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LIVE REPORT

Japanese

SCOOBIE DO

Skream! マガジン 2015年01月号掲載

2014.12.21 @TSUTAYA O-EAST

Writer 吉羽 さおり

9月にリリースしたアルバム『結晶』を引っ提げた全国ツアーのファイナルを、渋谷TSUTAYA O-EASTで迎えたSCOOBIE DO。"LIVE CHAMP"として全国津々浦々のライヴハウスを沸騰させてきた最強のファンキー4=SCOOBIE DOだが、O-EASTでのワンマン・ライヴは10年ぶりだという。思い入れのある会場と、踊る気満々でスタンバイしているオーディエンスに、「真夜中の太陽」、「転がる石」、そして「いいぜ いいぜ」とアルバム『結晶』からのナンバーを3連打。キレのあるオカモト"MOBY"タクヤのドラム・ビート、華麗なステップを踏みながらクールなリズムを編んでいくナガイケ ジョーのベース、熱い歌ごころとやんちゃなロックンロール・キッズの咆哮を音色に託したマツキタイジロウのギターと、優しくもエネルギッシュに聴き手を鼓舞するヴォーカルと超絶なマシンガントークでフロアの興奮を指揮していくフロントマンのコヤマシュウ、のっけからフル・ボリュームのバンド・パワーで会場を蹂躙していくのが圧巻だ。そして、"ファンキー4"と、ここに集まったオーディエンスでありSCOOBIE DO愛に溢れたファンを指す"プラス・ワン・モア"の盛大なコール&レスポンスで、序盤にして彼らの真骨頂たる全員参加型の賑やかなライヴとなった。

"君の心のつまらないものをぶっ飛ばしに来ましたSCOOBIE DOです。今年最後のワンマン・ライヴ――つまり、今年最後の(バンドとオーディエンスの)2マン・ライヴです"というコヤマ。オーディエンスは、日ごろの悩みや煩わしさは一時置いて、軽くなった心と体を、ビートや歌、音に預けて、叫び、踊る。タテに飛ぼうがヨコにステップを踏もうが、酒を片手に堪能しようが、好き勝手に楽しんでくれたらいいというコヤマの言葉に、フロアは自分の踊りを踊る。音楽はもちろんだが、バンドの持つこの包容力にやられてしまうんだろう。ロックンロール、ガレージ・ファンというコアな層に留まらず、ライヴという場を愛する音楽ファンの心をしっかりととらえているのは、こんなふうに自由に、しかしがっちりとタイマン勝負で向かい合わせてくれるからだろう。

中盤は『結晶』から、「無情の嵐」や「笑う女」、「囚われ者」など聴かせる曲を中心に、ディープな歌や、グルーヴィーなアンサンブルを響かせる。また、あなたの帰る場所はいつでもここにあるんだと歌う、「行っておいで」のグッド・メロディを静かに、優しく手渡していく流れもまた最高だった。20年間、時間をかけて築いてきたのが、いつ来ても楽しく笑顔で踊ることができるライヴという場であり、音楽である。それをまっすぐに伝える曲として響きわたると、会場には大きな歓声と拍手が起こった。

後半「結晶」からは、大ヒット・ナンバーをノンストップで、ということでラストのデビュー曲「夕焼けのメロディー」まで天井知らずで盛り上げていった。豪快なアンサンブルにオーディエンスの歓声やシンガロングが混じり合って、ステージもフロアも、ここぞとばかりにタガを外して騒ぎ明かす。2014年最後のワンマン・ライヴに相応しい、ファンキー4・プラス・ワン・モアのぶっ壊れっぷりに、コヤマは特大の投げキッスを送った。

2015年、結成20周年を迎えるSCOOBIE DO。アンコールでは、春からのツアーとレーベルをまたいだオールタイム・ベスト・アルバム『4×20 ~20YEARS ALL TIME BEST~』のリリース、そして10月には9年ぶりとなる日比谷野外音楽堂で、20周年記念ライヴ"ダンスホール野音"を開催することがアナウンスされた。ひとつのバンドで20年突っ走ることは並大抵の力では成せないこと。彼らにもそれ相当の"貫禄"はあるけれど、それを上回るこの先にあるだろう未体験の何者かを貪欲に追求する、前のめりなエネルギーが迸っている。MCでコヤマが"俺らあと4000年やるからな"と言ってファンを沸かせていたけれど、こんな冗談も、実際にあの場で聴くとなんともロマンティックな言葉にすら感じてしまうのだ。会場が興奮と熱気でパンパンに膨らんだ中披露された、「やっぱ音楽は素晴らしい」は、格別だった。

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