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Japanese

mzsrz

2022年12月号掲載

mzsrz

Writer 吉羽 さおり

"言葉にすれば消えてしまう、辞書にない感情で息してる"5人が高い表現力で描く、最新曲「ストレイシープ後進曲」


エイベックスとテレビ東京によるオーディション"ヨルヤン"を勝ち抜いたヴォーカリストで結成され、審査員を務めたDECO*27が全楽曲プロデュースを手掛けた1stアルバム『現在地未明』を今年3月にリリースしたmzsrz(ミズシラズ)。大原きらり(20歳)、作山由衣(16歳)、実果(18歳)、ゆゆん(19歳)、よせい(20歳)の5人から成るmzsrzのデビュー曲となった「夜明け」は、プロデューサーであるDECO*27がメンバーそれぞれにインタビューを行い、今旅立とうとする彼女たちの心境も歌詞に織り込んだという。リアルな心境を5つの"個声"で描いた「夜明け」は、単に希望だけに満ちたわけではない、変わりたいという願いと、そこにどうしようもなくくっついて離れない不安や葛藤も描かれた。歌の中で放たれた"ちょっと新しい僕になろう"というフレーズは、まさに大半が10代の彼女たちの等身大の思いであり、同時にちょうどコロナ禍で青春時代や新たに学生、社会人生活を送る人々、踏みとどまるばかりで悔しい思いをしている人々にとっても、胸を打つ内容になっていたと思う。今という時間を生きるなかで感じること、日々の感情のグラデーション、大きな声や社会のうねりに消されてしまう声やこぼれ落ちていくばかりの気持ちを、mzsrzは歌というものにする。誰もが触れて、心にしまっておくことができる。そういう歌を歌うべく集ったのがこの5人だ。

オーディション時に重視されたのは、それぞれの"声"。透明で決まった形のない水のような"多様声"で、若者の揺れる心の機微を、小さな心の中に相反する思いが窮屈に詰まった痛みを表現した。歌のうまさというところだけでない、メンバーそれぞれがまだその身体の内に眠らせているものや、大きく叫びを上げようとする"これが私"という萌芽を、アルバム『現在地未明』では丁寧にすくい取っていった。Rockwell、Teddyloid、ポリスピカデリーといったトラックメイカーを迎えて、様々なサウンドやメロディにトライし、繊細な歌の世界と向き合いながら制作を行っている。完成した全10曲はエモーショナルで、5人それぞれの人生が映されながらも、リスナーそれぞれの思いと共鳴する作品となった。

アルバムや曲そのものはリスナーと1対1の関係性を結ぶようなものとなっているが、一方でライヴではラウド・シーン、ロック・シーンの精鋭をバンド・メンバーに、エモーショナルに爆発し、5人それぞれの声をぶつけ、うねりを帯びて交じり合う渾身のパフォーマンスで魅せる。アルバム『現在地未明』のライヴ盤では、オンラインによる初のライヴ映像[mzsrz ONLINE-Live "現在地未明"]収録。ドラムにはEiji Matsumoto(Ken Band/Radical Hardcore Clique/ex-FACT)、ベースはまふまふのバンドでもプレイする白神真志朗、ギターはFZ(sfpr/Radical Hardcore Clique)とMas Kimura(NOTHING TO DECLARE/JPME etc.)、キーボードに平牧 仁(シキドロップ)という、ロック・バンドもうらやむような布陣によるボリューム感のあるバンド・サウンドを背負って、わずかに緊張感を滲ませながらスタートしたライヴ。映像ごしにもヒリヒリとした空気感や、ラウドなのに緊張の息遣いもが聞こえそうな前半から、曲が進むにつれてぐっと何かを掴んでいく5人の姿が捉えられたライヴ映像は、mzsrzの始まりの瞬間を捉えたものにもなっている。この記念すべき初ライヴは、無観客のオンライン開催だったが、その後徐々に対バン・ライヴを重ね主催イベント"水底現在地"を行うなど、ライヴの場を増やしてきたmzsrz。12月7日に配信リリースとなる7枚目のシングル「ストレイシープ後進曲」は、すでにライヴで披露され、ライヴを通して育てている曲となる。

作詞作曲は音楽も絵も手掛けるクリエイター、かいゑが担当し、編曲にはmzsrzバンドのギタリスト、FZもクレジットされた。アルバムとはまた違う新たなクリエイターとタッグを組んだ曲であり、またアレンジにおいてはライヴでのmzsrzを見ているからこその緩急や、メンバーの感情や個性を引っ張り出すようなポイントも作られている。

静かなピアノの音色と囁くようなヴォーカルで始まり、マーチング・ドラムとギターの旋律が鼓動と体温を上げていくドラマチックなオープニングから、パンキッシュなバンド・サウンドで走り出していく「ストレイシープ後進曲」。QUEENやMY CHEMICAL ROMANCEを思わせるカタルシスのあるロック・サウンドで、内省的で、ささくれ立った若き心の行方が描かれた1曲となっていて、mzsrzの中でも新しいタイプの曲だ。主人公は、"行動のひとつひとつを、周りは思春期とか反抗期とか中二病とか名付けるのかもしれないけれど、そんな簡単にパッケージできるわけがない。されてたまるか"と全力で疾走、または逃走する。mzsrzの5人は、この声にならない思いや破壊的ですらある行き先のない感情を汲みとって、歌として息づかせていく。荒々しさの中で放たれる"言葉にすれば消えてしまう/辞書にない感情で息してる"というフレーズが特に印象的で、その内側に抱えるナイーヴさを一気に溢れさせる瞬間が美しい。音符を超えて歌の中を生きていく5人のヴォーカルが、言葉を鋭利に研いでとてもまっすぐに胸を射抜いていく曲になっていると思う。

アルバム『現在地未明』の制作当時は、mzsrzとして歩み始めたばかりで、それぞれ年齢や出身地、バックグラウンドがまったく違う5人の姿がそこにあった。"現在地未明"というタイトルがそのまま5人それぞれが置かれたリアルな状況で、ただ"歌"を頼りに、行くべき道を手繰り寄せている感覚だっただろう。こうしてmzsrzとして曲を書いてもらうことや本格的なレコーディングもほぼ初めてのなかで、必死に食らいついた結晶が、アルバム『現在地未明』となった。そこには初めてのアルバムだからこそのきらめきが込められていただろう。活動を重ね、少しずつ互いの呼吸感や歌の特性がわかってきたところもあるのかもしれない。シングル「ストレイシープ後進曲」は、それぞれのヴォーカリゼーションがさらにのびのびと個性を伸ばしている印象だ。

今回ニュー・シングルの発売同日には、先に挙げたmzsrzの初ライヴのライヴ・アルバム『LIVE - 現在地未明』も配信リリースされる。アルバム時にはライヴ映像としてパッケージされたが、今回はライヴ音源。よりその声、歌とほとばしる感情にフォーカスして楽しめる内容になっている。mzsrzの曲のほか、メンバーがソロでカバー曲も披露している。作山由衣はhitomiの「innocence」、大原きらりはniccoの「22歳」、ゆゆんはDo As Infinityの「深い森」、よせいは大塚 愛の「プラネタリウム」、実果はThe Kaleidoscopeの「愛すべきひとよ」、そしてmzsrzでロードオブメジャーの「大切なもの」をカバーした。こうしたそれぞれのカバー曲を聴けるのもワンマン・ライヴならではだろう。

そしていよいよ、2023年1月11日にはShibuya eggmanで有観客による初のワンマン・ライヴ"mzsrz 1st one-man live -始線(しせん)-"の開催が決定している。最初の配信シングル『夜明け』が世に出てからちょうど2年、節目となるデビュー日の晴れの舞台となる。このワンマンでももちろんバンドを背負ってのステージとなるが、オンライン・ライヴ時とは違う1年分の歩みを見せてくれると思う。2023年のmzsrzの起点となるワンマン・ライヴに期待したい。




▼リリース情報
mzsrz
7thシングル
「ストレイシープ後進曲」
mzsrz.jpg
2022.12.07 ON SALE
※配信リリース



ライヴ・アルバム
『LIVE - 現在地未明』
mzsrz_liveal.jpg
2022.12.07 ON SALE
※配信リリース


▼ライヴ情報
"mzsrz pre.「水底現在地 vol.2」"
2022年12月10日(土)吉祥寺SHUFFLE
OPEN 11:30 / START 12:00
出演:mzsrz / 棘-おどろ- / com / リリスリバース
[チケット]
前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000(D代別)
■一般発売中
チケットはこちら

"mzsrz 1st one-man live -始線-"
2023年1月11日(水)渋谷eggman
OPEN 18:15 / START 19:00
[チケット]
前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(D代別)
■一般発売中(各ライヴ会場物販でも販売)
※来場者全員にニュー・シングル&限定ステッカーをプレゼント
チケットはこちら

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