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INTERVIEW

Japanese

PELICAN FANCLUB

2017年05月号掲載

PELICAN FANCLUB

Member:エンドウ アンリ(Gt/Vo) クルマダ ヤスフミ(Gt) カミヤマ リョウタツ(Ba) シミズ ヒロフミ(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

-やりとりがスムーズにいったのは慣れというか、一緒に過ごしてきた時間が長くなってきたからこそできるようになったことなんでしょうか。

エンドウ:僕が思ったのは、合宿をしているときに、4人それぞれの作曲方法がお互いにわかったというか。そこで"彼はこういうやり方が得意なんだ"っていうのが共通認識として持てたので、役割分担に対しての理解度が高まったっていうのが、曲作りが潤滑になった理由かなと。

-ちなみに、具体的に言うと誰が何を得意としていると認識していますか?

エンドウ:僕は作詞が得意です。

クルマダ:カミちゃん(カミヤマ)は作曲の全体的なところを考えることかな。

カミヤマ:あぁ、そうですね。全体のバンド・アレンジを考えるのが好きで、こういうアンサンブルだったらかっこいいんじゃないかとか、このリフに対してこういうドラムだったらかっこいいんじゃない? っていうのを結構投げていますね。それがなかなか思いつかないときに、クルちゃんにギター・リフを考えといてくれって言って、いくつもギター・リフを出してもらうっていうことをやっていたし、シミ君には1サビ以降の構成を考えてほしいって言って考えてもらったりしたので。まぁ、分業ですね(笑)。

-以前はエンドウさんが中心となって作曲しているイメージだったのですが、今のような制作スタイルになってからエンドウさん自身、刺激を受けたり発見したりすることも多いですか?

エンドウ:発見はかなり多いですね。やっぱり、自分にないものがみんなにはあるわけですから。自分にはないものを自分の曲として演奏できるっていう喜びはありますね。

カミヤマ:個人的には、制作のやり方が変わったというよりは、やり方がひとつ増えたという感じで。エンドウが主体となって作った曲もアルバムに収録されているし、新しいやり方で作った曲もあるし、逆にもっと昔のやり方で、スタジオで"せーの"でセッションしながら作った曲もあるし。

-曲ごとの振り幅が大きいのは、そういう作り方による違いも出ているんでしょうね。サウンドにおいては奥行きが増して、より曲に立体感が生まれた印象がありました。

エンドウ:シチュエーションは結構気にした作品ではありました。例えば、「深呼吸」(Track.1)では本当に深呼吸の音を入れたり、「Black Beauty」(Track.4)では僕の怒りの声を入れたり。その、気づかないかもしれない音ひとつだけで曲に奥行きが生まれた部分はありましたね。

カミヤマ:いくところはいく、いかないところはいかない、みたいな。クリーンな音像にしたいところは思いっきりきれいにして、逆にエグい感じでもいいなっていうところは極端なエフェクトのかけ方をして、その差がわかりやすいように作りました。

-振り切った曲だと、「Black Beauty」は特にインパクトがありました。この曲はサビと2番のAメロの歌の狂気がものすごいです。

エンドウ:「Black Beauty」の2番のAメロは、僕が尊敬している平沢 進さんの、P-MODEL初期の歌い方にすごく憧れがあってやってみました。歌い方を変えることを意識したというよりは、憧れに対してそれをやってみたっていう感じとか、こうやったら面白いかな? みたいな感覚の方が強くて。やってみたら意外とハマりました。

-エンドウさんは、憧れに対してやってみようというのを再現できる、多彩な表現力をお持ちだなといつも思います。

エンドウ:本当ですか? でも、それはメンバーの支えがあってのことだと思います。

クルマダ&カミヤマ&シミズ:美しいバンド愛だ......(笑)!

-先ほど曲のシチュエーションを意識されたとおっしゃっていましたが、少ない音数ながらも曲の雰囲気をしっかりと表現しているなと思ったのは、特に「夜の高速」(Track.6)です。"ブラックコーヒーを片手にひと息つこうよ"のあとにコーヒー缶を開ける音が入っていますよね? あそこ、グッときました(笑)。

シミズ:グッとくるポイントです(笑)。

-まさに、景色が浮かぶような曲の作りになっていますよね。

カミヤマ:この曲はあらかじめ"夜の高速"っていうテーマを決めて、スタジオでセッションしてイチから作った曲なんですよ。それで最初から、音数が少ない方がいいよねっていう話をしてたから、自然とそういう曲になったというか。スタジオ・アレンジからほぼいじってないですね。

-また、「Trash Trace」(Track.9)と「朝の次へ」(Track.11)ではシンセサイザー・アドバイザーとしてAvec Avecさんがクレジットされていますが、これは?

カミヤマ:「Dali」のリミックスをやってもらったこともあるんですけど、僕らはシンセのアレンジにそんなに詳しいわけではないから、それだったら一番信頼できる人に相談した方がいいよねっていう話になって。音色とかいろいろ相談して、"こういうのがいいんじゃない?"って提案してくれたものに対して、"もうちょっとこういう感じがいいかもしれないです"っていうやりとりをしました。Avec Avecさんのすごいところは、伝えたイメージに対してドンピシャなものをくれるんですよ。

エンドウ:シンセの音ひとつなんですけど、それだけで十分かっこいいなと思えるんですよね。

シミズ:Avec Avecさんとはお互いにリスペクトし合っている部分もあって。だからこそ、音に関する話がしやすいんです。

-そのシンセが加わった曲のひとつである「Trash Trace」は、単純に曲自体のスケールが大きいところも素晴らしいんですけど、サビの合唱がまた熱っぽくて感動的なんですよね。今まで、こういうアプローチはあまりなかったですよね?

エンドウ:カミヤマ君が合唱したいって言い出したんですよ。

カミヤマ:デモの段階から声を重ねてたんですけど、デモだと僕の声×4なのでめっちゃ気持ち悪いんですよね(笑)。

一同:(笑)

カミヤマ:でも、レコーディングではちゃんとみんなの声を入れて、すごくきれいに混ざって"これだ!"って思いました。ライヴではまだやっていない曲なので、素晴らしい形で見せられたらなと思います。

シミズ:ライヴでは、お客さん全員に歌ってほしいですね。