Japanese
Half time Old
Skream! マガジン 2021年07月号掲載
2021.06.11 @Veats Shibuya
Writer 秦 理絵 Photo by タカギユウスケ
阪西 暢が"ワン!ツッ!スリッ!フォー!"と、ドラム・スティックを打ち鳴らし叫んだ性急なカウントを合図に、「ミニマリスト」からライヴは始まった。"初めから飛ばしていきましょうか!"。鬼頭大晴(Vo/Gt)の気合のこもった言葉もオープニングの興奮に拍車をかける。Half time Oldが東名阪で開催してきたワンマン・ツアー"半分古"。そのファイナルとなったVeats Shibuya公演は、そんなトップギアで始まった序盤のテンションのまま、最後の1音まで駆け抜けていくエネルギッシュなライヴだった。
「ミニマリスト」に続き、阪西が前のめりなツービートを刻んだ「my^2」では、小鹿雄一朗の真骨頂とも言うべき、タッピング奏法による派手なギター・フレーズが炸裂した。メイン・ソングライターである鬼頭が自身の半生とバンドのことを自己紹介するように綴ったこの歌には、"陽気なドラム"、"無邪気なベース"、"歪んだギター"と、それぞれのメンバーが登場する。まさに目の前にはその通りの景色が広がっているような感じだ。間髪入れず、ステージがカラフルな照明で彩られ、昨年、auのCMソングに起用されて話題になった「みんな自由だ」をショート・バージョンで披露。"今日はやれて良かったなって思います。楽しみ尽くして帰ってください"と意気込みを伝えたあと、鬼頭と小鹿が弾く2本のギターと、内田匡俊のベースが息ぴったりにユニゾンした「GO&SING」では、"さあ歌おう"というフレーズを、"こぶしをあげよう"と替えて歌っていた。コロナ禍の新しいライヴハウスのルールでは、お客さんは声を出すことができない。その代わり、ウォーウォーと歌うメンバーのコーラスが全力だ。原曲にはない伸びやかなイントロで助走をつけた「シューティングスター」の頃には、お客さんがそれぞれのノリ方でライヴを楽しむ自由な空間ができあがっていた。Half time Oldの楽曲は、どこまでもポップで人懐こいが、メンバー全員の総合の高さを感じる硬派でストイックなバンド・サウンドはライヴハウスでこそよく映える。
バンド名を漢字で表記した"半分古"というツアー・タイトルにちなんで、ベース内田側を"うっちーチーム"、ギター小鹿側を"おっちゃんチーム"と半分に分け、ゲームのように盛り上げた「マッシュルームソング」と「エール」は斬新だった。バンドとしては初めての試みだったが、あまりにも高い適応力を見せるお客さんのレスポンスに、"いいね、想像以上ですよ!"と、鬼頭は嬉しそうな笑顔を見せた。ライヴハウスに限らず、コロナ禍の生活とは往々にして制限が多い。ならば、できないことを数えて嘆くのではなく、新しい楽しみ方を見つけていく。そういうことができるロック・バンドこそ、この時代に生き残っていくのだと思う。
大きくグライドする内田のベースに乗せて、"忠犬"にはなり切れない人間の性を剥き出しの言葉で届けた「忠犬ヒト公」のあと、「アドホック」では、一瞬、鬼頭が歌詞を飛ばして、苦笑いをする場面もあった。だが、それすらも生のライヴならではのハプニングとして味方にする。それぐらいの無敵感が、この日のHalf time Oldのライヴにはあった。"オンベース、うっちー!"という声を合図に、内田がステージ際まで踊り出る。ひとりでも乱れたら、すべてが瓦解しそうなほど、絶妙なバランスで4つの個性が重なり合った「アナザーロード」が、Half time Oldのロックな一面を結晶化したような曲だとしたら、続く、「愛の真ん中」は、彼らの"歌"の強さが胸を打つミディアム・ナンバーだ。日々、こなすべき義務に心をすり減らしながらも、決して忘れてはいけない光があることを伝えるその歌は、あらゆるHalf time Oldの楽曲に通底する普遍的な想いのように感じる。
MCでは、ムードメーカー的な存在でもある阪西を中心に、スタジオで空調の温度を下げがちだという内田の"エアコン奉行"ぶりで会場の笑いをさそった。そして、アコースティック・ギターに持ち替えた鬼頭が、"長くバンドを続けてきたけど、こんなことになるのは初めてです"と、コロナ禍の活動について触れ、"それも続けてきたからこそかなと、ポジティヴに受け取って。これから、みんなでいい場所に向かえたらと思います"と言うと、その想いを楽曲に託した「道」に繋いだ。2017年に発表された『発見と疑問』に収録されたそのスロー・バラードには、"当たり前と思えるものは一つも無く/どれもすべてが奇跡だと思えた"というフレーズがある。それは、あらゆる当たり前が信じられなくなった今、より強く胸に響くものだった。
"次の曲、せーの!"という鬼頭の言葉を合図に、ステージに水玉のような光が踊り、この瞬間の記憶をずっと未来まで刻みつけるアップ・ナンバー「『0』」から、いよいよライヴはクライマックスに向けて加速していった。"どうか幸せになってね"と、集まったお客さんが、このライヴハウスを出たあとも、前を向いて歩んでいけることを願うような「雛の歌」は、ドラマチックなアレンジに乗るメンバーの合唱も熱かった。"ポジティヴにいきましょうよ。落ち込む日もあると思うけど、それでも、こういう日に消化していきましょう"。こんな時代だからこそ、努めて明るい言葉を選んだようにも見えた鬼頭の最後のMCのあと、本編を締めくくったのは、壮大な打ち込みが骨太なバンド・サウンドへの橋渡しをした「スイッチバック」と、初期からのライヴ・アンセム「アウトフォーカス」という、底抜けに心踊るナンバーだった。さらに、アンコールには、この夜を象徴するような陽気なロックンロール「アンチヒーロー」も用意されていた。ロックには、悲しみに寄り添うという一面がある。もちろんHalf time Oldにも、そういう楽曲はあるが、それよりも、この日の彼らが見せたものは、今こそ"心から楽しませる"ということを、バンドの役割として引き受けたようなライヴだった。それはきっと強い覚悟がないと、できないことだ。
ライヴ中、"年内のリリースに向けて曲を作っているので期待していてください"という鬼頭からの嬉しい発言もあった。コロナで通常のライヴ活動ができなくなって以降、Half time Oldは、過去のアルバムを1枚ずつテーマにした配信ライヴなども行ってきた。その積み重ねがこの日のライヴにも生かされていたと思う。時代の逆境のなか、大きくバンドの地力を底上げした結成10年目のHalf time Old。今、その次なる一手に期待せずにはいられない。
[Setlist]
1. ミニマリスト
2. my^2
3. みんな自由だ
4. GO&SING
5. シューティングスター
6. マッシュルームソング
7. エール
8. 忠犬ヒト公
9. アドホック10. アナザーロード
11. 愛の真ん中
12. 道
13. 『0』
14. 雛の歌
15. スイッチバック
16. アウトフォーカス
En1. アンチヒーロー
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