Japanese
神はサイコロを振らない
Skream! マガジン 2023年03月号掲載
2023.02.05 @Zepp Haneda(TOKYO)
Writer : 藤坂 綾 Photographer:Viola Kam (V'z Twinkle)
1月15日、地元福岡から始まった5都市を回る"Zepp Tour「雪融けを願う飛行船」"が、2月5日にZepp Haneda(TOKYO)にてファイナルを迎えた。
客電が落ち、走り込んでステージに現れるメンバー。最後に柳田周作(Vo)も走り込んで登場し、"Zepp Haneda、準備はできてるか?"という言葉を合図に「巡る巡る」でライヴがスタートした。ダンサブルなリズムで会場を揺らし、「タイムファクター」、「イリーガル・ゲーム」と畳み掛ける。照明/映像演出が曲の美しさをいっそう引き立て、一気に神サイ(神はサイコロを振らない)の世界へと誘った。
3曲を終え、このファイナルで声出しOKになったことを柳田が告げると、大きな拍手と歓声が。コロナ禍真っ只中の2020年7月にメジャー・デビュー、ツアー・タイトルの"雪融け"とは、声出しできるライヴを夢見て付けられたとのこと。"いつかこういう景色を夢見て、コール&レスポンスのできる曲をたくさん作ってきた。その願いが今日やっと叶う"という言葉にはもう拍手を送り、声を上げ、感謝の気持ちを届けるしかなかった。そして満員の客席への気遣いも忘れることなく、"助け合ってくれよ。みんなのちっちゃな愛がZepp Hanedaから日本中、世界中に広まれば、この世の中が愛に満ち溢れるんじゃないかと思います"と「LOVE」を披露。続く「1on1」では、"Call & Towelponce"という独自のパフォーマンスでオーディエンスを楽しませる場面も。
中盤では、[Monthly Winter Release"冬の大三角形"]と題し、3ヶ月マンスリーでリリースした曲の中からスペシャル・ゲストを呼んで1曲披露ということで、asmiとともに「朝靄に溶ける」を披露した。これまでの世界とは打って変わり透明感あるasmiの歌声と、優しくも切ない柳田の歌声が会場を温かく包む。そして「目蓋」、「徒夢の中で」でさらに幻想的な世界を見せたあとは、メンバーひとりひとりがこのツアーを振り返り、改めてこの日を迎えられたことに感謝を告げ、「解放宣言」から後半戦へ。柳田の攻撃的なヴォーカルと見事なバンド・アンサンブルでスリリングな世界を見せてからは、セクシーな「桃色の絶対領域」、ファンク色の強いキタニタツヤとのコラボ曲「愛のけだもの」と圧倒的な振り幅で魅了する。桐木岳貢のベースが心地よい。
"もう残りわずかなんで超キラッキラの顔を見せてください! いろんな感情があるけど、今日くらいは死ぬほど笑って帰れよ。キラキラして帰れよ。今夜限りの青春作ろうぜ!"と叫ぶように伝え始まったのは「キラキラ」。会場中が凄まじい光に包まれ、熱の入りまくった吉田喜一のギター・プレイには思わず鳥肌が立つほどだ。"生きててくれてありがとう。出会ってくれてありがとう"と間髪入れずに続けた「クロノグラフ彗星」では、ダイナミックな黒川亮介のドラムに惹き込まれ、再び"生きててくれてありがとう。出会ってくれてありがとう"と叫んだあとはラスト「夜間飛行」。途中フロアの全員にしゃがんでもらい、"今日一番のジャンプを見せてくれ!"で目の前に現れた景色は、思い出すと今でも胸が熱くなる。そしてアンコールの「パーフェクト・ルーキーズ」では、本編さながらの迫力で熱気を再び加速させ、"ずっとこの瞬間を信じて作りました"と「illumination」で終演。
静も動もこんなにも生き生きとしたライヴになったのは、楽曲の幅広さや表現力はもちろんのこと、何よりここまでの道のりや想いがこの日すべて表れたからなんだろう。ずっと"いつか"を夢見続けて、ツアー・ファイナルでそれが叶うだなんてもう奇跡超えてるでしょ。この日自分たちのことを"小さなロック・スター"と言っていたけど、この小さなロック・スターが灯した光を目印に、この日ここにいた人たちはこれから歩いていくのかと思うと、その光がとても愛おしくて仕方がない。そしてそれぞれもまた光なんだと気づく日が、やがてやってくることを願ってやまない。
[Setlist]
1. 巡る巡る
2. タイムファクター
3. イリーガル・ゲーム
4. LOVE
5. 1on1
6. REM
7. 朝靄に溶ける with asmi
8. 目蓋
9. 徒夢の中で10. 解放宣言
11.桃色の絶対領域
12. 愛のけだもの
13. キラキラ
14. クロノグラフ彗星
15. 夜間飛行
En1. パーフェクト・ルーキーズ
En2. illumination
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