Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

神はサイコロを振らない

 

神はサイコロを振らない

Member:柳田 周作(Vo) 吉田 喜一(Gt) 桐木 岳貢(Ba) 黒川 亮介(Dr)

Interviewer:秦 理絵

やはり神はサイコロを振らないは、こちらの想像を軽やかに超えていくバンドだ。今年3月に発表されたメジャー1stシングル『エーテルの正体』でも、バンドの新機軸となる楽曲たちでリスナーを驚かせたが、そんな彼らが次なる一手として仕掛けてきたのが、超豪華なコラボレーション楽曲だ。作曲、サウンド・プロデュースにヨルシカのn-buna、ゲスト・ヴォーカルにアユニ・D(BiSH/PEDRO)を迎え、作詞は神はサイコロを振らないヴォーカル 柳田周作が担当した「初恋」は、ピアノが彩る夏の切ないラヴ・ソング。今回の制作にあたっては、柳田周作が"ここまでクリエイティブな現場はなかったんじゃないかと思うぐらいの、挑戦、葛藤"があったとコメントを発表しているが、この有意義なコラボはいかに実現したのか。そして、その現場で彼らは何を得たのか。メンバー全員に話を訊いた。

-本題に入る前に、開催中の『エーテルの正体』ツアー("神はサイコロを振らない Live Tour 2021「エーテルの正体」")のZepp Tokyo公演を観させてもらいまして。圧巻のパフォーマンスでした。

柳田:ありがとうございます。

-あとは振替公演の大阪を残すのみですけど、現時点でどんな手応えを感じていますか? バンドにとって最大キャパの会場をまわったという意味では、見えた景色も違ったんじゃないかなと思いますが。

桐木:初日がZepp Fukuokaだったんですけど、あんなにデカいところでワンマンをやったことがなかったから、リハのときにステージを降りて、フロアからメンバーを見てみたんです。"ここでやるのか"って思うと、感慨深かったですね。初日は正直みんなガチガチに緊張してて。でも、福岡は僕らの結成の地でもあるから、お客さんに助けられつつ最終的には自分たちの空間を作れたなぁっていう感じでした。

黒川:ライヴハウスでやってたときは、"Zeppとか大きいところが似合いそう"ってよく言われてたんですよ。自分たちでも"本当にそうなのかなぁ"みたいに思ってたんですけど、いざやってみたら、今度は東京公演で観てくれた人が、"もっと大きなところで観たいわ"って言ってくれて。その先が想像できるバンドになれてるんだなっていうことは自信になりました。

-おそらく4人が思ってる以上に、神サイ(神はサイコロを振らない)はスケール感のある会場が似合うんですよ。

黒川:そこはバンドとして強みだなって思いますね。

-吉田さんはどうですか? コロナ禍のライヴでは、声を出すことができないっていう制約もありますけど、そのあたりで感じたこととか。

吉田:手拍子だったり、曲で跳ねてくれたり、そういうところで一体感が生まれたなと思います。ある種、新しいコミュニケーションを手に入れた感じがしますね。コロナ禍じゃなかったら、僕らのライヴでジャンプとかはやってなかったかもしれないので。

-柳田さんはどうですか? 現状回った全4都市で印象に残った公演はありますか?

柳田:各地それぞれ思い入れがあるんですけど。僕がびっくりしたのは名古屋ですね。最後にツアーで名古屋に行ったのは、『ラムダに対する見解』(2019年)っていうアルバムを出したとき([神はサイコロを振らない Live Tour 2019 "ラムダに対する見解"])だったんですよ。初日が名古屋のell.SIZEっていうライヴハウスで。

-何人ぐらい入るハコですか?

柳田:100人ぐらい。めっちゃ小さいんです。当時ワンマンだから、神サイだけを観にきたお客さんのはずなのに、みんながみんな聴き入っているようなライヴだったんですよ。もちろん聴き入って楽しむ人を否定しているわけではないですが。

-あんまり盛り上がらなかった?

柳田:そう。名古屋って難しいと言われている街ではあるんですよね。シャイだし。それは俺らだけじゃなくて、いろいろなバンドから聞いてて。だからこそ燃えるんですよ。それから何度も名古屋に足を運んでたんですけど、今回、DIAMOND HALLでやったときに一体感が断トツだったんです。もちろん東京もすごかったし、地元の福岡も、仙台もすごかったけど、それを凌駕するぐらい今回の名古屋はヤバくて。

-前回の記憶があるからでしょうね。

柳田:そうなんですよ。前回がヤバかったから、スタッフさんが危惧して、盛り上げるためのサクラを入れたんかっていうくらい(笑)。

桐木:みんな終わったあと、"今日はヤバかった"って言ってたよね。

柳田:あと、名古屋は男性もすごく来てくれて。年配の男性の方とかもピョンピョン跳ねながらライヴを観てるとか、そういう変化もあったんです。メジャー以降、俺らの曲を聴いてもらう機会がたくさん増えて、そこからちゃんとライヴに足を運ぶところまで繋げられたのを感じましたね。

-やはり同性のお客さんに認められるのはバンドとしても嬉しいですか?

柳田:嬉しい。マジでメンズは嬉しいです。僕、"男祭り"をするのが本当に夢なんですよ。全裸になって歌いたいんです。女の子がいたらできないじゃないですか。

吉田:それは"男祭り"でもダメよ(笑)。

桐木:男やったら黙っとってくれる、みたいなのがあるもんね。

-"男祭り"への憧れは、どのアーティストの影響ですか?

柳田:SIAM SHADE("LIVE 男樹")とか。うん、"男祭り"はいつかやりたい。全裸で歌ったら気持ちいいやろうなぁ(笑)。

桐木:全裸で何歌う?

柳田:「夜永唄」(『ラムダに対する見解』収録曲)。

一同:だはははは!

-あの名バラードを(笑)。伝説になりますね、それ。

柳田:伝説作りたいです。

-真面目な話に戻すと、『エーテルの正体』という作品は、音楽のちからを感じながら作りあげた作品でしたよね。で、それを引っ提げたツアーもまた、音楽が放つプラスのエネルギーを感じながらまわれたんじゃないかと思いますが、どうでしょうか?

柳田:そうですね。お客さんの顔を見てても、"やっぱりそうだよな"というか。やっとライヴに来られて、マスクをしてるぶん目しか見えないんですけど、その目がキラキラしてるんですよ。今まで神サイのライヴはわりと盛り上がり方が一定だったんです。サビになったら手を挙げる、みたいな。けど、今回はみんな自分のやり方でリズムにノってくれてたんですよね。じっとしてるのが堪えきれなくなって楽しんどる感じがしたので。"あ、そうだよな"って感じはしましたね。

-曲のバリエーションが増えたことで、反応が変わった部分もあるんでしょうね。

柳田:あぁ、それはありますね。だって、僕ら曲作りすぎじゃないですか?

-(笑)ずっとリリースが続いてますよね。

柳田:今回「初恋」が出ますけど、先月は「徒夢の中で」を出したし、4月にも「巡る巡る」を出したし。
吉田:今年何曲出した?

柳田:6曲かな? デジタル・リリースも含めて。

黒川:しかも『エーテルの正体』ツアーが終わってないのに、バンバン出してる。

柳田:だから、振替の大阪公演は内容を少し変えようと思ってるんですよ。新しい曲が9月までにたくさん出てるはずなので。そういうのも織り交ぜながら、また違う面白いライヴもできるんじゃないかなと思ってます。

-メジャー・デビューをしてからのこのハイペースはどうですか? 振り落とされないように必死なのか、それとも地に足をつけてやれてるのか。

柳田:どっちもですね。ヒーヒー言ってますけど(笑)。一曲一曲、全然違うベクトルの楽曲を作れてはいるので。毎回レコーディングも楽しいし、"いいのができたな"ってなるんです。

-社会人1年目の新入社員は大変なことも多いけど、充実感もあるっていうような。

柳田:あ、そんな感じですね。マネージャーさんには、"お前らの忙しいレベルは10のうちいっても3くらいだ"って言われてるので(笑)。こんなの屁でもないです。