Japanese
ドレスコーズ
2021年06月号掲載
Interviewer:石角 友香
-しかしながら、すごく去年と今年のことだというのはありながら、言葉もシンプルですね。こういう言葉が乗るのが自然なことだったんですかね。メロディがメロディだけに。
そうですね。すでにメロディを作る時点で多少、意識したところもあって。ピアノの練習曲みたいな、童謡みたいな、シンプルさを少しは意識しながら作って。それはなんで意識したかというと、たぶんこういう言葉を乗せたかったから、ですね。
-違うレイヤーなんだけど、関係しあっていると。
そうそう。そうです。
-そして"Ⅱ."から「ピーター・アイヴァース」が入るじゃないですか。これがこのままでは終わらないんだぞというふうに聴こえたんですね。リリースは「ピーター・アイヴァース」のほうが前ですけど、『バイエル』の描いてる世界の先という感じがして、この曲が入っているのがいいですね。
ありがとうございます。「ピーター・アイヴァース」は最初から入れようと決めてたんですけど、あれはコロナ前の曲で。あれからいろいろ、強制的にシャットダウン、電源をオフにされるような状況になって、それによっていろんなことがわりとクリアになったりもして。すごい因果な仕事なので、創作のこのタイミングでいろんなものから遮断されるっていう経験は少なくとも僕には意義があったので。最悪なことばっかりのコロナ禍の、せめてものいいことを挙げろと言われれば、こういうアルバムが作れたことですね、個人的には。
-そうなんですよね。アーティストのみなさんには取材のたびに"あなたにとってコロナ禍とは?"って挨拶のように聞くわけですよ。でもこれは作品がドレスコーズからの回答というか。
やっぱり1年かかっちゃいましたね。ちゃんと作品として整うまでは。例えば、今までなら平気で使えた歌詞の常套句みたいな、"君に触れていたい"とか、"君の手を握り、抱き寄せて、キスをしたい"とか、全部今やっちゃダメじゃないですか(笑)。"夜の街"って書いても、浮かぶ景色が変わってしまった。今は真っ暗で人もいないわけだし。そうなると、今まで音楽のトレンドが変わることはあれど、言葉とか常識が一瞬にしてガラッと変わることなんてなかったわけで。ほんとによっぽどのことが起きない限りありえない、その、よっぽどのことが起こってしまったと。そういうときに因果なもんで、じゃあ今、ラヴ・ソングを書くとしたらどういう言葉が並ぶのかなぁと試したくなる。"なるべく離れていてね"とか(笑)。そういう、僕らのコロナ禍以降の常識と道徳に慣れるための練習、教材でもあるかもしれない。『バイエル』は。
-すごく志磨さんの作品としてのロマンチックさとか優しいところは変わってないなと思います。
おぉ。良かった。こんなくそロマンチストが「相互扶助」とかいう曲を作りだしたらおしまいですよ世の中は(笑)。僕はずっと"♪メリー・ル~"とか"♪星の王子さま~"とか、そんなことだけ言ってれば良かったんですよ。だからよっぽどですよ。
※「Mary Lou」(毛皮のマリーズ 2010年リリースのシングル表題曲)、「星の王子さま(バイオリンのための)」(毛皮のマリーズ 2011年リリースのメジャー2nd アルバム『ティン・パン・アレイ』収録曲)
-でもやはり、伝わってくるニュアンスは変わってないというか。
うん、ロマンチストなりの腹の括り方、ロマンチストなりの闘争宣言です。全部プロテスト・ソングの、怒りのアルバムですよ。
-そう思います。そして"Ⅲ."はバンド・アレンジというより、フォーキーな印象でした。
やっぱり、豪華なアレンジを必要としなかったですね、今回は。もっといくらでもゴージャスにはできるんですけど、その必要を感じなくて。だから録ってから削ったテイクとかもいっぱいあるんです。"ごめん、やっぱ、いらん"とか言って。
-しかしながら、『バイエル』は何を持って完成なのか? ということも思うんです。
そうそうそう。誰ともなるべく会わず、家にこもってひとりで作り上げたものがこの録音版『バイエル』だとして、例えば別の世界線みたいなものがあったとしたら、コロナのない未来があったとしたら......そこにはきっといろんな人のアレンジが加わって完成した『バイエル』があるはずで。そういう、パラレルワールドの『バイエル』じゃないですけど(笑)。アルバムとツアーで別の形に進化していくっていうのをやろうとしていて。
-メンバーを公募されたじゃないですか。そのアイディアはいつ頃浮上してきたんですか? そこもインクルードされてる計画ならすごいなと思ったんですけど。
はい。今回はいつものように僕から誰かにオファーするのではなく、自分から"やってみたい"と手を上げてくれた人とバンドを組んでみたい。それは『バイエル』っていうテーマにうまくインクルードというか、あまりまだ経験もない、音楽が生業ではない人たちと。そのために作った曲でもあるし、そういうふうに使うために。そこで僕が教えることもあるだろうし、僕が教えてもらうこともあるだろうし、っていうのがあって。でも、それをやろうと思ったのはやっぱりこないだ中野サンプラザの10周年ライヴ("志磨遼平 「IDIOT TOUR 2020」-TOKYO IDIOT-")で、今までのいろんなメンバーが集まってくれて、すごい豪華なコンサートをやったから、っていうのもあったかもですね。やっぱり、あれ以上の贅沢はそうそうないわけだから。今度はそういうラボみたいなものをやるべきだなぁという。その予感はわりと間違ってなかったなぁという感じがしてます。
-具体的なことをうかがいたいんですが、フィジカルとしてリリースされるいったんの完成版にはベースやエレクトリック・ギターやSEも入ってますが、これも全部、志磨さんの演奏なんですか?
いや、それはTHE NOVEMBERSのケンゴマツモト君のギターと、skillkillsのビートさとし(弘中 聡)君のドラム、ピアノは林 正樹さん、ベースは伊賀 航さんに弾いていただいて。最後に、一昨年の『ジャズ』のときから入っていただいている荒木正比呂さんに仕上げの作業をリモートでお願いして、という感じ。
-バンドとは違う面白い聴感ですね。
限りなく小編成になりました。自分でも想定外でしたけど、音を重ねていくごとに違和感が増していくというか、フィクションに聴こえるというか。そういう感覚は初めてで。つまり、去年から今年にかけての僕らの暮らしのスケッチとしてはちょっと、トゥー・マッチな気がして。僕らはあれからずっと誰とも会わずに部屋で過ごした、っていうなんかその感じ、隔たりがある感じ。決して満たされてはいないし、活動的ではない感じ。それを録りたくて。だからレコーディングの最後のほうはほんとにグルーヴをなるべく殺すっていう(笑)、そういう作業でしたね。"ちょっと生き生きしすぎですね......"とか、"ごめんなさい、やっぱりベースなしで......"みたいな。そういう何か足りなくて、隔たりがあって、すごく......満たされなかった僕らの音楽、という感じ。
-これがフルに全部の楽器がなってたら違和感があるかもしれないと。ちなみに"全訳バイエル"の3枚組の中身はどのバージョンなんですか?
1枚目は完成版、2枚目は最初に配信したピアノ・インスト版。3枚目は児童合唱団が歌う"こどものバイエル"っていうのが付きます。
-結果的に5つの"バイエル"が誕生したということですね。この作品はみんなで議論するのも面白いかもしれないです。
そうそう。これはそのための教材じゃないですけど、考える、学ぶ、練習するための作品なので。
LIVE INFO
- 2025.12.05
-
桃色ドロシー
私立恵比寿中学
moon drop
ポルカドットスティングレイ
ザ・クロマニヨンズ
神聖かまってちゃん
NANIMONO
eill
Laughing Hick
Nikoん
崎山蒼志
Mercy Woodpecker / Navy HERETIC / Gum-9 ほか
さかいゆう / 望月敬史 / L'OSMOSE(O.A.)
flumpool
とまとくらぶ
Another Diary
岡崎体育
Rei
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ズーカラデル
打首獄門同好会
- 2025.12.06
-
キュウソネコカミ
AIRFLIP
ザ・クロマニヨンズ
凛として時雨
OKAMOTO'S
BLUE ENCOUNT
indigo la End / a flood of circle / Galileo Galilei / go!go!vanillas ほか
Cody・Lee(李)
brainchild's
LEGO BIG MORL
NANIMONO
"長田大行進曲2025"
石崎ひゅーい
怒髪天
ねぐせ。
Nikoん
水曜日のカンパネラ / yama / CENT(セントチヒロ・チッチ) / D.W.ニコルズ ほか
CVLTE
UVERworld
eastern youth
キタニタツヤ
優里
Kroi / Jeremy Quartus(Nulbarich) / BREIMEN / luv
flumpool
チリヌルヲワカ
Aooo
Mirror,Mirror
心愛 -KOKONA-
THEラブ人間 / ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / KALMA ほか
フラワーカンパニーズ
Ryu Matsuyama
MyGO!!!!!
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
Nikoん
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
石崎ひゅーい
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
豆柴の大群
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
VII DAYS REASON
Chimothy→
崎山蒼志
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
RELEASE INFO
- 2025.12.05
- 2025.12.06
- 2025.12.07
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2026.01.01
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号













