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HOWL BE QUIET、「ラブフェチ」YouTube再生回数100万回歴代最速突破。若者の心にシンクロした偏愛ソング、その理由に迫る

2020.04.27 18:20

HOWL BE QUIET、「ラブフェチ」YouTube再生回数100万回歴代最速突破。若者の心にシンクロした偏愛ソング、その理由に迫る

HOWL BE QUIETの、2017年にリリースされたフル・アルバム『Mr.HOLIC』の1曲目に収録されている「ラブフェチ」。2020年1月下旬頃、同曲を扱った"カップル自慢動画"がTikTokに投稿され、注目を集めてから今もなおそのブームが持続している。
 
そもそも「ラブフェチ」とは、ソングライター、竹縄航太(Vo/Gt/Pf)による嫉妬の曲である。付き合っている彼女と友好な関係を築けているにもかかわらず、彼女が自分以外の男性と楽しげに話していると不安で、彼女のことを"心変わりするのでは?"と疑っているわけではないけれど、他の男性に対して無防備なその態度には物申したくなってしまう。それに加えてふとした瞬間に過る元カレの存在もどうしても気になってしまって、その自信のなさから"あの子と出会うのが少し/早かっただけで 結局は/今 一緒にいるのは僕ですよ"と心の中でちょっとしたマウントを取ってしまうこともある。
 
そんな行動や心理の根幹にあるのは、歌詞中にもある"これもれっきとした愛情ってやつだろう"や"「恋愛」なんてもんで括れないくらい/偏愛していたいんだよ"という超絶に一途な恋心だ。そして"カップル自慢動画"は現代の若者たちにとっての、互いを強く想い合っている愛のしるしであり証。両者の親和性はそれゆえに生まれたものだろう。
 
聴き手に音楽が刺さる瞬間のパターンはいくつかあるが、特に"この曲で歌ってること、自分のことそのままだ"や"これはわたしの歌だ"と思うような、共感以上の感覚を得られるときに、動揺にも近い衝撃を得るだろう。「ラブフェチ」は、穏やかな恋愛をしているがゆえに感じる不安や自分への自信のなさを抱えた若者の心とシンクロしたと推測する。
 
竹縄航太の発言で印象的だったもののひとつに"自分の気持ちはちゃんと言葉にしないと相手に伝わらない"というくだりがある。恋愛のいざこざはだいたい会話不足から来るもので、相手の気持ちが明確にわからないと不安は募るばかりだ。だが「ラブフェチ」の歌詞は竹縄がどれだけ強い恋愛感情を持っているかが明快に、且つ彼特有のユーモラスな言い回しで表現されている。"恋人がこんなに自分のことを好きになってくれたらうれしい"と感じる若者が多いのは、相手の言葉足らずで穴が開いてしまった心に、彼の言葉がすっぽりとはまったことも理由ではないだろうか。
 
恋愛には不安がつきものだ。いつもより目を合わせてくれないと"怒らせてしまったかもしれない"と感じたり、それが心の中で膨れ上がって"自分のことを嫌いになってしまうかもしれない"と恐怖に変わってしまうこともある。その理由も、恋人のことが好きすぎるからだ。
 
「ラブフェチ」はそれゆえに湧き上がってしまう嫉妬心や不安を、キャッチーなメロディ、ソフトで甘酸っぱい歌声、フラットで心地好いテンポ感のサウンドで小気味よく届けるポップ・ソング。キュートで晴れやかな音色や、先述の遊び心の効いた言い回しの言葉で、自分の心の中に渦巻く感情を表現されていると、優しく"わかるわかる。そういうことあるよね"と言ってもらえる、肯定されているような感覚になる人も多いのではないだろうか。
 
「ラブフェチ」の速すぎず遅すぎないテンポと、意味が手に取るようにわかる歌詞はTikTok動画として振付を考えるのに非常に適しているがゆえに、様々な遊び方や表現方法が可能。TikTokきっかけで楽曲そのものが気になった人々は、フル尺音源を聴くことでより楽曲の奥深さを知る。HOWL BE QUIETの元来のファンも約3年という時を経て自分たちが愛してきたバンドの楽曲が注目されること、より多くのリスナーに見つかることを喜んでいるだけでなく、"もっとこんな曲があるよ"とレコメンドする場面もしばしばだ。竹縄が過去にSexy Zone楽曲の「名脇役」を作詞作曲、「アナタノセイデ」を作詞提供していることもリスナーの意識へのフックになっている。口下手な男子が、女子に「ラブフェチ」をシェアすることで自分の想いを伝えることも増えているそうだ。
 

HOWL BE QUIET - ラブフェチ[Official Audio]
 
2月頭にバンドの公式YouTubeにアップされた「ラブフェチ」音源は、4月26日にとうとう100万回再生を突破。この事実は、"TikTokのカップル自慢動画で話題の曲"から、楽曲やHOWL BE QUIETというバンドにフォーカスが当たり始めている象徴と言っていい。竹縄航太が愛も不安も自信のなさもひねくれた要素も赤裸々に正直に書いたとても個人的な想い――すなわちまったく共感を狙わなかった自然体の曲が、次々と若者の心とシンクロしていく。ラブフェチ現象は単なるバズりではなく、彼が聴いてくれる人と真摯に向き合う最善の方法を導き出し、信じ抜いたからこそ生まれたコミュニケーションだ。
 
このたびYouTubeでの「ラブフェチ」音源100万回再生突破を記念し、Twitterにてオフィシャル・アカウントをフォロー、対象のツイートにリツイートとリプライをした方、抽選で100名に"ラブフェチ100万回再生突破オリジナルジャケットステッカー"をプレゼントするキャンペーンもスタートしている。詳しい応募方法などはオフィシャル・サイトにて。
 
(文:沖 さやこ)

 

▼リリース情報
HOWL BE QUIET
「ラブフェチ」(メジャー1stフル・アルバム『Mr.HOLIC』収録)
howl_mr_holic.jpg
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