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INTERVIEW

Japanese

あいみょん

あいみょん

インタビュアー:石角 友香 Photo by 上溝恭香

恋することも、世の中に対して抗うことも、新しいことに挑戦することも、すべては命を100パーセント燃やすこと――2018年に"あいみょん現象"と呼ばれるほど彼女が注目されたのは、人間の魂にまっすぐな目線と声で揺さぶりを掛けたからだろう。シングル曲「満月の夜なら」、"第69回NHK紅白歌合戦"でも披露した「マリーゴールド」、そして時代のリアルな空気を活写する野木亜紀子脚本のドラマ"獣になれない私たち"主題歌「今夜このまま」、さらにはアニメ映画"あした世界が終わるとしても"主題歌を含む、2019年のポップ・シーンを象徴するようなアルバム、それが新作『瞬間的シックスセンス』だ。渦中にいる彼女は想像以上に冷静だった。

-"紅白(第69回NHK紅白歌合戦)"出演以降、サブスクの上位をあいみょんさんの曲が占めている状況ですね(※取材日は1月中旬)。

ありがたいです、ほんとに。("紅白"は)初登場なので"どこまで観てくれる人がいるんかな?"と思ってたんですけど、しっかりストリーミングなどで聴いてもらえてるんで、すごい良かったなと。

-実際、ああいった国民的な番組に出たあとってどうですか?

終わって1ヶ月も経たないなかなので、生活が変わったとかでもないですし、まだわからないですね。

-ご自身で録画観ました?

実家で妹と観ました。うち録画機能がなくて今まで自分が出た番組もあんまり観てないんですけど、"紅白"は実家で録ってたので。面白かったです。

-私はリアルタイムで観たんですが、あいみょんさん、すごくキリッとした顔をしていて。

いやいや。歌ってるときはそんなに緊張してないんですけど、司会の3人の方と話すときが緊張しました。"すごく堂々としてたね"って言われたけど、結構いろいろ不安で。やっぱり普段歌ってる尺とも違うので、間違えられへんしとか(笑)、純粋にそういうのが気になりました。

-ではアルバム『瞬間的シックスセンス』のお話を。前作『青春のエキサイトメント』(2017年リリースの1stアルバム)以降のシングルはラヴ・ソングが多くて。リアルなラヴ・ソングが世の中に不足してることをあいみょんさんのヒットが裏づけてるんではないかと思うぐらい、この間に注目度も増しましたね。

いやー、そうなんですかね?

-今回のアルバムまでにシングルのリリース、いろんなイベントやフェスへの出演もあったと思うんですけど、このアルバムをそろそろまとめようと思ったときに、あいみょんさんの中にあったヴィジョンはどういうものでしたか?

ヴィジョンは正直言うとそこまでなくて。アルバムを作り始めたのが去年の8月とかだったんですけど、"じゃあこのアルバムを出したら、次どこでライヴして、どういう展開に繋げていって"っていうヴィジョンは私にはまったくなかったんです。私は楽曲を作ることがすごく大好きで、曲作りをすることが重要で。私のいろいろなヴィジョンを後ろで支えてくれてるのがスタッフさんやから、スタッフさんに全部任せてるわけじゃないですけど、作ってくれてる土台に私が乗っかるみたいな感じなんですよ。その日その日で感覚とか結構変わっちゃいますね。

-あいみょんさん自身は曲作りに集中していたと?

うん。私が作らんと始まらへんし、いかにアルバムを出すかっていうのを決めるときに、前作を超える作品を作りたい。作品作りは全身全霊でって感じなので。

-あいみょんさんは常に"前作を超える"って言うけれど、"超える"っていうのは具体的には何を指すんでしょう?

全然わからないんですけど感覚です。曲を作ったときに、"あぁ、これはもういけた"ってなるときがあるんですよ。「マリーゴールド」のときがそうやったんですけど、スタッフさんにすぐに"めちゃくちゃいい曲ができました"と連絡して。自分でそうやって言っちゃうぐらいの曲ができた感覚だったんです。"もうこれは絶対聴かれる"って自分が納得するようなものを毎回毎回作っていきたいとすごく思います。

-自分の中の達成感、すごいと思える気持ちを更新できたら"超えた"と思うと?

でもすぐまたそれが壁になるので、それの繰り返しです。

-なるほどね。「満月の夜なら」、「マリーゴールド」、そして「今夜このまま」と、いろんな角度のラヴ・ソングが続いたので、今回のテーマは"恋"なんじゃないか? と思ったんですよ。

アルバムを作るにあたって大きいテーマって設けてないので、その時々で自分が一番いいと思えるものを集めたら、結果こうなったって感覚ではありますね。でもすごく濃くてバラエティに富んだ1枚になったなと思います。

-社会的なことより、人間の感覚とか官能とか感触みたいなことによりフォーカスしている印象はありました。

うんうん。そうかもしれない。結構恋愛の曲が多くなりましたし、『青春のエキサイトメント』よりは若干大人の視点と言いますか、そういう曲の方が強い1枚かなと思います。

-それは常にあいみょんさんがそのときにしか書けないことを書くから?

そうですね。今23歳なんですけど、24歳になるギリギリまで23歳のときにしか書けない曲を作らないとと思うので。さすがに戻れないし(笑)。だからできれば毎日ギターを触って、毎日曲を作りたいというのはすごく思います。

-10代のころから、その年齢の1年を意識して生きてますか? 17歳なら17歳の1年を。

18歳ぐらいからすごく意識し始めました。年齢のこととか1年の速さとか、歳をとることについてとか命のこともそうですけど。時間が過ぎるのが"速いな"と思って。

-もう速かったんですか?

個人的には東京に上京してきた二十歳ぐらいからめっちゃ速かったです。今ももう2019年の1月が10日以上過ぎてるのも怖いですし。"速!"みたいな。3回くらいしか寝た記憶ないんですけど。うち、甥っ子、姪っ子が多くて。ちっちゃい子って毎日毎日何か成長するから、大人より変化が目に見えてわかるじゃないですか。それを見てると余計に"速いな"と思うのかもしれないですね。

-生々しく命が変化していくのを感じる機会が多いんですね。

昔っから多いです。そもそも誕生日の意味とかずっと考えてます。10代のころは、誕生日は祝うものじゃないってずっと思ってたんです。ちっちゃいころから祝われてるのはわかってるし、すごい嬉しかったんですけど、18歳ぐらいのころに、ひいばあちゃんが亡くなったんですよ。そのときに、生まれてきた瞬間は"生まれてきてくれてありがとう"、"お誕生日おめでとう"ってのはすごいわかるんですけど、生まれたあとは命が減っていくのに、"おめでとう"はちょっと矛盾してるってずっと思ってて。

-ベクトルは死に向かってるから?

そうそう。だから"あれ?"とずっと思ってた時期があって。それでその1年でどれだけ歳をとるのかとか、そういうのをすごい考えてる時期がありました。

-今はどうですか?

今はもう誕生日最高ですね(笑)。

-祝うべきものだと?

祝うべきものというか、甥っ子姪っ子が産まれたことで変わりましたね。ほんまにあの子たちが今おるから生きてるに近いぐらいの感じなので。だからちっさい子に対してようやく、"1歳、2歳、3歳......次、小学校か、すごいな。おめでとう"って純粋に言える感じがあるというか。最近は誕生日の意味をちゃんと理解してます(笑)。

-初詣とかも何をお願いするというより、"1年ありがとうございました"って報告に行く感じに変わってきてますしね。

神様も大変ですよね、一気に知らへん人から願い頼まれて。昨日ようやく初詣に行ってきました。

-あいみょんさんは願い事をする方ですか?

でも無病息災だけです。家内安全。

-素晴らしい。23歳でそれを思えるって達観から生まれる感謝という感じもする。あいみょんさんの命とか年齢とか時間に対する考え方が、今回、より"恋"というテーマにフォーカスしてることに間接的に繋がってるのかも。

うーん、どうなんですかね?

-毎日でも曲を書きたいぐらいなわけでしょ?

書きたいですね。毎日同じ光景を見ることは絶対ないと思うので、今は昨日とは違うものを見てるだろうし、考え方も変わってるはずだから、それをいかに書き留めるかなんですけど。なかなかできないときはできないですし、もったいないことしてるな、取りこぼしてるなと思うときがあります。