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INTERVIEW

Japanese

ドラマストア

2021年04月号掲載

ドラマストア

Member:長谷川 海(Vo/Gt) 松本 和也(Dr/Cho) 鳥山 昂(Gt/Key) 髙橋 悠真(Ba)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

久々に演奏したらやたら楽しくて。森の音楽団みたいでした


-いいですね。とても大事なことだと思います。ここからはシングルについて訊かせてください。まず、どんなシングルにしようと考えて制作を進めていったのかをうかがえますか?

松本:シングル『ラブソングはいらない』(2019年リリース)を出すとき、実は最初"激しくてカッコいいMV出したい"、"それならギター・ロックをやろうか"と思ってたんですよ。でも、いろいろな人に相談した結果、ギター・ロックはいったん置いておくことにして。それで「ラブソングはいらない」という曲を作ってリリースすることになったんですけど、ギター・ロックの曲のほうがリリースできずに残っていたんです。

-その曲が「希望前線」だったと。

長谷川:そうですね。それで『希望前線』というシングルを作る予定やったけど、他の2曲も良かったから、"もうトリプルA面でいいんじゃね?"って話になって。そもそも僕ら"カップリング"という考え方が嫌いなんですよ。だって全曲同じぐらい考えて作ってるのにって思うじゃないですか。

-以前インタビューで"リード曲"という言葉を出したら、松本さんから、"全部リード曲のつもりで作ってるんですけど"と叱られたことを思い出しました......(笑)。

松本:懐かしい(笑)。あの頃は若かったですからね。

-"トリプルA面"というワードって今後なくなるかもしれないと思いませんか?

松本:もうなくなり始めてますよね。

-だとしたら、それでも"トリプルA面です"と声を大にして言う意味は?

松本:例えば、僕らがメジャー・デビューしたとして、メジャー行ってからも毎シングル"トリプルA面です!"って言いながら出すのは若すぎるじゃないですか。インディーズは何してもOKというか、"ガツガツ攻めていかなアカン!"って感じがあるから、最初で最後のトリプルA面という気持ちで思いきっちゃおうかなって。

-なるほど。で、1曲目が先ほど話題に上がった「希望前線」。

長谷川:この曲は僕から何パターンかデモを出したあと、メンバーの意向を軸に作っていきました。データでのやりとりが増えたとか、アレンジに打ち込みが増えたとか、コロナ禍の世の流れとしてそういう変化があったと思うんですけど、僕らの場合は制作スタイルが全然変わってないんですよ。スタジオに集まって、自分の指で弾いて、自分の言葉で意見を言って、っていう。

-熱量の高いテイクですし、こういうギター・ロック然とした曲は久々ですが、主に2番以降でひねりまくっているのが"ドラマストアだなぁ"と感じられる要素で。

長谷川:そうですね。みんなでああだこうだ言いながら試行錯誤しました。

髙橋:長い時間こもってスタジオに制作することが数日続いたんですよ。ベースで言うと、僕が提案したものに対してメンバーからも意見を貰いましたし、攻めてるフレーズがわりと多い印象がありますね。

松本:ドラムは"毎回何かしたろう"みたいな感じで。

鳥山:ギターは"えい!"って感じ。

長谷川:IQ低いな(笑)。

鳥山:(笑)でも、この曲に関しては"上手く弾けた"じゃなくて、"気持ち良く弾いた"というのがすべてな気がします。

松本:MVも撮り終わってるんですけど(※取材時は公開前)、UNISON SQUARE GARDENの「桜のあと (all quartets lead to the?)」と同じロケ地で撮ったんですよ。

-へぇ~。それは何か理由があるんですか?

長谷川:やりたいな! っていう(笑)。

松本:"そんな感じの曲やん!"言うてな(笑)。

-(笑)でも、他の2曲ではなく、「希望前線」でそうなったのはなんとなく理解できます。例えば、基本はシャッフル・ビートだけど、1曲の中でいろいろなことをやっている感じとか、2番Aメロの盛り上がり方とか、鈴木貴雄(UNISON SQUARE GARDEN/Dr)さんからの影響を感じる瞬間があるので。

松本:いや~、俺、どっちかというと田淵(智也/UNISON SQUARE GARDEN/Ba)さんタイプやと思うけどなぁ。

-ははは(笑)。メッセージとしては"僕は僕で 君は君でいよう"が真ん中にあると思いますが、それが、"自分自身が想像通りの武器です"と歌う「knock you , knock me」ともリンクしています。

長谷川:それは偶然なんですよね。「希望前線」のそのフレーズは、YouTuberのかすちゃんをイメージして書いたところもあるんですよ。MVにかすちゃんが出演してくれることが決まっていたから、僕らがこの子を選んだ意図、関連性も出したいなぁと思って。ほんで彼女のキャラを知りたいなと思って、いくつか動画を観てから歌詞を書いたんです。だけど、「knock you , knock me」は去年"アタック25"で優勝したとき、収録を観に来てくれてた悠真が"海君の勝負強さが出てたよね"って言ってくれたことがきっかけで書いた曲なんですよ。だから、僕の中では結構分けて書いてるつもりなんですけど......かすちゃんが、"私についての100の質問"みたいな動画で"生まれ変わるなら誰になりたい?"という質問に"もう1回私!"と答えていて。それって俺と一緒なんですよ。

松本:あっはっはっはっは!

長谷川:そういうふうに僕とかすちゃんには共通項があったから、同じような言葉が自然と出てきたのかもしれないですね。

松本:もしかしたら初めてちゃう? "アタック25"から曲を書いた人って。

-たしかにそこから曲が生まれるとは思っていませんでした(笑)。"knock you , knock me"というタイトルは「Catch You Catch Me」(グミの楽曲/"カードキャプターさくら"第1期オープニング・テーマ)から?

長谷川:そうなんですよ~! (作詞作曲の)広瀬香美さんが再ブレイクされましたからね。"カードキャプターさくら"好きの僕としては、「Catch You Catch Me」ぐらいのテンションで書きたいなということで、このタイトルにしました。

-曲調としてはブラスの入った軽やかなピアノ・ポップで。

鳥山:デモを録ってからしばらく寝かせてた曲なんですけど、久々にやったら、やたら楽しくて。

松本:"「希望前線」の他に何入れる?"という話になったとき、"途中までやってたやつあったよな"って言いながらみんなでデモを聴き始めたんですよ。聴いてたら楽しくなってきて、みんながちょっとずつ楽器で入ってきて、最後めっちゃ演奏して終わるという(笑)。

鳥山:森の音楽団みたいでしたね(笑)。

松本:ははは! 最初は跳ねずにやろうとしてたんですけど、かなりノリノリになりました。ガムシャラに作って"これカッコええやん!"っていう光景って他のバンドやったらよくあるのかもわからへんけど、俺らはロジカルに作りすぎて、"これで合ってるか?"みたいなことばかりやってきたから、"楽しい! 最高! カッケー!"となることって少なかったんですよ。めちゃくちゃ貴重な経験やったなぁって今振り返って思います。