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INTERVIEW

Japanese

Drop's

2018年12月号掲載

Drop's

Member:中野 ミホ(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-その「Cinderella」はDrop'sにとって、かなり新境地と言える曲になりましたね。

高校の部活としてバンドを始めたとき、最初はSuperflyのコピーをしていたので、多保さんと言えばSuperflyの人だっていう。もちろん、最近のお仕事も知っていたんですけど、ロックンロールの人というイメージがあったんです。でも、最初に打ち合わせしたときに、"若い人たちに聴いてほしい。でも、60~70年代のロックという自分たちのルーツは大事にしたい"ということを伝えたら、"それなら思いきって新しいことをやってみよう"って。それで、それまでは洋服屋さんで流れているという印象だった曲を真面目に聴いて、最近は、こういうリズムの曲が多いということを教えてもらいながら、多保さんが作ってきたリズムとコード進行をもとに多保さんとふたりでメロディをつけて、それをバンドで演奏しながらアレンジしていきました。ライヴでやりたいというのがすごくあったので、4人の演奏で完結できるものにしたうえで、音源にするにあたって少し上モノの電子音を加えたんですけど、結果、自分たちでもいいと胸を張って言えるものになったと思います。

-なるほど。今回の新境地は、若いリスナーにアピールしたいというバンドの思いが実ったものだったわけですね。これまでひとりで曲を作っていた中野さんは、今回初めて人が作ったコードにメロディと歌詞をつけたわけですが、いかがでしたか?

難しかったですね。メロディも多保さんと一緒に作ったんですけど、自分のクセや好きな感じで乗せていくだけでは洗練しきらないというか。もちろん、それもいいと思うんですけど、「Cinderella」に関しては、言葉の乗せ方だったり、細かい譜割りだったりとか、音が高いところに行ったり、低いところに行ったりとか、そういうことをひとつずつ精査していかないと、ぱっと聴いたときに"ハッ"って入ってこないんだなっていうのはすごく勉強になりました。

-覚悟と言ったら大袈裟ですけど、今回の作品では新しいDrop'sを見せたいという強い想いがあったからこそ、そこまでできたのかな、と。

前の作品(2016年リリースのアルバム『DONUT』)から時間も空いてしまったし、ミナ子さんも入って新しいラインナップになったし、そこで普通じゃダメだなっていう気持ちはありましたね。せっかくやるなら、多保さんの力も借りられるんだから新しいスタートを切らなきゃって。やっと準備が整って、ようやく動きだせるなら、もうやるしかない。そういう時期が来たと思いながら作ってました。

-「Cinderella」の聴きどころは?

今までの私たちを知っている人からしたら、結構"おっ"とか、"えっ"とかって音に耳が行きがちだと思うんですけど、言葉とメロディは強いものができたと自分は思っているので、何回も聴いてもらえれば、ちゃんと身体に入っていくかなと思います。

-歌詞はどんなところから?

ちょうど1年ぐらい前に書いたんですけど、東京に出てきて、家に帰ってもひとりじゃないですか(笑)。だから、帰りたくないなってときに街をひとりでぶらぶらするんです。そういうときのイメージなんですけど、例えば夜の渋谷で、これからのことを考えながら空を見上げている人ってあまりいないじゃないですか(笑)。

-いないですよね(笑)。

人の流れが速くて、そんなふうに立ち止まれない感じに私はすごく"うわっ、立ち止まれないんだ"てなって。

-"歩いても 歩いても 立ち止まれない スピードに流されて"と歌っていますね。

北海道のことが恋しくなったりもするけど、だけど、やっぱ私はここでちゃんとやらなきゃいけない、自分の足で走っていかなきゃ。そういう気持ちですね。