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INTERVIEW

Japanese

3markets[ ]×それでも世界が続くなら

2017年12月号掲載

3markets[ ]×それでも世界が続くなら

3markets[ ]:カザマタカフミ(Gt/Vo)
それでも世界が続くなら:篠塚 将行(Vo/Gt)
インタビュアー:吉羽 さおり

-最初に篠塚さんにプロデュースを頼んだときは、こういう仕上がりの作品になるとは、思いもよらなかったという方向ですか。

カザマ:全然思ってないですね。アートワークをやってくれた世紀末さんも、今回ぜひ頼みたいというタイミングで、それもお願いするのにめっちゃ勇気が必要だったんですけど。どちらに連絡するのも、この流れに任せていくぜっていう勢いはありました。

篠塚:僕は僕がプロデューサーに立つことがスリマ(3markets[ ])にとって良かったのかどうかは、今でもわからないですけどね。スリマは、特にカザマ君は、自分の考えたものをそのまま通すという発想だったと思うんですよね。それが、"好きな人くらいは信じてみよう"っていうふうに変化したっていうのは、単純にいいことだったのかな。プレッシャーでしたけどね。

-ある種、ひとつのバンドの責任を負うことにもなりますしね。

篠塚:(カザマが)作っているものが、すごく好きな音楽だったので。極端に言うと、本質的には僕がいなくてもいいものになったと思ってますし。

カザマ:でも篠君がいなかったら、今ごろ解散していたと思いますよ。そのくらい追い詰められてた。お金がないとかじゃないんですけど、どうしていいのかわからないっていう感じではあって。

-どうしたら、もっといろんな人が3markets[ ]を聴いてくれるのかとか、どうすればもっとライヴに来てもらえるのかとか?

カザマ:そうです。

篠塚:でもさ、俺がやってる"それでも世界が続くなら"って、ある意味で、無駄に不特定多数に聴かれないようにしてるバンドとも言えるじゃない? 人を選んでるバンドだと思うので。そんな僕に頼むのは、覚悟がいることだろうなと思っていたんですよ。

カザマ:そこまで深く考えてなかったけどね。

篠塚:単純に、KOZUMIやってるんだから俺らもっていう?

カザマ:そう、やってるじゃんっていう(笑)。

-カザマさんの言う"売れたい"は、自分を曲げてまで売れたいってことではなかったんですよね。

カザマ:うん......でもどうなんですかね、十分曲がったなと思うんですよ。

-そうなんですか。

篠塚:だとすれば、そこだけは僕がプロデューサーで良かったなと思うところなんですけど、僕はカザマ君の芯の部分だけは絶対に曲げないようにしようと最初から思ってたからね。僕は、売れるためなんてもののために自分を曲げないでほしいと思う人間なので。例えば、カザマ君の歌詞を聴くと、3markets[ ]って"ひねくれている"ってイメージになると思うんです。でも僕から言わせれば、こんなにまっすぐな人もなかなかいないと思うんですよ。カザマ君は、純粋でまっすぐだからいろんなものにぶつかる気がするんです。「下北沢のギターロック」とか、ひねくれているように聴こえますけど、これって本当に興味がないバンドに対してなら、もっと適当に聴き流せばいいだけのことですよね。愛情の反対は嫌いじゃなくて無関心ですし。カザマ君が、いろんなものにまっすぐ向き合うからこそ、生まれてくる曲で。そこだけは誤解されずに伝わってほしい。

-「下北沢のギターロック」は、"下北沢の周辺は売れないバンドマンの巣窟"とか"あなたが頑張る 曲作りよりコネ作り"とか、皮肉たっぷりだし、面白おかしく書いていても腹を立てているのは伝わってくる曲ですね。

篠塚:「下北沢のギターロック」とかで歌ってるようなことって、自分が好きだったものが好きじゃなくなっていく感覚と、自分にとって面白くなくなっていく現代のロックに対しての警鐘じゃないですか。カザマ君本人がそういう自覚があって書いているわけではないと思うんですけど。これって、たまたまカザマ君が歌っただけで、同じように思ってる人はいて。この現代にいつ生まれてもおかしくない曲だったと思うんです。個人的にこの曲をMVにすることを推してたんですよ。でも怖がってるメンバーもいて。

カザマ:どちらかというと、規模が小さいからどうかなと思っていたんですよね。売れたいって言ってるわりには、"お前下北沢規模で全国に戦いに行くのか"っていう方が、強かったかな。

篠塚:3markets[ ]が、"ロック・シーンを変える"みたいなバンドになれなくても、何かを気づかせるようなバンドになれるなら、それって誰かの心を動かしているってことになると思うんですよね。人の心を動かすって簡単じゃない。だからこそ人の心に響くものが音楽じゃないなら、何が音楽だよって思った。大きなところを見てれば、結果なんてあとからついてくるんじゃないかなって思ったんです。だからこの曲(「下北沢のギターロック」)がMVになるのがいいなと思いましたね。

カザマ:何が面白いかって、この曲にはモデルみたいなバンドマンがいるんですけど。そいつがリツイートしてることがめちゃめちゃ面白い(笑)。お前のことだぞ! って。