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DISC REVIEW

Japanese

2025年09月号掲載

nocturne

大原きらりのソロ・プロジェクトとして再始動して以降、初となるフル・アルバム。瑞々しさのあるギター・ロックや、深淵なエレクトロ、大胆な展開を繰り広げるラウド・ナンバー等様々なタイプの楽曲から滲む感情の機微を、時に囁くように、時に叫ぶように、エモーショナルに歌い上げていく。大原も作詞に3曲参加し、実に個性豊かな15曲が揃っているが、本作は音楽と小説が一体となったオペラ作品というところもポイント。物語を紡ぐように音が切れ間なく続いていくことで生まれる没入感と、生きることを自問自答する9分超えの超大作「アウフヘーベン響詩曲」を聴き終えた後に残る凄まじい余韻から、あなたが感じるのは、穏やかな希望か、避けられぬ虚無か。ぜひ体感してみてほしい。(山口 哲生)