制作サイドからは、特にオーダーはなかったんですか?

熊谷:曲が決まってから、サビの後半にとにかくパンチ力がほしいっていうのはありました。"パンチ力"っていうワードを僕もいしわたりさんも初めて聞いたので、パンチ力ってなんだろうということで、ふたりで何度もやりとりをして、作っては制作に渡して、まだパンチ力が足りないと返ってきてというのはありました。"もっと殴りつけるような感じで"ってきて、なるほど本当のパンチなのかと(笑)。で、結局メロディ・ラインをぐっと盛り上がる形にしたんです。それまではサビがリフレインするようなメロディだったんですよ。これはリフレインしてないんですよね。僕の中ではリフレインしないのが斬新だったので、そういうのもあるんだなって思って。

-この曲では、どんどん展開して高揚していくパターンですね。

熊谷:そうです。アレンジにしても折り返し部分は同じじゃなく、さらにシンセが被ってきてとか、後先考えずとにかく音像を破壊するくらいに派手になっていくという(笑)。2番以降は考えないようなアレンジでした。なので、1分半のアニメ尺からフル尺にするうえでは苦労しました。でも自分にない発想を引き出してくれるのが他業種のオーダーなので、それが楽しかったですね。むちゃくちゃ言ってくれるほうが、やりがいがある。

-難題というか、ハードルがあったほうがいいんですね。

熊谷:"もうこれでOKです"って言われるほうが、不安がありますね。"本当!?"っていう。逆に無茶振りを超えたあとは、もう河原で殴り合ったあとの友情のような(笑)、一緒に作り上げたねっていう一体感がありますね。

-廣瀬さんは、ここがポイントだというのはありますか。

廣瀬:BURNOUT SYNDROMESは、激しい曲はいっぱいあるんですけども、ここまでキメキメで硬い感じのするロックの曲っていうのはなかった気がするので。先日のライヴでもAメロ、Bメロ、サビメロも全部お客さんの手が上がっている状態だったんですよね。みんながフル・パワーになれるような一体感を生める曲になったかなと思います。

-そこは目論見どおりでもありますね。

熊谷:アニメ尺の1分半ってなかなか特殊な形状なんですよね。90秒だからワンコーラスでいいよということじゃなくて、ここに1曲分のカロリーを詰めてくれっていうことだと思っているんです。だから、自然と全部のメロディに手が上がるような構成にするほかなくて。そうなるとフル尺がえらい熱量になっていくというのが、アニソンの定めでもあると思いますね。

-たしかに(笑)。そのフル尺にするうえでの聴かせ方という面でも、工夫は必要になりそうですね。

熊谷:アニソンって大変苦労はするんですけど、それゆえに類を見ない熱量になりますよね。とにかく1分半にこれを使ってくれっていう熱量を込めるわけですから。

-そして曲のラストにくる"さあ今日も 人間を始めよう"というフレーズ。これが、ここからまた始まりなんだっていうドラマ性を感じる投げ掛けだなと。

熊谷:"人間を始めよう"っていうこの文章単体ではなんの文脈もないんですけどね。でも、それまでの歌詞があったらこの文が成立するという終わり方が、素敵だなと思ったので。この歌詞は、なんとなく置いたものだったんです。なので、この最後の1文の解釈は任せるっていうのが、かっこいい感じがしましたね。この最後だけ僕は意味を通してないような気がするんです。でもそれが、問い掛けている感じがして。最後まで意味を通してしまうとちょっと窮屈な感じがしたんですよね。なので、最後の解釈は任せるよっていうパスで、みんなの日常にその曲を繋ぐというのができた気がします。

-またこの曲でBURNOUT SYNDROMESを知ってくれる人が増えそうです。

熊谷:海外の人が楽しみにしていたアニメでもあるといことで、YouTubeのコメント欄を見ていても海外の方のコメントも多いんです。だから、それも考えると洋楽っぽくして良かったなと思いますね。

-そうですね、またこの曲がどこかに連れて行ってくれそうな感じですね。そしてもう1曲が「Ms.Thunderbolt」で、これは恋愛の歌、一目惚れの歌ですが、それでいてこんな勇ましい曲っていうのは初めて聴きました(笑)。

熊谷:こんな勇ましい曲なのに一目惚れのことを歌うっていう温度差が気持ちいかなと思って。

廣瀬:たしかに(笑)。

熊谷:こういう曲調は今までも書いてきたんですけど、歌詞も勇ましいものにしていたんです。でも今回の歌詞はあえてサウンドとは乖離したような何か、でもそのサウンドである理由がわかるような何かにしたいなと思って、自然とこうなった感じで。

-曲が先だったんですか。

熊谷:曲のアイディアが先かなぁ。なんか電撃を使いたいなっていうイメージがあって、もともとなんとなくあったサビメロに"Ms.Thunderbolt"という歌詞をハメて、あとは"Ms.Thunderbolt"ってなんだ? っていうのから曲を書いていったという。

-まさかそのMs.Thunderbolt が恋の曲になるとはですね。

熊谷:そうですね。基本は"Ms.Thunderbolt"という意味不明なサビ頭があって、それを説明するために他のパートが存在するっていうのが、キャッチーということなのかなと思って。サビ頭は意味不明なほうがいい。