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INTERVIEW

Japanese

ドラマストア

2017年10月号掲載

ドラマストア

Member:長谷川 海(Vo/Gt) 鳥山 昂(Gt/Pf)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-ドラマストアには"君を主人公にする音楽"っていうテーマがあるし、今回ももちろん聴き手に寄り添うような音や言葉が選ばれてる印象はあるんですけど、突き詰めると今回は3曲とも、バンドや長谷川さんご自身が主人公ですよね。

長谷川:そうですね。そういえば『白紙台本』はデモを(他のメンバーに)送るときも2番以降は書かないようにしてたんですよ。長くても1分半ぐらいにして、そこから連想されるイントロやその先の展開をみんなで考えるっていう作り方が多かったんですけど、今回は僕が軸をちゃんと書いて、そこにメンバーがついてきてくれたっていう感じでしたね。以前のような作り方をしたのは、今回は「ラストダイアリー」だけで、しかもその「ラストダイアリー」も、最後の最後で僕がいったん書き直してるし。

-そうだったんですね。そういう作り方が影響してか、3曲とも、基本的に登場人物に"僕"が出てこないんですよ。"僕ら"もいわゆる"君と僕"じゃなくて"過去の僕と現在(もしくは未来)の僕"という感じで。

長谷川:そうですね。特にそれが顕著に出てるのは「あさきゆめみし」やと思うんですけど、この曲はとある漫画からアイディアをいただいて書いた曲で。その漫画がざっくり言うと"愛人を作りたかったけど結局できませんでした、はっはっは!"っていう不倫コメディみたいなお話なんですけど、背徳感やスリルというか、甘い蜜の味を覚えてしまったら現代人はそっちへ行ってしまいがちだけど、"二面性を踏み越えてひとつの存在になった途端、夢は覚めてしまうものですよ"ということを書きたかったんです。そういうふうに、今おる自分やったり、普段押し殺してる自分やったり、もしくは遠い昔に感じてた自分やったり――いろいろな局面での"自分"と"もうひとりの自分"に対して書いた曲が多いですね。「ハロー彗星」と「あさきゆめみし」はもう、すぐに書けたんですよ。

-「ラストダイアリー」は?

長谷川:この曲はドラマストア史上一番時間がかかりましたね。何か納得がいかへん部分があって、"いや、まだ出る"ってこだわりすぎちゃったり、"ちょっとフレーズ変えた方がいいんかな?"、"コーラスこうした方がいいか"みたいなところで言い合いになったり--――予定よりすごく(時間が)押しちゃって。

-ストリングスを取り入れていたり、何度も転調したり、7拍子になる箇所があったり、王道に聴こえるけど意外とそうじゃないですよね。

長谷川:そのあたりは和也君の発案です。僕はシンガー・ソングライター気質なのでスパンと書いちゃうんですけど、彼は"これって面白いかな?"っていう疑問を抱きがちなんですね。いったん聴き手サイドに立って、ひと工夫、ふた工夫入れる役割というか。

-あと、「ラストダイアリー」にある"衝動に身を委ねた あの日あの時"って「ハロー彗星」でいう"18の夏休み"ですよね。最新曲と結成当初からある曲がリンクしてるなんて面白いなと思って。

長谷川:あぁ! 他の2曲とは違って、「ラストダイアリー」は和也君から"メインの曲はこういうふうにしたいから頑張ってくれ"っていうふうにオーダーをもらった曲だったんですよ。だから他の2曲の収録が決まったとき、もしかしたら和也君の中で"それなら「ラストダイアリー」はこういう曲にしよう"っていうのがあったのかもしれませんね。

-そのあたりを松本さんご本人に訊けないのが若干もどかしいですが......。

長谷川:すみません(笑)。でも「ラストダイアリー」を書いたときは僕の中で、バンドを始めたころのような "ヤッベー、俺今生きてる! 楽しい!!!!"という想いが帰ってきたタイミングだったんですよね。"このライヴ、お客さんが3人だったとしてもたぶん同じぐらい楽しいわ!"みたいな楽しみ方になる日がツアー中によくあったので、それで純粋な気持ちがよみがえってきたというか、衝動に身を委ねたあの日あのときを身体が覚えてたというか。

-ベースの松岡さんが脱退して再び3人になってしまったときはどうなることかと思ってたんですけど、そんななかでも、それだけ充実したツアーを回れていたんですね。

長谷川:そうですね。その件に関してはファンの方にはすごくご迷惑をお掛けしたと思ってるんですけど、ツアーはそんな感じのテンションでした。

鳥山:僕は今までを知らなかったので、こういう、初期衝動を思い出すような楽しさ自体も初めてなんですけど――

長谷川:そっか。今楽しい?

鳥山:今楽しいです。

長谷川:......言わせた感あるなぁ。