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INTERVIEW

Japanese

The Floor

2018年02月号掲載

The Floor

Member:ササキハヤト(Vo/Gt) 永田 涼司(Gt) ミヤシタヨウジ(Ba) コウタロウ(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

2016年頭にTOWER RECORDS限定シングル『リップサービス』をリリース、2017年7月には下北沢SHELTERワンマン・ライヴをソールド・アウト。その時々の自分たちの感性に従って音楽制作を続けてきた札幌出身の4人組 The Floorが、とうとうビクターエンタテインメントからメジャー・デビューする。バンド史上初のフル・アルバム『ターミナル』は、彼らの音楽に対するピュアな気持ちと成長が存分に詰まった、とてもフレッシュな作品だ。新しい環境に身を置く彼らは、いま何を思う?

-TOWER RECORDS限定シングル『リップサービス』(2016年リリース)から約2年でのメジャー・デビュー。フィールドを移すことに関しての想いを聞かせていただけますか?

ササキ:内向的だった僕らがどんどん開けていって"みんなともっといろんなものを共有したい"という意志が生まれていたところに、メジャー・デビューの話を貰って。そのタイミングがマッチしたと思っています。いままでの信念を貫いたうえで、出会ったことがない人たちとも出会いたいです。

永田:外に向かう気持ちが一番強いときだったので、メジャーのフィールドにも自信を持って踏み出せるというか。メジャーにフィールドが移ったからと言ってスタッフさんからプレッシャーを掛けられることはないんですけど、スタッフさんが増えたりすることでプレッシャーを感じて、自分自身に課すハードルは高くなってきています。

ミヤシタ:メンバーは僕ら4人だし、この4人のものなんだけど、関わる人が増えるぶん僕らのものだけではなくなっていく――そういう意味でもライヴや作品に対しての責任感が強くなってきていて。

コウタロウ:よりたくさんの人たちに届けたいなという気持ちはあったので、このタイミングでメジャー・デビューができるのは嬉しいです。でも何かがガラッと変わったかというとそういうわけでもなくて......結局はこの4人でバンドをやっていくことがすべてなんだなと最近すごく感じていますね。いいライヴをしていい音楽を作っていくという、いままでやってきたことをやっていく。やることは変わらない。そういう意味でもメジャーという環境はスッと受け入れられています。

『ターミナル』は、まさしく名刺代わりの1枚になっていて、これまでのThe Floorに+αがある、バリエーション豊かでカラフルな作品でした。メジャー・デビュー盤ですべて新曲を揃えるというのも、インディーズ時代の再録曲を入れるのが定番化している現代には珍しい。

永田:気合を入れましたね(笑)。もちろん過去の作品もいいものを作ってきてはいるんですけど、いま自分たちが聴きたいものを、いまの作品にいま詰めるというのが、もともと僕らがずっとやってきたことであり、やりたいことなので、全部新曲にしました。僕個人としては一聴しただけでメロディが入ってくるような即時性を高めたいなと思っていて、バンドとしては4人の中に沸々としていた青春感、泣いて踊れる音楽を突き詰められたら......と思った結果がこのアルバムになっている気がします。

ササキ:僕らが影響を受けたインディーのポップやロックは、楽しいんだけど切なくて心にくる、でも自然と身体が動いて......というものだから、僕らも自分たちなりにそういう音楽を目指して模索してきて。それを続けていくことで、"この音楽も楽しくて泣けるんだ!"とどんどんいろんな音楽性に感じるようになったんですよね。だから『ターミナル』にいろんなタイプの曲が揃ったのは必然だったのかなって。カラフルなものにしよう! みたいな考えは特になかったんですよ。

永田:最初は勝手に自分たちで気負っていて。"泣き踊り"という言葉にとらわれて"こういうコードが泣けるんじゃない?"みたいに頭でっかちな作り方をしていたんですよ。

-先ほど話してくださったプレッシャーと近いものがあったのでしょうか。

ササキ:多くの人の目に触れるから自分たちのいいところをちゃんと出さないと......とか、勝手に自分の首を絞めていた部分はありました。インプットしたものをうまくアウトプットできなくて、"なんかグッとこないな"と思う状態が2017年の8月から9月にかけて、1ヶ月ちょっと続いて。

コウタロウ:ちょうど"HAMMER EGG"(※2017年8月25日に渋谷eggmanで開催されたSkream!×TOWER RECORDS×Eggs主催イベント"HAMMER EGG vol.7")に出た時期ですね(笑)。

永田:どんどん悩んじゃってどうしようもなくなったときに、肩の荷を下ろす意味合いで"取りあえず4人でデカい音鳴らして楽しもうぜ"ってスタジオに入って。そのときに泣き踊りから生まれる感情みたいなものが素直にふわっと出てきたんです。

ミヤシタ:そのときに9曲目の「寄り道」の原型ができたんですよね。これは僕らのバンド活動の原点であり、根本でしかなくて。ぶれることがない部分だなと。ここで根拠のない自信も生まれてきたんですよね。それはバンド・マジックだと思います。

ササキ:4人が音楽で対話できた感覚があって、"楽しいものが音楽だ"と再認識しました。そこから納得がいくものを作れるようになっていって、つらいと思いながら作ることがなくなって。"もっと良くできる"という前向きな思考に変わっていったんです。......まぁ、僕らは毎作品そうなんですけどね。