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LIVE REPORT

Japanese

Half time Old

Skream! マガジン 2023年03月号掲載

2023.02.05 @Spotify O-Crest

Writer : 山口 智男 Photographer:タカギ・ユウスケ

昨年10月12日にリリースした4年ぶりのフル・アルバム『身体と心と音楽について』のリリース・ツアーの締めくくりに、Half time Oldは"Final Series ワンマン"と題して、"身体編"、"心編"、"音楽編"とそれぞれに異なるコンセプトを掲げたワンマン・ライヴを3日連続で行うことに挑んだ。そして、"音楽編"と謳ったその最終日。メンバー4人を手拍子で迎えた観客を圧倒するように、いきなりそれぞれの楽器を大音量で鳴らしながら、鬼頭大晴(Vo/Gt)はライヴの始まりを宣言した。

"名古屋のロック・バンド、Half time Oldです! リリース・ツアー・ファイナル! やりましょうか、みなさん!" 彼らがこの日、1曲目に選んだのは『身体と心と音楽について』収録のアップテンポのロック・ナンバー「STORY TELLER」。そこから4人は「GO&SING」、「アウトフォーカス」と畳み掛けるように繋げ、エネルギッシュな演奏を繰り広げていったのだが、結論から――つまり、このレポートで一番伝えたいことから書いてしまうと、自ら"ロック・バンド"と名乗った通り、この日Half time Oldは終始最高にロックしていて、最高にかっこ良かったのだ。そして、それがこのライヴの一番の見どころだった。

もちろん、Half time Oldのファンならロック・バンドを自称しながら、彼らがロックだけにとどまらない、様々な曲をレパートリーとして持っていることはご存じだと思う。実際、"1日目は「身体編」。2日目は「心編」。3日目は「音楽編」。今日は総集編だから、Half time Oldというバンドを知り尽くして、楽しみ尽くしてほしいと思います!"という鬼頭の言葉通り、この日も内田匡俊(Ba)のスラップと鬼頭が歌う辛辣な歌詞が際立つファンキーな「Night Walker」をはじめ、ダンサブルなビートで観客の身体を揺らしたり、鬼頭がアコースティック・ギターを弾きながら、「道」をはじめバラードもたっぷりと披露したり、多彩な選曲でバンドが持つ幅広い音楽性をアピールしていった。

"しれっとメジャー・デビューしたところも僕たちらしい。そんなの関係なしに聴いてほしいから、音楽以外の情報はあんまりいらない。メジャー・デビューを祝いたかったファンは、ごめん(笑)。これからもいろいろあるけど、現時点で人生に点数をつけるなら100点満点。でも、200点、300点を目指したい。この先Half time Oldにしか見せられないものがあると思うから、このまま同じ道を一緒に歩んでください"
結成からこれまでの歩みを振り返りながら、鬼頭がそんなふうに観客に語り掛けたMCも含め、中盤のバラード・パートもまたこの日の大きな見どころだったと思うが、バラードを演奏しても、バンドの演奏に熱が加わってしまうのが今のHalf time Oldなのだろう。バラード・パートの最後を飾った「Come Morning」は、ソウルフルなUKロックなんて趣も。それまで手拍子したり、拳を振ったりしていた観客は微動だにせず、同期でストリングスを鳴らしながら壮大に聴かせたミドル・テンポの演奏に、じっと聴き入った。

その「Come Morning」でフィードバック・ノイズを巧みに操りながら、気迫に満ちたソロを弾いた小鹿雄一朗(Gt)が直後に語った言葉を聞き、なるほどと納得。
"ロック・バンドが好きだから、このバンドを始めました。このバンドはいろいろな曲があるけど、一番好きなのはロック。ロック・バンドって言ったら、やっぱりライヴは「おりゃあ!」じゃないですか。そういうバンドでありたい。今後もどんどん煽っていくんで、みんな、ついてきてください!"

アップテンポのロック・ナンバー「dB」でラスト・スパートをかけたバンドの演奏は、阪西 暢(Dr)が2ビートで繋げた「my^2」でさらに加速していく。そして、ロック・バンドの矜持を謳う「愛してるよ」で本編を締めくくった4人が、アンコールに選んだのが「ミニマリスト」。"素晴らしい日々をいつか君と迎えれるように"と旅立つ決意を歌うこの曲を、リリース・ツアーの最後の最後に演奏したのは、ツアーの終わりを新たな始まりに変えたかったからだろう。ひと皮剝けた姿にHalf time Oldのこれからがさらに楽しみになった。とりあえず次のライヴが待ち遠しい。


[Setlist]
1. STORY TELLER
2. GO&SING
3. アウトフォーカス
4. スイッチバック
5. マッシュルームソング
6. 忠犬ヒト公
7. Night Walker
8. 道
9. 必要なのはなんだっけ
10. なにもの
11. Come Morning
12. dB
13. my^2
14. 愛してるよ
En. ミニマリスト

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