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INTERVIEW

Japanese

FIVE NEW OLD

2018年09月号掲載

FIVE NEW OLD

Member:HIROSHI(Vo/Gt) WATARU(Gt/Key/Cho) SHUN(Ba/Cho) HAYATO(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

-そして、9月19日には"For A Lonely Heart"と題したEPがリリースされるわけですが、どんな作品になったという手応えを感じていますか?

HIROSHI:今年1月にリリースした『Too Much Is Never Enough』というメジャー1stアルバムが、僕たちがやってきたことのひとつの集大成だったとしたら、今回は、今まで自分たちの中にあった決まったパターンとは違うやり方を試した作品になりました。例えばリード曲の「Gotta Find A Light」は、僕たちがもともと持っていたゴスペルのテイストやハウス・ビートがベーシックになっているんですけど、今までだったら多幸感が大半を占めていたそういう曲で、エモーショナルな部分や葛藤、さらにはそこから自分たちがどう光を見つけていくかってことを表現してみました。2曲目の「Youth」も、これまで鳴らしていた80'sポップの要素をロックなバンド・サウンドの中に取り入れてみたんです。そんなふうに、自分たちが持っていた要素をこれまでとは違った形でミックスしているんです。そういう意味では、新たな回答をひとつ自分たちの中に見いだせたという気持ちがあります。

-「Gotta Find A Light」はどんなふうに作っていったんですか?

HIROSHI:すっごくいろいろなパターンを作ったので、どこがどうなったのか......。

WATARU:そうだね(笑)。

-もともとのアイディアはどんなものだったんですか?

SHUN:最初みんなで話したのは、前回のツアー("Too Much Is Never Enough TOUR")で、たくさんのお客さんと共有する喜びが感じられる経験をさせてもらったので、それに対して、もっと大きな会場で鳴らせるような楽曲を作りたいってことだったんです。それで、みんなで"歌えるパートがあったらいいよね"、"「Ghost In My Place」(2016年リリースのEP『Ghost In My Place EP』表題曲)みたいなピアノの曲があったらいいよね"って。何曲か作った中に「Gotta Find A Light」の元ネタがあって、そこからメロディから構成まで、だいぶ変わっていったんです。

HIROSHI:結果7、8パターン作ったんですけど、ちゃんとそれをひとつにできた。例えば、7、8パターンある中の5個目を選びましたってことではなくて、7、8パターンある中のパーツパーツをちゃんと混ぜれたんですよ。

-「Gotta Find A Light」にギターって入っていますか?

WATARU:入ってないです。

-やっぱり入ってないですよね。ギターが入っていない曲って今までありましたっけ?

WATARU:何曲かあるんですけど、「Gotta Find A Light」は最初からギターを入れるという発想がなかったですね。ただ、ギターだけではなく、キーボードも僕のパートではあるので、ギターが入っていないからって、決して自分のアイデンティティがなくなってしまうってことではないんですけど。

-それはもちろん、もちろん。そのぶんってわけでもないのかもしれないですけど、「Youth」は逆にギター・サウンドで。

WATARU:そうですね。レコーディングの方法としては、アンプで鳴らしつつ、音が近くなるようにラインに直接突っ込んだような音色もあって、面白い録り方をしているんですよ。

-ピアノ主体の「Gotta Find A Light」とギター主体の「Youth」というふうに幅広いサウンドでFIVE NEW OLDの魅力をアピールしていると感じました。それは狙いとしてあったんですか?

HIROSHI:むしろ狙わずにやるとそうなるっていうか、やっぱり僕らはいろいろなスタイルの音楽をやってきたので、いろいろな曲ができるし、それを収録すると必然的に幅が出るというか、それはもう、僕たちのスタイルなんだと思います。

-3曲目の「Melt」のギターがすごくいいなと思いました。絶妙なプレイですよね。

WATARU:ありがとうございます。間奏から一気にリズムとコードの感じを崩して、エクスペリメンタルな表現をしているんですけど、何か狙ったわけではなくて、ギターを持ったら、バッと出たフレーズだったんですよ。だから、そんなに普段とかけ離れたことをしたという意識もないんですけど、ハメてみたらハマりも良くて、その要素を全体に散りばめることができたと思います。ギターも音に温もりを求めて、ジャズっぽいハムバッカー(のギター)を使ったわけではなく、シングルコイルのジャズマスターを使ったので、そういうところも自分たちらしい曲になっていると思います。

-「Gotta Find A Light」は、日本語の歌詞が一部交ざっているところも聴きどころではないかと思うのですが、日本語の歌詞をはっきり聴かせるというよりはあえて英語っぽい発音にして、英語と思わせておきながら実は日本語だった、みたいな遊び心が感じられるものになっていますね。

HIROSHI:聴く人の幅が広がるんじゃないかってところで、ちょっと前から"日本語でやってみる?"というアイディアがあって。僕の中では、歌う言葉は楽器の音色のひとつみたいなところがあるので、新しいエフェクターを踏めるんじゃないかって感覚でトライしてみました。ちょうど日本語で歌っているところがトラップ・ビートみたいな雰囲気があって、この曲の中でも実験的なパートなので、そこにもうひとつチャレンジを加えてみようっていう。それで音遊びと言葉遊びを自分なりにやってみたら、みんなの反応も良かったんですよ。ハマらなければ、やらなくてもよかったし、音的に気持ちいいかどうかが大事だったんですよ。と言いながら、前のセンテンスと後ろのセンテンスがダブル・ミーニングで掛かってるっていうパズルになっているんです。例えば"出たくない?"って歌詞は、その前の"the call(=電話)"と、そのあとの"Rabbit hole"に掛かっていたり、"ただ酔って"は、直後で"drifting apart"と歌うことで、"drunk"と"漂う"ふたつの意味を持っていたりするんです。

-日本語の歌詞を入れるにあたっては、言いたいことだけ言えばいいってわけじゃなくて、音楽的なこだわりもあったわけですね?

HIROSHI:意味がまったくないのもどうかと思うけど、意味合いよりも言葉の響きの方が大事でしたね。そこはバランスを取りながらうまくやらないとって考えながら、うまくバランスが取れたと思います。