Japanese
The Floor
2016年12月号掲載
Member:ササキハヤト(Vo/Gt) ナガタリョウジ(Gt/Cho) ミヤシタヨウジ(Ba/Cho) コウタロウ(Dr/Cho)
Interviewer:沖 さやこ
2016年2月に全国デビューを果たした札幌出身の4ピース・バンド、The Floor。様々なサーキット・イベントに出演するだけでなく、"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016"の出演権を得るなど、活動範囲を着実に広げている彼らが、1stミニ・アルバム『ライトアップ』から約7ヶ月というインターバルで4曲入りの1st EP『Re Kids』をリリースする。"どんどん音楽が楽しくなる"という彼らの言葉のとおり、すべての楽曲で音楽に対するピュアな気持ちが炸裂。ここまで4人が音楽に純粋でいられる理由とは?
-2016年5月の『ライトアップ』リリース以降、バンドの調子はいかがですか?
ナガタ:6日連続でライヴをして、そのあと1日空いて広島から仙台まで移動してライヴをする......みたいな初めての経験もあって。バンドとしての体力も自然とついたのかな、という気がします。
ミヤシタ:"これが乗り越えられたのなら、ほとんどのことは大丈夫じゃないかな"という余裕はできましたね。体力的にはハードだったけど、精神的には全然そんなことはなく。楽しく全国を回れました。反省点を次の日のライヴで改善させたりできたので、バンドの成長にも繋がったと思います。
コウタロウ:"RISING SUN ROCK FESTIVAL"に出演することができたり、長い尺のライヴがぽつぽつ増えてきたり。初めての経験をたくさんしました。"ステップアップできているのかな?"というのが、形として見えてきているのでやっていて楽しいです。
ササキ:バンドとしてすごく成長できました。弱音も吐かなくなったし、人間力も上がったかな(笑)? 自分のなかの"つらい"に引っ掛かるラインがどんどん高くなってきたというか。楽しくやれてます。
-そして『ライトアップ』から約7ヶ月。4曲入りの1st EP『Re Kids』が完成しました。制作はいつごろに?
ナガタ:『ライトアップ』リリース以降はライヴや移動で北海道にいないことが多かったので、曲そのものは泊まったホテルでデモを作ったりしてネタをずっと溜めていて。曲出しが8月末から始まって、9月くらいに、ライヴのなかった1、2週間で超集中してどばどばどば~っとプリプロやレコーディングをしました。制作期間が長いと"あれをやってみよう"、"これをやってみよう"というアイディアがいろいろ生まれるんですけど、今回は短期集中で作ったぶん、僕らの一番素の部分が出たんじゃないかと思います。
-『Re Kids』の4曲は、武器も持たずに体当たりしていくようなサウンドスケープだと思いました。エモやパワー・ポップの要素が大きく出たことによってさらにパワフルな音像になり、より"聴き手に届ける"というアティテュードが明確になっている印象もあります。
ナガタ:今年は日本で04 Limited Sazabysがガッときていて、海外でもGREEN DAYやパワー・ポップ勢が軒並み新譜をよく出していて――それもあって、僕がメロコアとかポップ・パンクをよく聴いていて。メロディや曲の展開にはそういう音楽の影響が出ているかも。4曲とも尺が短いですしね。今回も前回と同じスタジオで、同じ機材を使って自分たちで録音して、自分でミックスしました。海外のバンドのリヴァーブ感や空間を意識しながら録ったので、音数が前作より少なくなったと思います。だからドラムが占める割合は大きくなったかもしれない。
-ドラムの定位で作る立体感もインパクトがありました。では1曲ずつうかがっていきたいと思います。Track.1「Wannabe」はThe Floorの作ってきた楽曲の要素がほとんど入っていると感じました。
ナガタ:この曲はツアー中にできたもので。曲作りのためにホテルで6時間くらいアコギを触ってたんですけど、全然できなかったんです。でも、サビの"Wannabe Wannabe"の部分のメロディが出てきたときに、ずっと隣で寝てたハヤトがムクッと起きて、"それいいね"と言ってくれて。じゃあこのメロディをモチーフにして曲を書いてみよう、というのがきっかけですね。そのあとすぐにAメロとサビができて、デモにして残して、札幌に帰ってきてから仕上げました。リズムはめっちゃ悩んで、"ドッチー、ドッチー"というリズムか、8ビートにするかでふたつに割れて論争しました(笑)。
コウタロウ:俺とヨウジが"ドッチー、ドッチー"じゃ嫌だ! と言って(笑)。
ミヤシタ:"ドッチー、ドッチー"は超えちゃいけないラインな気がしたから嫌で(笑)。でも16分(のリズム)にしたらアリだったんです。
ナガタ:16にしたら全員が落ち着いて。The Floorの曲ができあがるポイントはそこですね。全員が"お、いいじゃん"と思わないとだめ。
ササキ:全部の曲で、妥協せずに4人が納得できる、いいと思えるポイントを探すってことですね。
コウタロウ:メンバーがひとりでも楽しめなかったり納得しなかったりしたら、その選択肢はナシなんだなと思います。みんなが納得して楽しんでなんぼかなと思うし。
ナガタ:だから、レコーディングが終わったあとに文句をグチグチ言うことがないんですよね。健康的です。
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前作『nest』で"巣"を作ったThe Floorが1年半の時を経て、"CLOCK TOWN"と題した架空の"街"を作り上げた。秒針の音をモチーフとし、時は戻らないことを改めて音楽で表現したインスト曲「We can't put the clock back」や、暗いトンネルの先には希望が待っていることをエモーショナルに歌った「Faraway」、ゆっくりでも前に進んでいく決意を表す「slow motion」など、ここ1年での考えや想いを反映させた1枚だ。地元 札幌にある北24条駅を想起して作られた「24」は、時が経って環境が変わっても、故郷に帰ってくればいつでもあの頃に戻れると歌っており、延期になったツアーを札幌だけで完結させた彼らならではの1曲に仕上がっている。(伊藤 美咲)
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今夏に新体制で動き出したのをきっかけに、メンバー全員が作詞作曲をした挑戦の1作。リード・ギタリストが不在という状況を逆手に取り、「Candy」や「雨夜の月」といったサポート・ギタリストのカラーも生きた楽曲や、シンセのアンビエント感が心地いい「砂の山」、エレクトロとロックを掛け合わせた「I Don't Know」など、振れ幅のあるサウンド・アプローチに成功している。ササキハヤト(Vo/Gt)の楽曲は伸びやかなメロディが心地いいポップ・ナンバー、ミヤシタヨウジ(Ba)の楽曲は硬派で強固なバンド感と雄大なメロディ、コウタロウ(Dr)の楽曲は壮大なサウンドスケープを持つなど、それぞれの人間性や特色が表れた作風も趣深い。バンドが飛躍する準備を整えた新たな原点と言うべき作品。(沖 さやこ)
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言葉のメッセージ性ではなく、音色の調和が作り出すイメージにピントを合わせたサウンド・アプローチが特徴的な6曲入りミニ・アルバム。楽曲そのものが持つ旨味を引き出した楽曲が多いのは、これまで以上にバンドというセオリーにとらわれない音作りが行われているからだろう。「Keep On Crying」では打ち込みのドラムやゴスペル的な多重コーラスなどを用い、海の中を漂う透明感を表現することに成功。「Through The Night」はリズミカルな譜割りとギターのカッティングの交錯やリフレインが、軽やかなサウンド・スケープを作り出している。海外の音楽にも精通している彼らの性質やポリシーと、J-POP的ポップ・センスが等身大で花開いた楽曲が揃い踏み。バンドの強い意志を感じる。 (沖 さやこ)
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メジャー・デビューから8ヶ月を迎えた札幌出身の4人組によるメジャー1stシングル。表題曲はチームでミーティングを重ね、これまで彼らが培ってきた"らしさ"から殻を破る、まさに革命を鳴らす曲になった。雄大なメロディと華やかなサウンドは、新境地に飛び立つ彼らの姿とも重なる。聴き手を焚きつけるのではなく寄り添う姿勢が表れた、包容力の高い楽曲だ。c/wの「マジック」はライヴでも存在感を発揮するであろう、彼らの持ち味を生かしたポップで躍動感のあるバンド・サウンド。「FASHION」はシンセを大胆に取り入れ、リズム・セクションもシンセ・ベースや演奏したドラムをサンプリングで汲み上げるなど、4人の音楽への知的好奇心が溢れている。さりげない皮肉が効いた歌詞もいいスパイス。(沖 さやこ)
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TOWER RECORDS限定リリースの『リップサービス』からちょうど2年、札幌在住の4人組がバンド史上初のフル・アルバムでメジャー・デビュー。メンバー全員が国内外&ジャンル問わず自分たちのアンテナに引っ掛かった音楽をリスペクトする、キッズよろしく非常にピュアなミュージック・ラヴァーっぷりは、今作でも炸裂している。感銘を受けた音楽を自分たちなりに表現することだけでなく、自分たちのイメージや精神性をより鮮明に音楽や言葉に落とし込むことができるようになったのは、インディーズ時代の音源制作の積み重ねがあったからこそだろう。ロック且つポップで、どこかいつもセンチメンタルな彼らの音楽は温かい。寒さや暗闇を知っている人間だからこそ表現できる光や熱が、美しく煌めいている。(沖 さやこ)
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前作のインタビューでササキハヤト(Vo/Gt)が"飛躍の2017年になれば"と語っていたとおり、『ウェザー』はそれを大いに感じさせる作品だ。ロックに目覚める前の音楽の原体験である童謡やゲーム音楽の要素も取り込んだことによりアレンジの妙も広がっただけでなく、作詞を担当するササキとコウタロウ(Dr)の表現方法もそれぞれが新境地に挑戦。何より、メンバー全員が楽曲のイメージを以前よりも明確にプレイやフレージング、歌詞、ヴォーカルに落とし込むことができているのは大きな成長だ。ドラマチックな展開が冒険感のある歌詞とリンクしたTrack.1で幕を開け、幸福感から悶々とした風景、ヘイトまで色とりどりの景色を見せる。ミュージック・フリークたちの愛に満ちた音楽はどこまでも煌びやかで頼もしい。(沖 さやこ)
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全国デビュー以来、"RISING SUN ROCK FESTIVAL"や多数のサーキット・イベントに出演するなど、活動の幅を広げている札幌発の4人組の4曲入りEP。その充実ぶりからさらに音楽が好きになったという彼らの気持ちが反映された楽曲が揃い、タイトルのとおり愛する音楽への純粋な気持ちやリスペクトを感じさせる。Track.1や2のようなダンサブルなビートとインパクトのあるリフが作る楽曲にも、エモやパワー・ポップの要素を取り入れており、以前よりも音像が分厚い。特にTrack.4はパワー・ポップやグランジ的アプローチに傾倒した楽曲。耳をつんざく爆音と包容力のある伸びやかなヴォーカルがきらきらと眩しい。ポップ・センスが光る軽やかなウィンター・ソングのTrack.3も新境地。(沖 さやこ)
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今年2月にリリースしたTOWER RECORDS限定1stシングル『リップサービス』がオリコン・インディーズ・チャートにランクインするなど、着実に広がりを見せている札幌在住4ピースの1stミニ・アルバム。シングル2曲のように印象的なリフと音の空間をうまく使った音楽偏差値高めなアンサンブルの楽曲に加え、今作にはギターをかき鳴らして突っ走るようなシンプルなアプローチのナンバーも。どの曲にも共通して通っているのは心の底から音楽を愛する想いと、音を鳴らせることへの充実感や喜びだ。The Floorの音楽が聴き手を高揚させるのは、彼らが国境を問わず様々な時代の音楽を純粋に楽しんでいるからに他ならない。シンセ・ベースを取り入れるなどの新たな挑戦もフレッシュで、全曲が青春の煌めきを放つ。(沖 さやこ)
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インタビューを読んでいただければわかると思うが、この札幌在住4ピース・バンドThe Floor、いい塩梅に生意気で皮肉屋で、音楽に対して非常にピュアなバンドだ。日本のロックはもちろん、UKやUSのインディー・ロック/ポップのテイストを取り入れた、日本在住の音楽オタクでないと成し得ない音像は非常にフレッシュで、戯れるように鳴らされる音とムードのある歌声も眩しい。2曲入りワンコイン・シングル、Track.1はアップ・テンポで踊れるビートにリフレインがキャッチーでシニカルな歌詞が痛快。Track.2はゆるやかなテンポに太いダンス・ビートが心地いい。THE 1975やWALK THE MOONなどに通ずるポップ・センスも持っており、これからの活躍と飛躍が大いに期待できる。(沖 さやこ)
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