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INTERVIEW

Japanese

緑黄色社会

2020年04月号掲載

緑黄色社会

Member:長屋 晴子(Vo/Gt) 小林 壱誓(Gt/Cho) peppe(Key/Cho) 穴見 真吾(Ba/Cho)

Interviewer:吉羽 さおり

-また、ライヴということでは「Mela!」がアグレッシヴで、晴れやかで最高の曲ですね。

長屋:これは初めての作り方をした曲ですね。作詞と作曲でふたりずつになっていて。「Alice」(2018年リリースの1stアルバム『緑黄色社会』収録曲)という曲とか、全員で曲を作るのはこれまでもやっていたことではあったんですけど。そのときは、みんなでスタジオに入って作詞も作曲も一緒に考えるというスタイルだったんです。

-作曲がpeppeさんと穴見さん、作詞が長屋さんと小林さんという組み合わせですね。なぜこういう方法に?

長屋:最初の曲のきっかけを作ったのがpeppeだったんです。そのpeppeだけでは広がりきれなかったところを真吾と共作にすることで今の形になって。それでまず、曲ができあがったんですけど、それが本当にキャッチーでいい曲だなって思ったんですよね。じゃあ曲をふたりで作ったし、どうせなら作詞もふたりでやって全員で作った曲にしようとなって。今回は作詞のやり方も初めての試みでした。

小林:どういう歌にするか、まずふたりで話をして。僕がヒーローを好きだっていうところから話が膨らんでいって、こういう歌詞にしようというプロットじゃないですけど、物語を想像して、それを長屋に渡して歌詞にしてもらったんです。

-こういう今までとは違う作り方はだいぶ刺激が多かったですか?

長屋:そもそもメンバーが作曲した曲や、自分のメロディじゃないものに歌詞を載せるだけでも、違う自分になった気分で歌詞が書けるんです。そういう方法でも、違うものが生まれるっていうのがあるんですけど、今回に関してはさらに、壱誓がプロットを考えたものに歌詞を書くっていうさらに違う要素が入ってきたから、すごく作っていても面白かったですね。

-サウンド的に高揚感たっぷりだし、曲調もキャッチーなんですけど、変化球たっぷりで聴かせどころが多いですね。

穴見:peppeの鍵盤ってクラシカルな印象のものが多いと思うんですけど、珍しくジャズ的なフレーズを最初に聴かせてくれて。これは絶対に拾って面白いものを作っていかないとだなと思ったんですね。それで一緒にセッションをして、peppeがピアノを弾いているところに、"ふふふーん"って歌ったりしながら作っていったんです。結果的にはパーティー感があるというか、想像していたよりも飛距離のある曲になって。あとは前に初めてストリングスのレコーディングをしたときに、"今度はブラスも絶対やりたいね"という話はしていたので、これを機にそういう新しい感じを入れてもいいのかなと思ったんです。

peppe:中学生のときに吹奏楽をやっていて、ルーツに管楽器というものはあるので、いつか入れようねってみんなで言っていたものが叶いました。真吾に託してアレンジを考えてもらった段階で"これがやりたかった、これこれ!"って一聴してテンションが上がりましたね。自分ができない、持ってない知識やアイディアをたくさん詰め込んでもらって。こういう曲の作り方もあるんだなっていう経験でしたね。

穴見:これはまたやろう。

-このホーンが入るだけでも、曲の勢いが増しますよね。いくつかある間奏部分もそれぞれ違った遊びをしていて、みんなで作ってこの感じが出てくるっていうのが醍醐味です。

長屋:間奏部分ももちろんそうなんですけど、この曲の推しポイントは、繰り返しのメロディがほぼないんですよね。Aメロ、Bメロ、サビときて、次のはAメロなのか? みたいな。重なるメロディは最後のサビくらいしかないんじゃないかなっていうくらい、構成にもこだわっていて。間奏もガラッと変わる雰囲気が出てくるので、フルで聴く楽しみがあるんじゃないかなって思いますね。この曲ではアレンジャーの横山裕章さんとドラマーの森 瑞希さんが初めましてだったんですけど、それもあって新しいサウンドになっている気がします。

-はい、ドラムがめちゃくちゃグルーヴを担っていて。

長屋:そうなんです。すごく良かったんですよ。

穴見:森 瑞希さんはRADWIMPSのサポート・ドラムとかをやっている方なんですけど、初めての音合わせなのに、すごく気持ち良くて。

-このアルバムは「SINGALONG」で始まって、「sabotage」での駆け上がるような躍動感があって、そして「Mela!」と、弾けるような勢いやポップ性が詰まっています。また、ポップでスピード感のある曲としては、穴見さん作曲の「スカーレット」もそうですね。

穴見:もともとは"G線上のあなたと私"というドラマの主題歌を作るときに、それに向けていろいろとメロディとか歌詞も作っていたなかでの曲だったんです。結果的には「sabotage」が主題歌になったんですけど、みんなが"いい曲だよね"って言うので、改めて僕が歌詞を書いたんです。この曲はよりギターを出したかった曲で、楽器のかっこ良さが出るといいなっていうのはありましたね。

小林:この曲ではあまり自分でギター・フレーズは考えてないですね。真吾の作ったままにという感じで。

穴見:でも、ソロは結構壱誓風に変わったよね?

小林:このソロはアレンジャーの川口圭太さんですね。川口さんは"適当に弾いた"って言ってたんですけど、それがめちゃめちゃかっこ良かったので、それをさらに僕仕様にしたっていう感じでした。

穴見:壱誓のアイディアが入ってさらにかっこ良くなってます。

長屋:「スカーレット」に関しては、いろんな楽器に関して真吾がイメージをちゃんと持っていたんです。しかも、アレンジャーの川口さんとのマッチ度もすごく高かったんですよね。ふたりのレコーディングでの雰囲気もすごかったんですよ(笑)。もっと良くしようみたいなテンションがすごくて、ずっと"それいいですね!"みたいなことを言い合っていて。

穴見:川口さんとはずっと議論してましたね(笑)。一番燃えていた曲かもしれない。

-曲からも熱量が伝わります。そして、続くゾーン、「一歩」、「愛のかたち」、「幸せ」と続く、まるで3部作的な、幸福感が溢れるカタルシスが凄まじいです。まず、「一歩」はTomi Yoさんが編曲に携わっていますが、これはアンビエントで詩的な雰囲気の曲になりましたね。

長屋:最初はピアノと歌だけでなんのリズムもなく作っていて。作ったときはもうちょっと切ない、しっとりとした感じだったんです。ただ、それだと歌詞の感じにもそぐわないなというところでTomi Yoさんの力をお借りして。素敵なアレンジで、なおかつ今までありそうでなかった感じになりましたね。個人的にはこういうミドル・バラードを作るのは得意というか、作りやすいんですけど、それを普通にやってしまうともっとバラードバラードしちゃうんで、こういうアレンジになったのが嬉しかったです。

小林:この曲は緑黄色社会史上初なんですけど、ギターが1トラックなんです。1本だけで。それもすごく新鮮でしたね。

-全体の音としてもそんなに多くなく、空間的なサウンドです。

長屋:そうですね。いい緊張感がある曲かなって思います。

穴見:うん、緊張感があったね。そういう緊張感が好きなのかもしれない。僕は今回「一歩」が一押しなんです。それはやっぱりその緊張感ということなのかな。

長屋:私の趣味なのか傾向なのか、今までの曲もそうなりがちで。「幸せ」とか「視線」(2018年リリースのミニ・アルバム『溢れた水の行方』収録曲)という曲も似たような緊張感があるので、好きなんでしょうね。あまり音数が多くないもので、一個一個の音がちゃんと聞こえてくるような感じとかがすごく好きなんです。

-そのアンサンブルの感じで、恋に落ちた瞬間を捉えた曲ですしね。その感じがまたグッとくる。

長屋:そうですね。"あの場所"でグッときてほしいですね。

peppe:うん、聴いたときドキっとしました。"そうかー!"ってなった。