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INTERVIEW

Japanese

The Floor

2019年03月号掲載

The Floor

メンバー:ササキハヤト(Vo/Gt) 永田 涼司(Gt) ミヤシタヨウジ(Ba) コウタロウ(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

耳馴染みのいいポップ・ソングたちをじっくり聴いてみると、それぞれの楽器のフレージングは多彩で音色は豊か。行間がある歌詞も音楽として響き、聴き手の想像力をかき立てる。札幌在住の4人組、The Floorの新作『CLOVER』は、音楽家としての美学や矜持を示す第一手とも言うべき作品ではないだろうか。これまで持っていた音楽への知的好奇心はそのままに、彼らの意志が6つの楽曲へと姿を変えた。彼らは今何を思い音楽制作をしているのか。メンバー全員に訊く。

-前作『革命を鳴らせ』(2018年10月リリース)は挑戦の多いシングルだったとおっしゃっていましたが、今作はいかがでしょうか?

ササキ:よりいっそう自分たちの殻を破って、自分たちの好きなものに対して素直に、まっすぐに突き詰められた作品――と毎回言ってるけど(笑)、今回もそういう作品になりました。

永田:今回はバンド外の音も多く取り入れて。生音じゃないドラムだけで1曲組み上げたのは「Keep On Crying」が初の試みでした。それは『革命を鳴らせ』のc/w曲「FASHION」で、生ドラムをサンプリングしたノウハウがあったからですね。さらにサウンドのスケールアップを図って、より自分たちのやりたいイメージに近づけられました。

コウタロウ:『革命を鳴らせ』の3曲を作れたおかげで、より自由に制作ができた感覚はあるよね。自然とそういう発想になっていけました。

永田:いつもは俺がアレンジのイニシアチブを取ることが多いんですけど、コウちゃん(コウタロウ)の作曲した「Keep On Crying」や、ヨウジが作曲した「Through The Night」は、デモの時点ですごく良かったんですよね。だから自然と作曲者の意志を汲み取りながら"こういうのはどう?"と提案して、意見交換しながら一緒にアレンジを作っていくという流れになっていきました。今のThe Floorでこれをやったらいいものになると思ったし。

ササキ:"これいいね!"という曲がコウちゃんの曲であり、ヨウジの曲だったんだよね。

永田:そうそう。メンバーそれぞれが作曲したものを満遍なく入れようとかじゃなくて、いいと思ったものを入れていった。こういうアレンジの作り方は俺にとってすごく新鮮で、面白かったし刺激になりました。

ミヤシタ:聴いていると景色に入り込める6曲が揃ったかなと思います。高尚な言い方になっちゃうけど、美術館みたいな感じがする。『革命を鳴らせ』よりはメッセージ性が弱いかもしれないけど、これはこれで俺たちのやりたい表現方法のひとつなんですよね。

永田:そのぶん聴いてくれる人に歌詞の行間を読んでもらえればと。

-「Lullaby」は特にそれが顕著ですよね。

永田:この曲はハヤトに、歌詞だけでなくヴォーカルのディレクションでも"言葉がはっきり聴こえると言葉そのものの印象がメロディに勝っちゃうから、もうちょっと言葉をぼかしてほしい"とか、結構いろいろ言ったところもあって。"何よりも言葉が強く届く"というのは時にいいことではあるんですけど、今作にはそういうイメージがまったくなかったんです。押しつけがましくない引いた表現、聴いてくれた人に想像できる隙間を与えられるものにしたかった。

-そうですね。歌詞を映えさせる作りというよりは、サウンドでイメージを描いて、聴き手の想像をかき立てていく曲が揃っていると思います。それはミニ・アルバムとしての作品性というよりは、The Floorのモードが反映されたということでしょうか?

永田:押しつけがましくない表現をやりたいモードなのかな。個人的には音楽で"頑張れ"と歌われたくなくて。卑屈だとか捻くれてるとか言われるんですけどね(笑)。もちろん聴いてくれた人が僕らの曲を聴いて頑張る気力を手に入れてくれたり、テンションが上がってくれたら、すごく嬉しいんです。ただ"この曲でテンション上げろよ!"みたいに強要したくないというか。そういう気持ちが最近すごく強いんですよね。

-というと?

永田:もちろん俺らは自分たちの音楽がかっこいいと思って精一杯演奏するけれど、音楽は景色みたいなものだと思うんです。夜景を見てきれいだと思う人や、大したことないなと思う人、いろいろいて。俺も修学旅行で日本三景に行ったときに"あー帰りたい"とか思っちゃったし......(笑)。だからこそ"これはすごくきれいな景色だから、きれいな景色だと思わないのはだめだよ!"とは言いたくないんです。

-今作で特に音楽的であることを大事にしているのは、そういう背景があったからなんですね。

永田:"頑張れとか言われなくても自分で頑張るし!"って思っちゃって......(笑)。だからこういう、メッセージ性というよりは聴き手に委ねる表現になった。でもそれは尖った表現だとも思うんですよ。

-そうですね。わかりやすいものが多い時代にそういうところに挑戦するのは意味があることですし、重要だと思います。ですが"言葉をぼかしてくれ"とディレクションされたササキさんは、どういう心持ちだったのかなというのは気になるところです。

ササキ:僕はもともとひとつひとつの言葉をパキッと歌って聴かせるタイプなので、歌い方や歌詞の書き方に関しても永田とめちゃくちゃバトったんですよ。"言葉が強い瞬間がある"とか"前に出すぎている"とか、そんなこと言われても......。"景色が見えすぎる"って言われても、"景色がはっきり見えるならすごくいいことじゃん!"とも思った。歌い方も語感から注文を受けたし、空気を多く含んだ歌い方をするようにも言われて、やっぱりバトりました(笑)。でも新しい感覚でもあったので、今はああいうことに挑戦できて良かったなと思いますね。制作やレコーディングの当時はどうしてやろうかと思ったけど(笑)。

-ははは(笑)。とてもいいエピソード。

ササキ:それが顕著なのが「Lullaby」や「Keep On Crying」だと思います。僕としても新しい境地だしすごく勉強になったしいい経験でした。

永田:そういう意味でも"殻を破った"ではあるよね。