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INTERVIEW

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Interviewer:山口 哲生

ファンの方の居場所をずっと作っていたい


-強さはあるけれども、100パーセントポジディヴなわけではないという。あと「カナリア」と「Universe #2」も作詞されていますが、どちらを先に書かれていましたか?

「偽証のガベル」と「カナリア」は同時期に制作していたので、どちらが先かとなると「カナリア」ですね。どちらもプロットをいただいた状態で歌詞は書いているんですけど、「カナリア」は自分の中から生まれたものを第一に書かせていただいてて。逆に言うとプロットのことを無視まではいかないんですけど、あまり意識せずに、自分らしさを意識して書きました。

-「カナリア」には"午前五時"というワードが出てきますが、眠れない夜と始まってしまう朝の狭間で揺れ動いている心境が描かれていて。

そうですね。私は小さい頃から寝つけないことが多くて、"あなた全然昼寝しない子だったわ"って母親から言われるぐらい、昼寝もしないし、夜も寝れないし。睡眠時間自体は取れてるんですけど、眠れなくてずっと考えごとをしていたりすると、気付いたらいつも朝5時になっていて。その時間になると、家の外から始発の電車の音が聞こえるんですよ。その音が聞こえたときに、私はまだ続いている今日を生きてるのに、外を見ると始発の電車に乗って新しい今日を過ごしている人がいて。それを考えたときに"あぁ、置いていかれたな......"って絶望を感じることが多いんです。結局、そんな時間まで起きていたら、私の次の日の活動ってたぶん寝不足じゃないですか。"最悪だな......"って気分になるので、そういった気持ちを込めました。

-眠れない状況を"スリープ"、"フリーズ"、"リブート"と説明しているとか当て字も面白いなと思いました。"線路"、"LINE"、"普通"を全て"ライン"と読んでいて。

自分が寝られない夜って、やっぱり常にスマホが手元にあって。スマホで何かを見たり、これはすごく迷惑なのであれですけど、相手が通知音が鳴らないということを知っている上で、友達に返せてなかったLINEを返したり(笑)。スマホさえ見なければいい話なんだろうけど、やっぱり寝られないから見てしまって、でも見ているから寝られなくてみたいな負のループというか。そういうところも踏まえながら書きました。

-もう1曲の「Universe #2」についてはいかがです?

「偽証のガベル」はガチガチにテーマがあって、「カナリア」は私からものすごく出ているもので、「Universe #2」はそのどちらも取っているみたいな感じですね。mzsrzがソロ・プロジェクトになっても残り続けたのは、ファンの方の居場所をずっと作っていたいという気持ちから続けているんですけど、そんな居場所があるって素晴らしいことだなと思っていて。"ただいま"と"おかえり"をきちんと言える相手がいるって幸せだなと感じているので、それをテーマに書きました。

-そういった温かさもありながら、ラストの"かけがえない今の苦しみが/また空を仰ぐ 痛みとなれ"というラインが印象的でした。それこそ100パーセントポジティヴな言葉でもないというか。この言葉はどんなところから出てきたんですか?

青春って青くて痛いみたいに言われたりすると思うんですけど、その当時にどれだけ痛くて悲しい思いになっても、大きくなったときに"青春だったなぁ"とか、結局その記憶をいいものとして昇華して思い返すことが多い気がしていて。だから、もし今めちゃめちゃつらい思いをして悩んでいることがあったとしても、今を頑張って生き抜けられたら、その先では"そんなこともあったよね"ぐらいのお話になってたらいいなと。だから、居場所作りのこともそうですし、みんなで作り上げてきたものを回想するみたいな意味もあって......そういった感じです。

-ネガティヴをポジティヴに転換させていくのが、ある意味らしさというか。

そうですね。mzsrzはそこを一番大事に歌ってきているので、そこはブレずにきちんと伝えていけたらいいなと思って書きました。

-個人的に"Cosmos"と"秋桜"の同音異義語的なところもいいなと思いました。

同じ読み方なのに意味が違うことって、日本語の良さだなと思っていて。そういう表現が好きなので、私らしく取り入れていきたいなと思って、やったことないなりに好きを突き詰めて作詞しました。

-"Universe #2"というタイトルはどんなところから出てきたんですか?

"#2"というのはもとから決まっていたので、ここは私の解釈になるんですけど、わざわざ"#2"を付ける意味を考えたんです。ただ宇宙って言いたいんだったら"Universe"だけでいいし、でも"#2"が付いているということは、何かがあって、その2つ目なんだと。そう考えたときに、場所から場所へ移動するお話を自分の中で想像して、そこから"ただいま"と"おかえり"って言える関係っていいなというところに、繋がっていって......って感じでしたね。

-なるほど。いつも楽曲を歌うにあたって、歌詞をかなり深く考えることが多いですか?

そうですね。もともと歌うときは自分の中で登場人物とかの映像が浮かんできて、その登場人物たちがどう動いていくかみたいなところに沿って、感情を入れて歌うことを常にしていて。結構勝手にいろんなところへ動いていくというか、私の頭の中で曲がいろんな方向に展開していくことが多いので、作詞をするときも、そんな感じで展開して結び付いていくようなことが多かった気がします。

-本作はかなり様々なタイプの楽曲が収録されていますが、ご自身の中で解釈するのが難しかったものというと?

やっぱり最後の「アウフヘーベン響詩曲」ですね。"生きるとは?"ということがテーマになっている楽曲なので、生きるとは何かな......って自分も一緒になって考えながら歌いました。

-楽曲としては9分超えというかなり長尺の曲で、"生きるとは?"と様々な答えを自問自答していく構成になっていて。

ただ、歌詞でもずっと"生きるとは?────○○することか"みたいに"?"が付いているように、結局答えは出ていなくて。自分の中でも、生きるとは結局なんなんだろうなぁって思いながら、それでも生きていかなきゃいけないし、生きていくんだし......みたいなところを想像しながら歌ってましたね。