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INTERVIEW

Japanese

Half time Old

2020年11月号掲載

Half time Old

メンバー:鬼頭 大晴(Vo/Gt) 小鹿 雄一朗(Gt) 内田 匡俊(Ba) 阪西 暢(Dr)

インタビュアー:秦 理絵 / 小林

Half time Oldが10月28日にリリースする最新ミニ・アルバム『CRISP YELLOW』は、ソングライティングを手掛ける鬼頭大晴のパーソナルな部分がこれまで以上に浮き彫りになった1枚だ。あまのじゃくで、時々自分を好きになったり、嫌いになったりもするけれど、なんとか明日も生きていく。そんな愛すべき人間像を軸に据え、それを様々な角度から照らし出す色鮮やかなアレンジで完成させた今作は、正真正銘、Half time Oldにしか鳴らせない作品になった。今年1月にau三太郎シリーズのCMソングに抜擢され、お茶の間への知名度が広がった今、より深くバンドの本質を伝えるべく生まれた今作について、メンバー全員に話を訊いた。

-本題の『CRISP YELLOW』の話に入る前に、今年1月にau三太郎シリーズのCMソングに起用された話から聞かせてください。インディーズのバンドには大抜擢ですよね。

阪西:はい。本当にそうですね。

-最初に決まったとき、どう思いましたか?

小鹿:最初に"auのCMソングに決まるかも"っていう話を聞いたときは、"どうせ決まらないだろうな"ぐらいに思ってたんですよ。でも、本当に決まって。"マジか"って思いましたね(笑)。

鬼頭:たしかスタジオに入ってるときだよね?

小鹿:練習してるときだったんですよ。

-周りの人からの反響も大きかったでしょう?

阪西:いろいろな世代の人に見てもらえたのかなと思いますね。特に近しい人たちからは、"見たよ"っていう反応をたくさん貰いました。

小鹿:親族とかね。

鬼頭:ただ、ライヴに来てくれた人が増えたか? って言うと、ちょうどCMが放送されてたのがツアー中で、だいたいチケットもソールドしてて。そこから動員が伸びたなって実感できる前にコロナ(新型コロナウイルス感染症)がきたんです。だから、そこらへんの実感はあんまり伴ってないんですけどね。

-CMソングの「みんな自由だ」(2020年1月に配信リリース)は、バンドとして鬼頭さんの作詞作曲ではない初めての曲だったと思いますけど、そのあたりはどうでしたか?

鬼頭:正直、他の人が作ったものを歌うっていうのは、最初は若干の違和感はありました。"俺はこういう言い回しはしないな"っていうのもあったりして。でも、今まで自分が歌ってきたことと根本的にズレていたわけでもなくて。歌ってるうちにだんだん慣れてきたところはありましたね。

-4年前に『人生の使い方』(2016年リリースの1stフル・アルバム)で初めてインタビューしたときに、"世代とかジャンルを超えて自分たちの音楽を届けたい"っていうような話をしてくれてたんですけど。その目標に近づけたような手応えもあったんじゃないですか?

内田:規模感がワイドになったのは純粋に嬉しいですよね。Half time Oldって、なよなよしてそうに見えて、意外と無骨なバンドじゃないですか。パワー・タイプというか。

-特にライヴで観ると、アグレッシヴなライヴ・バンドだなと思います。

内田:そうなんですよ。意外と硬派で、ライヴハウスで勝負してるところがあるんですけど。そういうバンドを、ライヴハウス以外の場所でもピックアップしてくれるっていうのはありがたいですね。

-ただ、今から話をする『CRISP YELLOW』には、「みんな自由だ」は収録されません。

小鹿:今後の作品に入れられればと思ってます。

-そうなんですね。とはいえ、かなり濃い作品になったなと思ってます。まず、鬼頭さんのパーソナルな部分がより強く出たように感じました。

鬼頭:でも、そこは意識してないんですよ。書き方自体は今までどおりですね。自分がいいと思うものを書きたいっていう。自分の変化に気づけてないだけかもしれないですけど。

-たぶん変化というよりも、Half time Oldって、鬼頭さんの人としてのバイオリズムというか、浮き沈みのモードが作品に反映されやすいバンドだと思うんです。

小鹿:たしかに(笑)。

-そういう意味で、今回のアルバムは、鬼頭さんが自分の中の悩みとか葛藤を受け入れようとしてる。納得して進もうとする割り切った感じがしたんですね。

鬼頭:そこは、この(コロナの)時期だからだと思います。こんな理不尽を受け入れなきゃいけない時期って、なかなかないじゃないですか。ずっと我慢してるし、ライヴはできないし。もやもやしたまま曲を書いてたような気がするんですよね。今までだったら、曲作りをしてるときに、ライヴをして、"あ、やっぱりバンド楽しいな"と思いながら、また次の曲を書くっていうことができてたのに、今回は曲作りで行き詰まっても、"バンド楽しい"って再認識できる場がなかったんですよ。でも、受け入れるしかない。今回、俯瞰した感じの歌詞が多いのは、そういうところかもしれないですね。

-じゃあ、1曲目の「my^2」で、バンドそのものをテーマに歌ってるのは、なかなか楽しさを見いだせないからこそ書いたものだったんですか?

鬼頭:そうです。僕らは高校生の頃からずっと音楽をやってるんですけど。こういう状況になったことで、もし自分が音楽をやってなかったら、仕事もせずに、毎日こんな生活を過ごしてたのかなって思う瞬間が結構あって。

小鹿:そうだねぇ(笑)。

鬼頭:今頼れるものが、バンドをやってるっていうこと、一応、まだ曲を書いて続けてるぞっていう事実しかなくて。それを思ったときに書いた曲なんです。

阪西:最初はちょっと歌詞が違ったよね?

内田:もっと尖ってたよね。それこそ、この理不尽に対する怒りみたいなものだったけど、最終的には尖ってるだけじゃなくて、やっぱりバンドが好きだっていう本質的なところに落とし込んでるんです。僕はこの曲、めちゃめちゃ好きですね。特にラスサビが。

-鬼頭さん自身の子供の頃のことを歌ってるところですね?

内田:そこがすごくいいんです。

-"初めての曲は誰も知らない"って歌ってますけど、たしか過去のインタビューで、"友達の誕生日に作ったのが初めての曲だった"って言ってましたよね。

鬼頭:あ、それです(笑)。

-"自作のラジオにリスナーはいない"っていうのは?

鬼頭:こういうことをやってたんですよ(笑)。クリスマスにカセットデッキを買ってもらって。2~3ヶ月後に録音ができることを知ったんです。で、自分の声を録ってみて、兄と一緒にラジオ番組のパーソナリティみたいなことをやってて。

-誰かに聞かせるわけでもなく?

鬼頭:ただの遊びでした。それで、人生で初めて自分の声を聞いて、変な声だなって思いましたね(笑)。

-"おかしな声でも歌っていようぜ"というフレーズも出てきますね。

鬼頭:そうですね。この曲は自分語りしかしてないんです。だから、タイトルに"my"っていう言葉を入れたんですけど、同時にバンドのことも歌ってる。っていうので、メンバーのイニシャルをとって、"mymy"っていう意味のタイトルにしたんです。

-あー、なるほど! 名前の頭文字。

阪西:俺たちも最初にタイトルのことを聞いたとき、その反応をしました(笑)。

内田:声が出たもんね、普通に。うぉー! って。