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INTERVIEW

Japanese

Nothing's Carved In Stone

2018年03月号掲載

Nothing's Carved In Stone

Member:村松 拓(Vo/Gt) 生形 真一(Gt)

Interviewer:荒金 良介

-そうなんですね。USオルタナというと?

村松:「Mythology」だと、真ん中でいえばMR.BIGとか、ヘヴィなことをやってるけど、いいメロディが入ってくる。ああいうカラーも入ってると思うんですよ。2サビが終わったあと、みんなで大声で歌っちゃう感じとか。

生形:「Take Cover」(MR.BIG)とかですね。いわゆるメタルではなく、普通にいい曲じゃないですか(笑)。

-ええ、王道感のある曲ですよね。

村松:今の若い人にも響くんじゃないかと思って。今の子はこういう音楽をやりたいって決めて、バンドをやってる人が多い気がして。ニッチなものをちゃんとメジャーに押し上げて、かっこ良くやってると思うんですよ。その感覚に近いというか、今の時代に今の俺たちの感覚でアップデートしてやりたくて。

-生形さんも曲作りではそれを意識して?

生形:みんな新しいもの好きだけど、それと同じくらい年代関係なく、いい音楽を聴かせ合ったりするから。MR.BIGもよく聴いてたし......MR.BIGって言いすぎだけど。

-別にいいじゃないですか(笑)。

生形:MR.BIGは1st、2ndのイメージが強いかもしれないけど、俺は「Take Cover」が入ってる『Hey Man』のころが好きで。「Take Cover」はほんとに良くできた曲だと思いますね。その世代で言えばEXTREMEもそうだけど、(好きなのは)1st、2ndじゃなくて、4thアルバム『Waiting For The Punchline』なんですよ。今聴いても古くないし、オルタナですよね? 分け隔てなく、昔聴いていた音楽もみんなで共有するし、最新の音楽も聴いてるから、それがナッシングスの面白さだと思ってて。LED ZEPPELINみたいなリフものからエレクトロが入った曲まであるし、この4人で音を出すと、ナッシングスになるから。

-MR.BIG、EXTREMEも初期はハード・ロック/メタル・ファン向けの作風でしたが、アルバムを重ねるごとに幅広い層に向けた内容にシフトしますよね。

生形:アメリカのロックって、そうですよね。俺はFALL OUT BOYも好きだけど、音もアレンジもどんどんメジャーになっていくし、それはそれで悪くないと思ってて。俺らもあまり気にせずにやっていいんじゃないって、ここ数年でそう思えるようになりました。

-今作は前作以上にナッシングス以外の何者でもない作風になってます。「Directions We Know」は言葉の乗せ方もリズミックで面白いですね。

村松:ひなっち(日向秀和/Ba)から、このリズムで歌ってほしいと言われて。だから、歌い方もリズムが生きるようにやりました。すごくハイブリッドでベースも普通のアプローチじゃないし、新しいコード感に聴こえるから。

生形:転調してるしね?

村松:転調もやってみたらいいんじゃないって(笑)。理論じゃなく、感覚でやれたのも良かったですね。

-「Winter Starts」は今作の中でも特に明るい曲調ですよね?

生形:とにかくポップな曲を作ろうと思って。最初はパンクっぽかったけど、みんなで話してるうちにアレンジが変わって、すごく良くなったと思います。オシャレですよね。

村松:この曲は一番歌いやすかったですね。でもメジャー感が強くて、僕には書けない明るさが宿っていたから。それに負けないキャラクターが必要だなと。真一が歌詞も書いたんですけど、新しい自分ですね。

-包容力のある歌声がすごく良かったです。

村松:新しいことができたと思います。自分でもいい歌に仕上がったなと思っています。

-この歌詞はほかとはテイストが違って、日記っぽいですね。

生形:情景が見える歌詞がいいなと思って。今回は3曲歌詞を書いたのかな、「Winter Starts」、「Stories」、「青の雫」だ。言葉だけで景色が浮かぶといいなと思って、俺自身もそういう曲が好きなんですよね。


作品を作り続けたおかげで、お互いの気持ちがわかるようになった


-「シナプスの砂浜」も今までにないサウンドで新鮮でした。

生形:そうっすね。

村松:ここ2作はマニピュレーターに参加してもらっているんですけど、彼が結構頑張ってくれて。『Strangers In Heaven』(2014年リリースの6thフル・アルバム)の「キマイラの夜」という曲があるんですけど、その歌をサンプリングして、この曲に入れてくれて。

生形:あっ、そうなの? 俺、知らない。どこで?

村松:高い声が2種類あって、そのうちの1種類がそうで。それを聴いて、さらに愛着が湧きまくって。それが深みのひとつにもなってるかなと。バンド・サウンドでもかなりいろいろやってるけど、さらにいろんなものを加えてくれて、いい曲になったなと思います。

生形:ある意味、一番実験的な楽曲だよね。これこそ情景が見える曲になってるなって。

村松:音をめちゃくちゃ抜いたり、入れたりとかできるようになったし。作品を作り続けたおかげで、お互いの気持ちがわかるようになったから。要するに音の抜き差しで、アレンジがより際立つと思うんですよ。真一だったら、もっとギターらしいサウンドでいいんだけど、もっと音色にこだわったハーモニクスの煌びやかさを聴かせることができたりとか、バンド一丸となってそれができるようになったのは大きいですね。