Japanese
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2021年04月号掲載
Member:長谷川 海(Vo/Gt) 松本 和也(Dr/Cho) 鳥山 昂(Gt/Key) 髙橋 悠真(Ba)
Interviewer:蜂須賀 ちなみ
-そして、3曲目の「回顧録を編む」は「備忘録を綴る」(2020年リリースの1stデジタル・シングル)と対になっている曲で、メロディや曲の大まかな構成は同じだけど、「回顧録を編む」が女性目線、「備忘録を綴る」は男性目線の歌詞になっていると。長谷川さん、こういう曲書くの好きそうですよね。
長谷川:楽しくて仕方なかったです(笑)。"イニシエーション・ラブ"のような、"裏面では実はこんなことを思っていました"みたいなことを曲でやれる機会って、なかなかないと思ったんですよ。
松本:"イニシエーション・ラブ"、なるほどなぁ。
長谷川:だから、「備忘録を綴る」を解説補強するように書いた部分と、主人公同士が主張し合うように書いた部分があって。その塩梅を考えながら書いていきました。僕の中で、このカップルはふたりとも宇多田ヒカルが好きだという設定なんですよ。""今更約束なんてさ 不安になるだけ" だってさ"という歌詞は、「光」(宇多田ヒカル)から引っ張ってるんですけど、僕、あの曲ってエゴイスティックやなと思ってて。そのエゴイスティックさって男も女も持っている部分やなと思って、そういう歌詞を忍ばせてみました。
-アレンジ面はどうですか?
松本:そもそも「備忘録を綴る」を作るとき、シンプルなアレンジにするか、"THEバラード"という感じにするか、どっちにする? という話になったんですよ。それで"両方やったらいいんじゃね?"となったのがこの2曲のスタートで。アレンジはほぼトリ(鳥山)が作りました。
鳥山:珍しいですよね。アレンジを頭からポンと僕に振るのって。
松本:たしかに。
鳥山:1サビ前のコードを変えているんですよ。「備忘録を綴る」のほうは海君の書いた歌詞が"奪ってゆく"だったので、そこで音をなくしてるんですけど、「回顧録を編む」はそうはせず、コードをちょっと緊張させて。この頃、コードの緊張と解決にやたらハマってたので、それが出てますね。......でも、全体的にわりとあっさり作れたというか。海君が歌詞で色をつけてくれているから、それに合わせてダイナミクスつけて。いい意味で事務的に作りましたね。
松本:インタビューでどう作ったか聞かれて"事務的に作った"って言う人おる(笑)? 悲しいんやけど(笑)。
鳥山:(笑)でも、完成したときは"すごい! 海君、オーケストラの中で歌ってるみたい......!"みたいな達成感がありました。
-そして、今回のシングルは3形態あって、収録内容がそれぞれ異なると。中でも初回限定盤Bの"スペシャルアレンジDISC"は初の試みですね。
松本:4月16日から東名阪でアコースティック・ワンマン("3rd Single Releaseワンマンツアー「pop you , pop me Tour~アコースティック編~」")をやるので、最初はアコースティック・ミニ・アルバムな的なものにするつもりだったんですけど。そういえば、ファンクラブ・イベントで演奏したデモと同じアレンジの「Lostman」も評判良かったし、海君の入院中に3人でやったライヴも評判良くて"海君いらないんじゃね?"って思ったし、そういうのも入れたいなぁと思って。
長谷川:待って、"海君いらない"は普通に傷つく(笑)。
松本:それは冗談ですけど(笑)、そういう経緯があってこの形に変わりました。
-「至上の空論」は主旋律の最初の2音が「風のとおり道」("となりのトトロ"挿入曲)と同じなので、ピアノで弾くと、そこはかとなくジブリ感が......。
松本:トリがスタジオで休憩時間にクイズ出すんですよ。頭の"ドミ♭~♪"だけ弾いて、そこから先が「至上の空論」なのか「風のとおり道」なのかをみんなで当てるっていう(笑)。
-平和でいいじゃないですか(笑)。最後に、2021年はどんな年にしたいですか?
鳥山:去年は充電期間という印象があったんですけど、今年もその側面が消えてはいない気がして。だから、引き続き充電しつつ......いや、なんか違うなぁ。こういうときに"飛躍の年にします!"みたいなことを言うのに慣れてるから、どう言えばいいんだろうって思うんですけど......。
長谷川:たしかにね。
-いちリスナーとしては、みなさんが楽しく音楽をやれている状態が一番だと思います。
鳥山:そうですよね。気張りすぎて潰れるのは違うなぁって思います。まぁ、去年は充電しつつも、バンドとしても力をつけられたし、曲のクオリティもどんどん洗練されてきているなぁという手応えがあって。
松本:去年ツアーができひんかったぶん、今年こそはリベンジするぞという気持ちがもちろんあるし、楽曲制作ももりもりやっていきたいですね。音楽って娯楽やから、生きるうえでマストではないじゃないですか。やからこそ、ホンマに必要としてくれている人のために頑張って続けていきたいよねって思います。そう考えたら、やっぱり周りの状況なんてどうでもよくて。自分たちが潰れないようにしつつ、こんな自分たちの音楽を楽しみにしてくれている人に(作品を)届けることがお仕事なので。それを全うできればそれでいい、みたいな。
長谷川:和也君が人間みたいなこと言ってる~!
松本:私は人間だ(笑)!
長谷川:(笑)でも、たしかにそうですよね。僕は、コロナだからこそできたことがいっぱいあったなぁと思うんですよ。ピンでラジオのお仕事をいただいて3ヶ月頑張ったなかで得たものがあったし、7キロ痩せて身体動かすことを習慣化させることができたし。この1年をなかったことにしたくないし、その経験はちゃんと音楽に還元できてると思う。だから......これは毎年言ってることなんですけど、バンドはもちろん、人間としての幅も広げながら、メンバー含め、自分を愛してくれる人に返せるような働きをしていかなアカンと思うんですよね。そのための一番手っ取り早い方法が曲や歌詞を書くことやと思うので、息を吸って吐くみたいに、インプットとアウトプットを止めずにしていきたいです。
髙橋:去年、梅田クアトロ(CLUB QUATTRO)やO-EAST(渋谷TSUTAYA O-EAST)でワンマンをやったときのライヴ中の空気や、終わったあとのメンバーの様子をすごく鮮明に憶えてるんですよ。思い出すと今でもちょっとニヤけるし、それがあるからこそ、音楽を楽しめるというか。その感覚は2020年春の緊急事態宣言中はなかなか感じられなかったんですけど、今は"あの感覚があるから"と思えてるし、それが活動のエネルギーになっていて。もしかしたら今年もライヴが少なくなっちゃうかもしれないけど、できることを願って、楽しみにしながら、ひとつひとつの準備を大事にしていきたいです。
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