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INTERVIEW

Japanese

岡崎体育 × てっくん

 

岡崎体育 × てっくん

岡崎体育
てっくん
インタビュアー:松井 恵梨菜 Photo by 川村 隼也

-そのスタイルはこれからも続けていくんですか?

岡崎体育:『BASIN TECHNO』は収録曲の8割がネタ曲で、2割が真面目に作った曲っていう割り振りだったので、徐々にその割合をフィフティ/フィフティくらいにしていけたらなとは思いますね。

-その両方が岡崎体育さんの魅力だと思いますので、ぜひ両方続けてほしいです。ネタ曲のアイディアはどんなものからインスピレーションを受けるんですか?

岡崎体育:どちらかと言うと、ネガティヴな出来事から思い浮かぶことが多いですね。例えば、2番で歌詞を忘れる曲(『BASIN TECHNO』収録曲「Voice Of Heart」)があるんですけど、実際に昔、ライヴで2番の歌詞を丸ごと忘れてしまったことがあって。実際に起こったアクシデントを定義化して、そういうネタにしたら面白いんじゃないかという、逆転の発想みたいなものです。例えば、音楽番組で口パクしてるアーティストが歌詞を間違えて口パクがバレるのを見てインスピレーションを受けたり、難しすぎるコール&レスポンスをやってるバンドを見て、"こんなの絶対できへんやんけ"と思って、絶対できひんコール&レスポンスの曲を書いたり。

-自らの音楽性として"盆地テクノ"を掲げていらっしゃいますが、その由来はなんでしょう?

岡崎体育:音楽活動をするにあたって、何か自分の指標になるものとか、"自分はこういうスタイルでやっていくんだ"って胸に刻んでおけることがあったらいいなと思って。それで本当に何の気なしに、京都の盆地を拠点に活動してて、テクノ・ポップっぽいサウンドの音楽を作ってるから、"盆地テクノ"っていうワードを掲げて音楽をやっています。

-その言葉を胸に、今年5月にいよいよメジャー・デビューされたわけですが、てっくんから見て、デビュー後の岡崎体育さんに何か変化はありましたか?

てっくん:「FRIENDS」をライヴでやったあとに、体育君が僕を机に置くときの荒さが増しました。最近は前以上にぞんざいな扱いになってます。

-変わってしまったんですね......。岡崎体育さんはデビュー後、初めてのCM出演や、"ミュージックステーション"の出演など、様々な出来事があったかと思いますが、特に印象に残っていることはなんでしょうか?

岡崎体育:やっぱり"ミュージックステーション"への出演ですかね。それまでもテレビの音楽番組に出させてもらったことはあったんですけど、(パフォーマンスはなく)コメンテーターとしての出演だったんですよ。僕も今年デビューしたばっかりやのに、今キテいる他の新人アーティストを紹介するという。でも、デビュー作のリリースから5ヶ月くらい経ってるのに、その収録曲をやらせてもらえたし、音楽番組でパフォーマンスしたのが初めてだったので嬉しかったですね。

-先ほどもお話に出た、「Voice Of Heart」を披露して2番の歌詞を忘れる演出をされていて、やってくれるなぁと思いました(笑)。出演するからには、そこでもインパクトを残そうと?

岡崎体育:やっぱりただ出て、曲をやって終わりってなると印象に残らないので。奇抜なことをやるともちろん批判もあるけど、それがなければ売れないと思うんですよ。だから、それ覚悟で奇をてらったことをやったんです。実際に"岡崎体育"という名前がTwitterのトレンドに入ったりしたので、作戦は成功したかなと思います。

-そんな充実した日々を経て、12月7日に1stシングル『潮風』をリリースされます。その表題曲のTrack.1はアニメ"舟を編む"のオープニング・テーマ書き下ろしですが、曲を書くにあたって、まずは原作を読まれたんですか?

岡崎体育:全部は読めてないんですけど、原作の本にざっと目を通して大事そうなフレーズに付箋を貼ったり、アニメの制作の方にどういう作品を望んでいらっしゃるのかをヒアリングしたりして、発注内容をいかに僕らしく咀嚼して形にできるかってところを提案しながら作曲していきました。

-具体的にはどんなイメージで制作されたのでしょうか?

岡崎体育:"舟を編む"がアカデミックな作品なので、アカデミックな楽曲を一度納品したんですけど、制作の方はキラキラしたサウンドを望んでいるとのことだったんですね。それで書き直してできた曲が「潮風」です。僕が最初に"舟を編む"に触れた印象で書かれているのは、実はカップリングの「チューリップ」(Track.2)なんですよ。

-そうなんですね! 「チューリップ」も"舟を編む"のエッセンスが入っているように感じたので、なんらかの関連性があるのかなと気になっていたんですよ。「チューリップ」はシリアスなムードがあって、ピアノやヴァイオリンもフィーチャーしており、岡崎体育さんの曲としては新鮮でした。

岡崎体育:編曲をHARCOさんという方と僕の共同で行ったんですね。僕が作ったデモの段階での編曲は全然違うもので、HARCOさんと作っていくなかで、ギター・ロック・サウンドっぽいものになっていったんですよ。初めて生音でレコーディングした曲なんですけど、僕自身もすごく新鮮で。ずっと打ち込みで曲を作ってきたので、生音で演奏したり録音したりするのって、こんなに面白みがあるんやなって感じて楽しかったですね。

-では、仕上がりとしてもこれまでとは違った手応えがあったんでしょうか?

岡崎体育:僕が今まで打ち込みだから気にしていた人工的な感じが全部取っ払われて、ちょっとした音のズレやグルーヴ感が聴いててこんなに気持ちいいものなんだなと。人のあたたかみのある音っていいなぁと思って、"バンドざまぁみろ"という気持ちがちょっと薄れましたね。

てっくん:いつか僕の曲(「FRIENDS」)も生音で作りたいですね!

-今後、生音での挑戦は増えていきそうですね。「潮風」は"人間的対義性"をテーマに書かれたということで、歌詞は対義語が並んでいます。"舟を編む"のストーリーやキャラクターを知ったうえで読むと、より面白かったです。

岡崎体育:"舟を編む"は主人公とその相棒がフィーチャーされている作品なんですけども、ふたりが全然違うタイプのキャラクターなので、その性格の違いとかを曲で表せたらいいなと思い、対義語をいっぱい並べました。まずはメモに単語をバーッと書いていって、そこから組み合わせられそうな言葉を繋げていくっていうやり方なので、そんなに深いメッセージ性もないし、自由律俳句みたいな感じで。単純に、聴いてて耳が気持ちいい音を並べてるだけなんですよ。