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INTERVIEW

Japanese

Lenny code fiction

Lenny code fiction

Member:片桐 航(Vo/Gt) ソラ(Gt) kazu(Ba) KANDAI(Dr)

Interviewer:山口 智男

-今回開けた引き出しが開くことはなかったと。たしかに今回、新境地を思わせる曲になりましたね。ポップでダンサブルという意味では『Flower』(2016年リリースの2ndシングル)に入っていた「KISS」もそうでしたけど、それとはまた違うダンス・サウンドやポップ感を打ち出している。

片桐:好きなのはBPMが180~200ちょいぐらいの攻めた曲なんですけど、今回は132。サウンド面で意識したのは、ライヴハウスでガツンといくよりかは、"Make my story"ってサビがテレビやラジオから流れた瞬間にわかるような空気感でしたね。"なんかかっこいい"じゃなくて、"この曲知ってる!"ってなる空気感が欲しかったんですよ。

-そういうインパクトも持ちながら、4人のプレイヤーの顔が見えるという意味で、改めてバンド・サウンドをアピールするアレンジになっているところも聴きどころではないかと思います。それぞれ、この曲に対してどんなふうにアプローチしていったんでしょうか?

KANDAI:kazuが自由にやっているというか、ベースが攻めているぶん、逆にドラムはシンプルにというイメージで、1番と最初のサビまでは作っていったんですけど、さっきソラも言っていたように弱々しい感じになってしまわないように、2番以降は2ビートを入れてリズムも展開させていきました。それぞれのソロを回すところは、音源で聴いたら簡単そうに聴こえるかもしれないけど、やっていることは意外と難しいんですよ。レコーデイングでは結構苦戦しましたけど、サビではどんだけ広がるイメージでやれるか。そこが勝負みたいなところはあったんで、ドラムはサビの広がりとロック感を意識して作っていきました。

-3人が全然違うことをやっている1番のAメロのバッキング、めっちゃかっこいいです。

ソラ:そこはやっぱりソロのアーティストではないですから、Lenny code fictionとして、こういう王道のポップな曲をやるなら、アレンジの力が試されるというか、個々のフレーズがちゃんと際立つようにやりたかった。あとは、タイアップの大きさを考えると、今後僕らの代表曲にもなるだろうから、サウンド・プロデューサーのakkinさんにも"シンセよりもバンド・サウンドを聴かせたい"と相談しました。結局シンセも入れたんですけど、ちゃんとバンドのフレーズが聴こえるようなミックスにはなっているので、バンドでやっている意味を感じながら作り上げたってところでは、自信作になりましたね。

-kazuさんのベースは、KANDAIさんも言っていたとおり、かなり動いていますね。

kazu:デモを聴いたときは頭を抱えましたけどね(笑)。今までのシングル曲は、他のパートが目立つことが多かったり、メロディが覚えやすいキャッチーなものだったりしたので、ベースはあまり難しいことをせず縁の下の力持ちに徹していましたけど、今回それをしてしまったら、逆に曲の良さを引き出せないと思ったんです。航が作ったデモは、ベースはルート弾きだったんですけど、それだけじゃ面白くないから僕も新たな引き出しを開けようと思って、レコーディング当日まで悩みながら考えた結果、"1曲通して俺を聴け"って(笑)、そういう気持ちで弾いています。今まではスクエアなビート感の、タテがカチっと合っている曲が多かったんですけど、今回ミドル・テンポで結構跳ねたフレーズを入れているので、なかなか面白い曲になったと思っていますね。

-ソラさんのギターの聴きどころは――

ソラ:全部じゃないですか(笑)。ド頭のギター・スラップから、イントロの口ずさめるようなフレーズ、オート・ワウのカッティングって全体通していろいろやっているんですよ。ギター・ソロはギター・ヒーロー感もかなり意識しました。ギター・キッズが弾いてみたくなるようなフレーズをたくさん詰め込めたと思います。中でもイントロとか間奏とかに入っているメインのリフはコピーしてほしいなぁ。

-片桐さんは新しいタイプの曲ということで、ヴォーカリストとしてどんなことを意識しながら取り組んだんですか?

片桐:ガッツリしたAメロ、Bメロにしたので、そこは強気にいってて、サビはもう華やかに、飛ぶようにってことだけを意識しました。


悔しい思いや苦労を"一手で変える"日が絶対来ると思っている


-今までのシングルも、アニメの世界観に寄せながら片桐さん自身の心境の変化が反映されていましたが、「Make my story」も、バンドをやりながら思うことが刻まれているんじゃないかなと思いながら聴かせてもらいました。

片桐:そうですね。2番のAメロの歌詞なんてまさにそうですね。タイアップがいろいろ決まっていった時期や、フェスに出演させてもらえるようになったとき、いろいろ言う人たちがいたんですよ。"タイアップ決まっていいな"とか、"すぐフェスに出れていいな"とか。でも、そのぶん曲を作ったり、ライヴのリハーサルを重ねたり、見えないところでしてるんだよってことを言いたかったっていう(笑)。バンドをやっていても、うまくいくことばかりじゃない。ポップな曲と思わせておきながら、僕らがどんな思いをしているか、お前にはわからんやろってことをめっちゃ書きました(笑)。

-"100あった屈辱を"という歌詞もありますが。

片桐:悔しい思いをしたことって思い返してみたらめっちゃあったんですよ(笑)。ノルマを払ってライヴハウスに出たら、お客さんゼロみたいなことも昔はありました。そういう苦労を、歌詞にも書いているとおり"一手で変える"日が絶対来ると思っているんですけど、それはまさにロック・バンド精神っていうか。昔から"いつか覆すぞ"って思っていたんですけど、それをわかりやすく書いてみたんです。バンドを始めたころの初期衝動はまだまだなくなっていないと、歌詞を書きながら思ってました。

-それは裏返すと、未だにいいこともあれば、悔しい思いをすることもあるということですか?

片桐:もちろん、いろいろありますよ(笑)。

-そういうときはひとりで乗り越えるんですか。4人で一緒に乗り越えるんですか?

ソラ:個人個人ですね。

片桐:一緒に乗り越えていこうぜみたいなね。

ソラ:傷の舐め合いは――

kazu:ないですね。

ソラ:最近はお互いに干渉しないんで。昔は、"ここがダメなんじゃね?"って言い合ってたんですけど、今はもう、それぞれにわかっているから、"てめぇのことはてめぇでやれ"ってみんな思ってますね。むしろ悔しい思いをしたときこそ人間って一番伸びるって、この1~2年で実感したので、悔しいことがあっても、もうそんなに悲観しないというか、"あっ、今が伸びどきだ"って前向きに捉えられるようになりました。