Japanese
SCOOBIE DO
2014年09月号掲載
Member:コヤマ シュウ (Vo) マツキ タイジロウ (Gt)
Interviewer:天野 史彬
もし君にやりたいことがあって、でもそれをやってしまうと独りぼっちになってしまう......そんな状況に君がいるのだとしたら、このSCOOBIE DOの新作『結晶』を迷わず勧めよう。ソウルにファンクにロックンロール。様々な音楽性を咀嚼しながら、音楽がもたらす根源的な祝祭感と情熱、その裏にある哀しみを描き続けた彼らのキャリアの結晶のような楽曲たちが、本作には詰まっている。誰とも違う道を歩くこと。その喜びと孤独を誰よりも知っているからこそ鳴らせる、圧倒的な強さと優しさ。結成19年、何度目かの最初の1歩を踏み出したコヤマとマツキに話を訊いた。
-アルバム『結晶』、聴かせていただきました。1曲1曲がSCOOBIE DOの様々な側面を凝縮した結晶のように完成度の高い楽曲で、そして、それが集ることによってより大きな結晶を作り上げているような、美しく煌いたアルバムだと思いました。ご自分たちの手応えはいかがですか?
マツキ:僕らは今年で結成19年目なんですよ。今回は19年目のデビュー・アルバムを作ろうって思いながら、曲作りからレコーディングを行っていったんです。だから、ここのところないバンドの勢いとか、荒っぽさが出てるフレッシュなアルバムができたかなって思いますね。大変満足しております。
-オリジナル・アルバムとしては前作『かんぺきな未完成品』から約1年ぶりですけど、19年目のデビュー・アルバムを作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
マツキ:とにかく、バンドらしい作品を作ればいいかなっていう気持ちになったんですよね。僕らはとにかくライヴをいっぱいやってるんですけど、SCOOBIEに求められているものとか、SCOOBIEに対して期待してくれている部分っていうのは、ライヴハウスに来てくれるお客さんのリアクションや表情が1番教えてくれるから。やっぱり、来てくれる人たちの期待や想いに応えたいなっていうことですよね。そういう気持ちがどんどん大きくなってきてるっていうことだと思いますね。
-このアルバムの制作に入る前に、"SCOOBIE DOはリスナーに何を求められているのか?"という問題に直面して、悩むこともあったんでしょうか?
マツキ:いや、今回は悩むことはほとんどなくて。なんというか......知識や技術は長くやっていくとどんどん蓄積されているし、演奏も上手くなったり、歌も上手くなっていったりするものだけど、そういうものをすべて抱えた上で、できるだけ新鮮な気持ちでできるような楽曲をまずは作ろうと思ったんですよね。19年やってきたからこそ出せる瑞々しさというか、若々しさっていうのもあると思うんですよ。バンド結成したばかりの人たちには出せない、"脂ぎった瑞々しさ"って言うんですかね(笑)? そういうものを出せるんじゃないか、出したいなっていうのを、前回のアルバムを作り終えたあとから考えていて。今回は、その意志で突っ走ってアルバムを完成させたっていう感じでしたね。
-コヤマさんも、マツキさんのおっしゃった、19年目のデビュー・アルバムを作りたいっていう思いは共有して持っていたんでしょうか?
コヤマ:いや、こういうアルバムにしようっていうことは特に話さないんですよね。毎回そうなんですけど、俺は、いい曲がいっぱい入ってるアルバムがいいアルバムだと思ってるんです。曲はタイちゃん(マツキ)が作ってくるんだけど、毎回好きな曲ばっかりだし。だから、共有してることは"バンドでやる"っていうことくらいかな。バンドでやってんだから、どんなアルバムになってもいいじゃんっていう気が俺はしてるんです。どんなアルバムができても、バンドで演奏したカッコいい曲が入ってるアルバムであれば、アルバムのコンセプトとかはなんでもいい。
-なるほど。この1年間の活動の中のトピックとして、みなさんのルーツである50~60年代のソウルやリズム・アンド・ブルースを中心にカヴァーしたアルバム『GRAND-FROG SESSIONS』を、今年2月にライヴ会場限定でリリースされていますよね。このアルバムを作ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
マツキ:カヴァー・アルバムをそれまで出したことがなかったのが1番大きかったんだけど、僕らからっていうよりも、GRAND-FROG STUDIOの持ち主であるTHE NEATBEATSの真鍋(崇)さん(MR.PAN)がそもそもの言い出しっぺで。真鍋さんのレーベルから出さないか?っていう話をもらったのが最初だったんですね。はじめはシングルを出そうっていう話だったんですけど、レコーディングしていくうちに、結局10曲入りのカヴァー・アルバムになって。でも、やるなら今のタイミングかなっていう気持ちもあったんですよね。自分たちでレーベル(CHAMP RECORDS)を作ってからはリリースに関しては自由なので、思いついた時にバッと、自分たちにとっては新鮮なまま出せるんですよ。なので、真鍋さんからお話をいただいたのと、自分たちの勢いというか、ノリというか、そういうところでバーっと出しちゃえって感じでしたね。
コヤマ:『GRAND-FROG SESSIONS』は、ほんとにもう、好きな曲ばっかりやったんですよ。バンドを始めた頃にやってた曲から今に至るまで、ほんと好きな曲ばっかり。だから、想像以上にカッコいいのができたなって思いますね。やっぱ、R&Bとかブルースとかを聴いて、"こういうのやりたいな"と思ってバンド始めたんだけど、最近は、別にそういう曲をステージで頻繁にやったりしないからさ。聴くのは聴くんだけど、やることはそんなになかったんですよ。でも、何年か前から、自分らの好きな曲のカヴァーをやる企画ライヴ("DOの部屋")を始めたんですよね。それで、何年か振りかにコテコテのR&Bやソウルをいっぱいやるライヴをやってみたら、やっぱいいなと思って。歌ってて気持ちいいし。これはやっぱり発明品だなって思いましたね。
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