Japanese
それでも世界が続くなら
Writer 吉羽 さおり
それでも世界が続くなら(以下:それせか)が、EPとしては初になる『僕は君に会えない』をリリースした。それせかはこれまで、ソングライターである篠塚将行(Vo/Gt)の学生時代の経験、また学校や社会と馴染めず疎外され、こぼれ落ちてしまった人たちの小さな声を拾い、歌で寄り添ってきた。今回のジャケット・アートワークはマスク姿で、コロナ禍の今の状況を映したものになっているが、コロナ禍となった今でもその姿勢は変わらない。むしろ日常生活が劇的な変化が余儀なくされたなか、神経過敏になって、多くの人が息苦しさを感じている現在は、もともと小さなその声はたくさんの意見やノイズに埋もれ、かき消されてもいるのかもしれない。『僕は君に会えない』は、変わらずにその小さな声、声にならない叫びに耳をすまして、その人の心や暮らしの機微を映し出している。救いたい、なんとか間に合ってほしいという思いは強い。でも、一方で、音楽は無力なのもわかっているし、尊大なものになってもいけない。歌の行間や、バンド・アンサンブルの間には常にふたつの想いが拮抗している感覚がある。ただ間違いないのは、これはあなたの歌であり、あなたにまっすぐ語り掛けた言葉だということだ。
今作は、先頃MVが公開された「ライフ/アフターライフ」でスタートする。篠塚は普段曲について、曲の背景について語ることはあまりないが、この「ライフ/アフターライフ」は彼氏と心中して自分だけが生き残ってしまった女の子の実話だという。扱い方によっては、センセーショナルな"ドラマ"になってしまいかねない内容だ。肉体的にも精神的にも自分の傍ら以上のものを失った"アフターライフ"をどう生きるか、生きることが許されるのか。たやすく触れることはできない重いテーマを、それせかは丁寧にすくいあげている。麻痺した時間のように響くビートやギター・アルペジオ、突如咆哮をあげるギターやベース、そして淡々と語るようなリズムと抑揚を持った、わずかに希望が滲んだメロディで綴った「ライフ/アフターライフ」は、第三者として肯定や否定をするのでなく、その女の子の声となって言い知れない現実や後悔、心の内を音楽にした。飾ることのない正直な歌だからこそ、"今度はひとりで 自分を好きになれるかな"というひとり言のような言葉が、誰かにとって輝く希望になるかもしれない。
"彼女が笑ってるのは/ずっと幸せだった からじゃない"。優しいヴォーカルでそう歌う「タイムトラベラー」はその笑顔に至る、笑顔の今日まで重ねてきた日々や、その物語を想像させる。そこにあるヒリヒリとした痛み、悲しみを描くのもそれせかだが、この曲では"君の流した涙の数よりも/もっとたくさん笑ってやろうぜ"と、不器用ながらも包容力のある歌を聴かせる。一貫して優しいヴォーカル、キラキラとしたウォール・オブ・サウンドで抱きしめるような曲になっている。かと思えば、「僕の音楽を聴いてくれてる君へ」ではきっとそれせかが、ソングライターである篠塚がずっと抱え続けているだろう、音楽への思いが率直に綴られた。実際に、聴いている人を困難な状況から引っ張り出して、救うことはできないかもしれない。ただ孤独な者同士、この音楽を聴いている間は、孤立せずにいられるのではないか。そんな思いが嗅ぎとれる。ギターが不穏なノイズを走らせ、爆音で疾走するサウンドは、決してその音楽が甘い理想や、希望でコーティングしたものでない、痛みや苦しみ、いくつもの眠れぬ夜や壮絶な生きる戦いでできていることを容赦なく伝えている。それを補足するように、続く「カウントダウン」では、"何かの 「為」 に生まれた訳じゃなくても/僕らは生きていいんだと 音楽に教わった"、"「誰かの為」 に 「何かをした」 瞬間に/嘘になってしまうものがある"というフレーズが放たれる。ここで、生きて、生きて、生きることを実直に音楽に写す。
コロナ禍の自粛生活にかかわらず家から出ることができない「生活と自粛」や、鬱でも出勤する友人との会話から生まれたという「月曜日」、また君の最後の言葉に、大事な思いに気付かされる「遺書」や、「猫と飛行機」まで、今日も街のどこかで叫びをあげる人が描かれる。歪みが効いた、ジャンルも定型もないオルタナティヴなサウンドは、とっつきやすいものではないかもしれない。でも、きっとこの爆音のアンサンブルに温かさや、優しさを感じる人もいるだろう。かつて、世の中に流れるポピュラー・ミュージックが描く光景には、自分のことは含まれていないと感じた少年が、自分のために書き続けている音楽。一度は活動中止に陥りながらも、2011年の結成からブレることなく奏でているそれせかの音楽。必要なときに、いい出会いをしてほしい音楽だ。
▼リリース情報
それでも世界が続くなら
1st EP
『僕は君に会えない』
NOW ON SALE
BZCS-1189/¥2,000(税別)
amazon
TOWER RECORDS
1. ライフ/アフターライフ
2. タイムトラベラー
3. 生活と自粛
4. 遺書
5. 僕の音楽を聴いてくれてる君へ
6. カウントダウン
7. 月曜日
8. 猫と飛行機
※CD版ボーナス・トラックあり
▼ライヴ情報
"揺_夢_続"
4月1日(木)初台DOORS
OPEN 18:15 / START 18:45
出演:それでも世界が続くなら / yumegiwa last girl / ユレルランドスケープ
[チケット]
前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(D代別)
詳細、予約はこちら
"ALTERNATIVE HARBOR ~She said~"
5月12日(水)下北沢CLUB Que
OPEN 18:30 / START 19:00
出演:それでも世界が続くなら / らせん。 / Ulon
[チケット]
前売 ¥2,800 /当日 ¥3,000(D代別)
詳細、予約はこちら
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
- 2025.10.16
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
YOASOBI
PEDRO
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
"Shimokitazawa SOUND CRUISING presents. サウクルラボ vol.1"
SCANDAL
SIX LOUNGE
brainchild's
- 2025.10.17
-
挫・人間
キュウソネコカミ
打首獄門同好会
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
a flood of circle
ズーカラデル
LONGMAN
chilldspot
otsumami feat.mikan
リュックと添い寝ごはん
コレサワ
神聖かまってちゃん
終活クラブ
NOMELON NOLEMON
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
フラワーカンパニーズ
SUPER BEAVER
東京スカパラダイスオーケストラ
BIGMAMA
Bimi
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
- 2025.10.22
-
ザ・シスターズハイ
打首獄門同好会
キュウソネコカミ
ハク。× YONLAPA
ザ・ダービーズ
MONOEYES
挫・人間
VOI SQUARE CAT
kiki vivi lily
- 2025.10.23
-
DYGL
RADWIMPS
キュウソネコカミ
終活クラブ×ザ・シスターズハイ
MONOEYES
挫・人間
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
RAY
古墳シスターズ
トンボコープ
go!go!vanillas
- 2025.10.24
-
LUCKY TAPES
ExWHYZ
RADWIMPS
amazarashi
YOASOBI
YONA YONA WEEKENDERS
TenTwenty
DYGL
アイナ・ジ・エンド
THE BACK HORN
すなお
ポルカドットスティングレイ
OKAMOTO'S
藤巻亮太
キタニタツヤ
FIVE NEW OLD / 浪漫革命 / MONONOKE(O.A.)
WHISPER OUT LOUD
Cody・Lee(李)
BIGMAMA
僕には通じない
NOMELON NOLEMON
PEDRO
アーバンギャルド
- 2025.10.25
-
フラワーカンパニーズ
秋山黄色
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
コレサワ
超☆社会的サンダル
eastern youth
打首獄門同好会 / ガガガSP / 片平里菜 / AMEFURASSHI ほか
chilldspot
TOKYOてふてふ
brainchild's
フレデリック
LACCO TOWER
YOASOBI
森 翼
Appare!
Rei
Age Factory
DeNeel
osage
優里
Lucky Kilimanjaro
KANA-BOON
ASH DA HERO
the paddles
シド
cinema staff
SUPER BEAVER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
bokula.
橋本 薫(Helsinki Lambda Club)
toe
ザ・ダービーズ
山内総一郎
INORAN
藤巻亮太
Omoinotake
OASIS
- 2025.10.26
-
フラワーカンパニーズ
DOES
センチミリメンタル
THE BACK HORN
Lucky Kilimanjaro
東京スカパラダイスオーケストラ
崎山蒼志
PIGGS
KANA-BOON
eastern youth
渡會将士
森 翼
超能力戦士ドリアン
優里
bokula.
モーモールルギャバン×ザ・シスターズハイ
オレンジスパイニクラブ
Appare!
ポルカドットスティングレイ
Age Factory
古墳シスターズ
Cody・Lee(李)
DeNeel
Mrs. GREEN APPLE
osage
阿部真央
moon drop
jizue
DYGL
INORAN
OASIS
ACIDMAN
9mm Parabellum Bullet
I Don't Like Mondays.
- 2025.10.27
-
YOASOBI
錯乱前戦
Damiano David(MÅNESKIN)
- 2025.10.28
-
終活クラブ
SIX LOUNGE
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
吉澤嘉代子
藤巻亮太
超能力戦士ドリアン
サニーデイ・サービス × NOT WONK
リュックと添い寝ごはん
- 2025.10.29
-
吉澤嘉代子
Damiano David(MÅNESKIN)
amazarashi
キュウソネコカミ
moon drop
怒髪天
RELEASE INFO
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.16
- 2025.10.17
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.26
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
- 2025.11.07
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号