Japanese
岡崎体育
Skream! マガジン 2022年01月号掲載
2021.11.23 @横浜アリーナ
Writer 秦 理絵 Photo by 中島たくみ、鈴木健太
タイトルに偽りなし。本当に"めっちゃめちゃおもしろライブ"だった。岡崎体育が、関東では約2年ぶりのワンマンとして開催した横浜アリーナ公演だ。今年10月にリリースされたアルバム『FIGHT CLUB』を引っ提げたこの日は、アルバムの全曲が余すところなく披露された。数多くの仕掛けが用意され、笑いの絶えないライヴだったが、決してお祭り的に盛り上がるだけでもなかった。かつてネタ曲で一大ムーブメントを巻き起こした岡崎が、新しい時代でも戦っていけることを証明するような最新アルバム『FIGHT CLUB』。そこにしっかりと軸足を置いたライヴは、アップデートし続ける岡崎体育の現在地を5,300人のお客さんの前で表明する熱い一夜になった。
開演時間が近づくにつれて客席にペンライトが灯り始めた。SEが流れ、レーザーが激しく旋回するなかで高まる昂揚感。ステージにバンッと照明がつくと、腕を力強く頭上に突き上げた岡崎体育が立っていた。1曲目は「Okazaki Little Opera」。トラップに荘厳なコーラスをかぶせた先鋭的な楽曲に乗せて、上下水色のジャージ姿の岡崎が不敵にラップを刻んだ。攻撃的なEDMナンバー「Championship」では、歌詞の"PA徳重音上げろ"をリアルに再現。フェスのクイック・レポートをネタにした「Quick Report」では、スクリーンにOT.comという架空のWEBメディアを映し出したユニークな演出でも笑いをとり、文字どおり"会場のボルテージは最高潮に"あがっていく。"Yes"のひと言しか発しない、ほぼインストのテクノ・ナンバー「Yes」ではYouTubeの人気コンテンツ"THE FIRST TAKE FES vol.1"で見せた"言いそうで言わないカメラ目線"も生再現。音楽的にはアーティストとしての進化をきっちり感じさせながら、誰もが楽しめる、親しみやすい工夫がこれでもかと詰め込まれた岡崎体育ワールドが、集まったお客さんを根こそぎ笑顔に変えていった。
序盤ですでに岡崎は汗ダクだ。1、2曲ごとにMC(休憩)を挟むなか、岡崎のメロディメイカーとしての矜持を感じさせた「おっさん」は素晴らしかった。軽妙で心弾むサウンドに乗せて、"おっさんおっさん"と歌うサビで、お客さんが左右に大きく腕を振った。今年32歳を迎えた岡崎が、年を重ねても自分自身を"更新"していきたいと戒めるために作った楽曲だ。世の中には数えきれないくらいの愛の歌やエール・ソングが溢れるが、そのなかで岡崎体育が圧倒的に唯一無二なのは、こういう視点の、ハッと何かを気づかせる歌を、優しく、鋭く歌えるからだろう。
パペットのてっくんとの友情を歌った人気曲「FRIENDS」の衝撃のオチで、会場の子どもたちを震え上がらせたあと、その空気を和ますように、"ポケットモンスター"作品に書き下ろした、少年少女へのエール・ソング「キミの冒険」、父親目線の想いを綴ったミディアム・バラード「ふしぎなふしぎな生きもの」を2曲続けて届けた。岡崎の客層は子どもからお年寄りまで幅広いが、この2曲を歌うときは、どこか子どもたちに語り掛けるように岡崎の表情が心なしか優しくなるのが印象的だった。
『FIGHT CLUB』というアルバムは歌モノが多くなったと振り返り、"唯一のバラードを"と紹介したのは「湖」。スモークが焚かれ、月下の湖畔をモチーフにした水彩画をスクリーンに映すと、ストリングスとピアノの伴奏に乗せて独白のように歌を紡いだ。なかなか曲が書けなかった時期に作ったという「Eagle」はミニマルなサウンドが次第にダイナミックに昇華していく。ひとり家で生み落とした楽曲がやがて広い会場で鳴らされる歓びが綴られたこの楽曲の中で、岡崎は"僕の使命は音楽家として、今日来てくれた人を楽しませることだと思っています!"と叫び、第1部を締めくくった。
5分間の休憩を挟み、第2部の口火を切った「Fight on the Web」は痛快だった。ステージにはソニーの社員がバンド・メンバーに扮して登場。ネット上の論争をテーマにしたミュージック・ビデオを横アリVer.に変えて舞台裏で生再現し、そのインターネット・バトルの相手がマキシマム ザ ホルモンのナヲ(ドラムと女声と姉)であることが明かされると、会場は大いに沸いた。岡崎が再びステージへ。「XXL」を皮切りに、じゃんけんで勝った人だけがジャンプすることができる「R.S.P」や、感情移入して歌い上げるバラードに心の声が茶々を入れる「Voice Of Heart 2」など、キラーチューンを畳み掛けていく。
"なるべく近くに寄って歌わせてもらおうと思います"と、終盤は自転車で左右に伸びた花道に移動して歌唱。下手(しもて)では"アルバムの中の一番捨て曲をやらせてもらおうと思います。テレビ見ながら40分で作った曲です"と、脱力感のあるエレクトロ・ポップ「普通の日」でアットホームな空間を作り上げると、次は上手(かみて)へ。"あっちでは捨て曲って言ったけど、こっちでは僕の気に入ってる曲をやろうかな......いや、あっちのお客さん、ごめん! 嘘やで。「普通の日」も俺結構気に入ってるから"。そんなお喋りで笑わせつつ、爽やかなロック・ナンバー「八月の冒険者」を届ける。散歩中に出会う、ひとりで遊んでいる少年をモチーフにしたというその楽曲について、"(その子が)なんかかっこいい、すげぇやつになりそうな気がする"と、嬉しそうに語る姿も印象的だった。岡崎が言う"捨て曲"は、本当の意味の"捨て曲"ではない。実はそこに大切なことが詰まっていたりする。12星座の占いをネタにした「Horoscope」もそうだった。占い師風に黒いベールで顔を覆って歌う岡崎。横アリVer.にアレンジされた占いの歌詞はむちゃくちゃだったが、この曲の根底には、運命は自分で切り開いてほしい、というメッセージがあった。
"あと2曲です"。最後に届けたのは岡崎にとって大事な楽曲だ。フォーキーなメロディに乗せて、"いい曲はいい人と共に"と繰り返すフレーズ。音楽家としての葛藤と、それでも見失いたくない大切な想いを込めた「エクレア」を、岡崎は両手で強くマイクを握りしめて歌い上げた。最後は、2年前さいたまスーパーアリーナの単独公演でもラスト・ナンバーとして届けた「The Abyss」。"また音楽を通してみなさんに楽しい思い出を作ってもらいました。最高の人生です"と万感の思いを伝えた岡崎は、ミラーボールが放つ光が会場全体を包み込み、美しくアップリフティングしていくサウンドの中で、"みんなが楽しんでくれる音楽を作っていくので、これからもよろしく!"と叫んだ。それは、この時間、この場所に岡崎体育が存在していたことを、確かに刻むフィナーレだった。
アンコールは、「Hospital」で始まった。ストイックな8ビートのロックに"病院行けや"と乗せる歌詞のギャップがユニークな楽曲だ。そのアウトロでエア・ドラムとエア・ギターまで律儀にやり切り、ラストは"岡崎体育が作った曲の中で一番好きな曲です。この曲をやるためだけにライヴをやっていると言っても過言ではない"と伝えて、故郷 京都に流れる鴨川を舞台にくすぶっていた大学時代の心境を綴った「鴨川等間隔」で、全23曲のライヴを締めくくった。
この日の横アリは数日前まで500枚のチケットが売れ残っていた。ステージでも、"Twitterで泥臭く宣伝して完売しました"と言っていたが、滑り込みでソールド・アウトをもぎ取ったのだ。憶測だが、アーティストにとって"チケットが余っている"と潔く伝えることは勇気がいることでもあると思う。それでも、成功を掴みとるために最善を尽くす岡崎体育のスタンスは、がむしゃらで全力な生き方こそがかっこいいと、そんなことも私たちに教えてくれた気がした。
- 1
LIVE INFO
- 2023.12.01
-
ヤバイTシャツ屋さん
THE BACK HORN
never young beach
CENT
SIX LOUNGE
FAKE TYPE.
ずっと真夜中でいいのに。
ASP
w.o.d.
Maki
sumika ※開催延期
LiSA
"年末調整GIG 2023"
BACK LIFT
女王蜂
オレンジスパイニクラブ
ヒトリエ
神はサイコロを振らない
安藤裕子
DURAN
World's End Super Nova
Organic Call / Bye-Bye-Handの方程式 / Arakezuri / Atomic Skipper
Chapman
Vaundy
the shes gone
ハンブレッダーズ
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
- 2023.12.02
-
ビレッジマンズストア
chelmico
Lenny code fiction
go!go!vanillas
セックスマシーン!!
上白石萌音
KALMA
CENT
The Biscats
the quiet room
Kroi
ずっと真夜中でいいのに。
ASP
Academic BANANA
AIRFLIP
wacci
めいちゃん
tricot
sumika ※開催延期
LiSA
崎山蒼志 / MONO NO AWARE / 奇妙礼太郎 / 離婚伝説
YONA YONA WEEKENDERS
片平里菜
Ivy to Fraudulent Game
夜の本気ダンス
マカロニえんぴつ
Laughing Hick
mol-74
シナリオアート
World's End Super Nova
anew
w.o.d.
TOKYOてふてふ
indigo la End
真っ白なキャンバス
"下北沢にて'23"
KANA-BOON
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
MÅNESKIN
I Don't Like Mondays.
Vaundy
- 2023.12.03
-
ヤングスキニー
ASP
ビレッジマンズストア
上白石萌音
ヤバイTシャツ屋さん
chelmico
フレデリック
go!go!vanillas
THE BACK HORN
Maki
MAPA
ZOC
パスピエ
anew
The Biscats
豆柴の大群
KiSS KiSS
SIX LOUNGE
THE CHARM PARK × 大橋トリオ
めいちゃん
tricot
ねぐせ。
a flood of circle / ドミコ / the dadadadys ほか
the paddles
AIRFLIP
YONA YONA WEEKENDERS
片平里菜
Ivy to Fraudulent Game
夜の本気ダンス
マカロニえんぴつ
POPPiNG EMO × NOW DRAMATiC × SUPER REPLiCA
レイラ
マコトコンドウ
DURAN
The Cheserasera
Amber's
アーバンギャルド
君島大空
ナードマグネット
TOKYOてふてふ
indigo la End
LACCO TOWER
ズーカラデル
ハンブレッダーズ
小林柊矢
brainchild's
MÅNESKIN
Vaundy
- 2023.12.05
-
村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH) / 佐々木亮介(a flood of circle)ほか
ビレッジマンズストア
go!go!vanillas
神聖かまってちゃん
山口一郎(サカナクション)
UNISON SQUARE GARDEN
Saucy Dog
THE CHARM PARK × 大橋トリオ
片平里菜
UVERworld
Cody・Lee(李)
NEE
Mega Shinnosuke
コレサワ
MÅNESKIN
- 2023.12.06
-
村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH) / 佐々木亮介(a flood of circle)ほか
安藤裕子
GRAPEVINE
DURAN
CENT
UNISON SQUARE GARDEN
オレンジスパイニクラブ
Saucy Dog
東京スカパラダイスオーケストラ
UVERworld
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
LEEVELLES
Keishi Tanaka
WurtS
yonawo
"ミライオトロック × LIVEHOLIC共同企画"
- 2023.12.07
-
amazarashi
BLUE ENCOUNT
マハラージャン
sumika ※開催延期
村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH) / 佐々木亮介(a flood of circle)ほか
感覚ピエロ
ゆいにしお
mol-74
MÅNESKIN
ASP
GRAPEVINE
片平里菜
PEOPLE 1
No Buses
QUBIT
キュウソネコカミ
WurtS
- 2023.12.08
-
THE CHARM PARK × 大橋トリオ
sumika ※開催延期
THE BACK HORN
FIVE NEW OLD
ずっと真夜中でいいのに。
Saucy Dog
女王蜂
ビレッジマンズストア
BACK LIFT
岡崎体育
ドミコ
ヒトリエ
ASH DA HERO
ゆいにしお
ASP
東京スカパラダイスオーケストラ
君島大空
UVERworld
PEOPLE 1
[Alexandros]
flumpool
WANIMA
PK shampoo
never young beach
眉村ちあき
凛として時雨
- 2023.12.09
-
SPECIAL OTHERS
めいちゃん
ハンブレッダーズ
Vaundy
豆柴の大群
四星球
Ivy to Fraudulent Game
ART-SCHOOL
TOKYOてふてふ
ずっと真夜中でいいのに。
YONA YONA WEEKENDERS
クリープハイプ / SUPER BEAVER / My Hair is Bad ほか
パピプぺポは難しい
KANA-BOON
LiSA
Keishi Tanaka
Lucky Kilimanjaro
ASP
Panic Monster !n Wonderland
ExWHYZ
神聖かまってちゃん
BACK LIFT
伊東歌詞太郎
片平里菜
indigo la End
岡崎体育
FINLANDS ※振替公演
ヒトリエ
CENT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASH DA HERO
[Alexandros]
Rei
ZOC
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
パスピエ
モーモールルギャバン
flumpool
Orangestar / かいりきベア / みきとP
JYOCHO
People In The Box
9mm Parabellum Bullet
竹内アンナ
空想委員会
オレンジスパイニクラブ
"激ロックDJパーティー"
- 2023.12.10
-
めいちゃん
FIVE NEW OLD
ハンブレッダーズ
THE BACK HORN
Vaundy
TOKYOてふてふ
Creepy Nuts / クリープハイプ / sumika[roof session]
PK shampoo
YONA YONA WEEKENDERS
go!go!vanillas / THE BAWDIES / Novelbright ほか
KANA-BOON
フレデリック
LiSA
Keishi Tanaka
yonawo
ASP
DENIMS
ART-SCHOOL
君島大空
SHE'S
Panic Monster !n Wonderland
UVERworld
The Whoops
fusen
THE CHARM PARK × 大橋トリオ
Academic BANANA
DURAN
シンガーズハイ
リーガルリリー
Conton Candy
Homecomings
- 2023.12.11
-
ヤバイTシャツ屋さん
Age Factory
片平里菜
ずっと真夜中でいいのに。
ヒトリエ
ASP
DENIMS
amazarashi
BBHF
UNISON SQUARE GARDEN
- 2023.12.12
-
坂本慎太郎
キュウソネコカミ
SIX LOUNGE
ASP
may in film
女王蜂
- 2023.12.13
-
ヤバイTシャツ屋さん
神聖かまってちゃん
キュウソネコカミ
片平里菜
ずっと真夜中でいいのに。
SIX LOUNGE
yonawo
ExWHYZ
大森靖子
怒髪天 / KEYTALK
ヲドルマヨナカ
UVERworld
秋山黄色
ドミコ
- 2023.12.14
-
感覚ピエロ
CENT
ヤバイTシャツ屋さん
PEOPLE 1
World's End Super Nova
KANA-BOON
ずっと真夜中でいいのに。
yonawo
ASIAN KUNG-FU GENERATION ※振替公演
シンガーズハイ
山口一郎(サカナクション)
ゆいにしお
ASP
Mom
a flood of circle / サバシスター
ハルカトミユキ
羊文学
渡會将士
- 2023.12.15
-
FAKE TYPE.
セックスマシーン!!
ヒトリエ
豆柴の大群
PEOPLE 1
TOMOO
フレデリック
フィルフリーク
シンガーズハイ
片平里菜
SIX LOUNGE
ASP
ビレッジマンズストア
flumpool
小林私
渡會将士
緑黄色社会
ねぐせ。
BRADIO
sumika ※開催延期
BURNOUT SYNDROMES
- 2023.12.16
-
never young beach
UNISON SQUARE GARDEN
TOKYOてふてふ
感覚ピエロ
セックスマシーン!!
yonawo
the band apart (naked)
CENT
KANA-BOON
ヒトリエ
Panic Monster !n Wonderland
ADAM at
THE BACK HORN
androp
モーモールルギャバン
YONA YONA WEEKENDERS
フレデリック
Vaundy
"MERRY ROCK PARADE 2023"
DURAN
くるり
ズーカラデル
豆柴の大群
AKUMATICA
SpecialThanks
Miyuu
MAGIC OF LiFE
flumpool
DADARAY
SPECIAL OTHERS
SOIL&"PIMP"SESSIONS
BACK LIFT
伊東歌詞太郎
緑黄色社会
ReN
daisansei
sumika ※開催延期
LiSA
MAN WITH A MISSION
RELEASE INFO
- 2023.12.01
- 2023.12.06
- 2023.12.08
- 2023.12.13
- 2023.12.15
- 2023.12.19
- 2023.12.20
- 2023.12.25
- 2023.12.26
- 2023.12.27
- 2023.12.29
- 2024.01.03
- 2024.01.08
- 2024.01.10
- 2024.01.12
- 2024.01.17
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Vaundy
Skream! 2023年11月号