Japanese
UVERworld
2021年03月号掲載
Member:TAKUYA∞(Vo) 信人(Ba)
Interviewer:杉江 由紀
こういうときでも、僕らの音楽を通して少しでも健やかに楽しく過ごしていってほしい
-ところで。今回のシングルには、カップリング曲「Teenage Love」も収録されております。こちらはTAKUYA∞さんと、Ryosuke "Dr.R" Sakaiさんのお名前が作曲クレジット欄に並んでいますけれど、曲の成り立ちはどのようなものだったのですか?
TAKUYA∞:この曲は去年3月くらいに北海道で作曲合宿をしていたとき、東京に帰る間際の最後に作ったものでした。それで、信人にベースを入れてもらおうとしたら信人に相手にされず、先に帰られたっていうことがありました。
信人:ちゃうちゃうちゃう! そんなんやないって!
TAKUYA∞:僕も「HOURGLASS」のときに、1回ちょっと相手しなかったことあるんでこれでちょうどおあいこかなと(笑)。
信人:悪気はなかってん。俺、そんなメンタル持ってないし(苦笑)。
-相変わらず仲睦まじいですねぇ。さすがは幼稚園時代からの仲だけあります(笑)。それにしても、この「Teenage Love」を作り出された際に、TAKUYA∞さんがテーマとして考えていらしたのはどのようなことだったのですか?
TAKUYA∞:10代みたいな恋、ですかね。当然この曲タイトルを直訳した通りと言えば通りなんですけど、立場や職業や、いろんな条件とか余計なものをすべて取っ払ったうえでできる恋って、きっといつまでも想い出せるくらい素敵なものになるんじゃないかなと改めて考えたというか。自分自身の昔を振り返りながら作ったというよりも、今の自分の周りにいる人たちが恋愛に発展するときに相談されたりするなかで感じたことを、曲としてかたちにしたものなんですよ。
-余計なものをすべて取っ払ったうえでできる恋、ですか。それはなんとも尊いですね。
TAKUYA∞:相手はどんな仕事をしていてとか、たいていまずはそういうところを引き合いに出して相談話が始まっていきますからね。その点、10代の頃の恋愛話なんてそんなものなんにも関係ないじゃないですか。
-せいぜい、"その人はどこ中で部活は何やってるの?"くらいですかね(笑)。そういえば、「HOURGLASS」が主題歌となっている映画は青春群像劇の1面も持っていましたよね。もしかして、このカップリングで10代の恋を描いたのは、そことの関連性も多少なり考えていらしたということなのですか?
TAKUYA∞:そこはまったく考えてなかったです。作った時点ではこの曲をどこに入れるかなんて何も決めてなかったし、この曲と「HOURGLASS」を同じ1枚に入れるっていうことも、当初は"本当にそれでいいものなんだろうか"って僕個人はちょっと考えてたくらいですからね。最終的には、今ここで出したい曲を2曲入れましたっていうだけの話なんですよ。だから、1枚を通しての関連性とかは全然ありません。
-わかりました。そして、この曲で一緒に楽曲制作をされていったRyosuke "Dr.R" Sakaiさんには、どの部分を担っていただいたのでしょう?
TAKUYA∞:まず、コード進行とメロディができた段階でSakaiさんに投げたんですよ。彼はこういうタイプの曲が得意だろうな、と思ってましたからね。それで、返ってきたものに対してまたいろいろ手を加えようとは考えていたんですけど、いざ戻ってきたら、オケを少し変えれば、あとは自分の理想像に近いところまで持っていける感じになってたので、この曲では全体的にサポートしてもらったかたちになりました。
-こちらの曲も年末のアリーナ・ツアーで演奏されていたそうですが、ライヴの場でやってみての手応えはいかがでした?
TAKUYA∞:この間のツアーでは全部で5曲、新曲をやったんですよ。そのうちの2曲が今回のシングルに入っているわけなんですけど、とにかくライヴでは、5曲それぞれをどれだけ良く聴かせることができるかというのを全力でやってたんで、「Teenage Love」も自分が思い描いていた通り完璧に表現することができたな、と思ってます。
-さて。この「Teenage Love」の中には"大人の階段の途中"というフレーズがありますけれども。大変ベタな質問にはなってしまいますが、TAKUYA∞さんと信人さんの場合、その大人の階段を"ほぼほぼ登ったかな"と感じた瞬間というのは、今までになんらかのかたちではありましたか?
信人:んー、どうやろう。考えたことない(笑)。
TAKUYA∞:まだ途中じゃないですか? 60代後半とかになってやっと、"登ったかな"って感じるくらいのもんなんじゃないですかね。
-ならば少し質問を変えましょう。ご自身が、"まだ大人になっていないな"と感じるのはどんなところですか?
TAKUYA∞:うわー、そんなのありすぎて。ここでなんか1個だけ挙げたら、"そこじゃないやろ!"っていろんな人から言われそう(笑)。
-あはは(笑)。
TAKUYA∞:でも、昔から比べたら人とは揉めなくなりましたからね。そこだけは、ちょっと大人になったって言ってもいいのかな?
信人:たしかにそれはあるな。うん、揉めなくなった(笑)。
-他者の考えを、ある程度は受け容れられるようになったということですか。
TAKUYA∞:受け容れてるのとは違いますね。人は人、どうでもいいや、みたいなことです。昔は、人は人って思えなくて、つい許せなくなったりしていたんですよね。ダッサいバンドマンとか、ほんと許せなかったですもん。今、そんなのはどうでもいいです。
信人:その感覚はわかるわ。どうでもええなってなることは俺も増えたから。
TAKUYA∞:そう? むしろ、信人は昔より揉めること多くなったんちゃうの? あ、酒の量が前より増えただけか(笑)。
信人:いや、そんなことないって(笑)。
-今さっきTAKUYA∞さんは"人は人"とおっしゃいました。そこは、現状メンバー間においてもそのくらい割り切った距離感で接し合うことが多いのですか?
TAKUYA∞:そこは真逆でしょうね。メンバー同士が、もはやお互いのことを自分自身のこととして考えるようになってきてるから、何か気になることがあるときは遠慮なしに言います。それがたとえ、ちょっと言いづらいことであっても。
-強い信頼関係が根底にあるからこそ、率直に物を言いあうことができるのですね。
TAKUYA∞:長くなればなるほど、仲悪くなってったり、疎遠になってったりするバンドが多いじゃないですか。少なくとも、僕はそういうバンドしか知らないんですよ。それだけに、自分たちはそうなりたくないって強く思ってますからね。ならへんようにっていう意味で僕らはちゃんと話をするようにしてるんです。
信人:とにかく、お互いを尊重してるのは間違いないですね。俺も、みんなに嫌われたくないなっていつも思ってますし(笑)。これくらいがたぶんちょうどいいんじゃないですか。なあなあでもないし、足りひんとこは引き締めていこう! みたいな空気も常にあるし。いいバランスでバンドをやれてるなって思いますよ。
-ここは今回のシングル『HOURGLASS』を手始めにして、2021年のUVERworldにもまた大きな期待をしていいということですよね。
信人:世界がこうやからとか、世間がこうやからとか、そこを理由に何かを投げ出すことはしたくないですからね。大変なこともあったにせよ、去年は得るものもたくさんあって、初心にかえれたところや、音楽をやっていけることに対してのありがたみも改めて感じたので、今年はその気持ちを具体化させていきたいと思ってます。
TAKUYA∞:僕は、ここからいい方向に社会が動いていくとしか思ってないんですよ。楽観的かもしれないですけど、もうこれ以上ひどくはなれへんやろうからね。人によってはまだ危険だと感じる人もいるでしょうけど、そういう人は動けるようになるまで待ってればいいだろうし。だから、僕らはできるだけ去年のぶんも取り返すくらいの勢いで、ライヴをやっていこうと思ってます。具体的にはまだ何も決まってないですけど、絶対に今年は2020年のぶんもみんなにお返ししますよ。そして、リリースもね。ここからは今までより安定してやっていけると思います。何しろ、ここまでにはもて余すくらい時間がたくさんあったんで、曲がいっぱいできてるんです。
-ということは......?
TAKUYA∞:アルバムもそう遠くないうちに出そうと考えてます。UVERworldのファンの人たちには、こういうときでも、僕らの音楽を通して少しでも健やかに楽しく過ごしていってほしいと思ってますからね。これからもまた、作品とライヴの両方をみんなにしっかりと提供していくつもりです。
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