Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

挫・人間

2018年11月号掲載

挫・人間

Member:下川 リヲ(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

『もょもと』(2017年リリースの3rdアルバム)のインタビュー(※2017年10月号掲載)でおっしゃっていた"挫折してる人間がストレートを投げるからこそ響くものがある"という発言の進化版ですね。

「笑いあうために」は書くために血反吐が出るような精神状態にもなりましたし、"笑いあうために"なんて曲名の曲を自分が書くなんて思いもしなかった。だから"挫・人間がこんな曲を書くなんて気持ち悪い"と思われても仕方がないんですけど、自分たちがそういう曲を書くことにすごく意味があるなと思ったので、書きました。

-......男前!!

ですよね(笑)! いや~まいったまいった(笑)!

-人間誰しもわけありですが、挫・人間の音楽を好きな人はそのわけが深い人も多いでしょうし。導きたい気持ちがそうさせたのかもしれないですね。

嬉しいことに(ファンの方から)お手紙をいただくことが多くて、全部読んでいるんです。そこにはちょっとした悩みとか、バイト先の誰が嫌だとか、試験が嫌だとか、家族とうまくいかないとかが書いてあって――ロックはそういう気持ちの受け口として存在していると思うんです。僕は同調圧力みたいなものに耐えられなくてバンドを始めたのに、バンドの中で同調圧力的に足を引っ張ったり引っ張られたりすることになって......でもそういうものはもういいんです。楽になれ! という坂口安吾的なバンドマン堕落論でもありますね(笑)。変なこだわりは捨てて幸福になるべきだ、というのは、人から言われないとなかなかできないことでもあるから。

-たしかに。自分の判断でそこに行くのは罪の意識が働いてしまったりして。

そうですよね。そういうことをストレートに歌うバンドは、僕らみたいなバンドではいなかったと思うので、勇気を出して歌ってみました。"挫・人間はグロテスクなバンドでいてほしい"という意見もあるかもしれないんですけど、僕にとって大事なことは真実を歌うことだけなので......そういうのはもういいんです(笑)!


嘘をつかないこと、自分にとっての真実を歌うことが一番大事


-現在のモードがそのまま楽曲に反映されて、作品でも変遷を描いているのが挫・人間の良さのひとつですから。

もしかしたらこの先めちゃくちゃつらい思いをして、グロテスクなことを歌い始める可能性もあります(笑)。すべてに向き合っていかないと、人間生きていけないですもんね。音楽は明るい曲も暗い曲も、誰かの救いになるものだとは思うんです。もし挫・人間に救いを求めてくれる人がいるならば、自分は嘘をつかないこと、自分にとっての真実を歌うことが一番大事だと考えています。「品がねえ 萎え」(2018年5月リリースの1stシングル表題曲)のような曲も「笑いあうために」のような曲も持っていることが、すごくいいことだと思っていますね。

-そうですね。メンバーが音楽を楽しんでいることが、すごく伝わってくるアルバムでした。

あぁ、良かった。昔はバンドを楽しいと思ってはいけない、楽しんでいる場合ではない、怒りを露わにしなければ......! と思っていたんですけど、今は"バンドって楽しいんだな"と思ってます(笑)。今でもよく"昔はほんと怖かったよね!"と言われますし(笑)、最近は"顔が優しくなったね"と言われることも多くて......。全然変わってないよ~って思うんですけどね。

-いや、顔つきはだいぶ変わったと思いますよ?

あ、そうですか? 人間性は外見にも影響してくるのかな。

-私が挫・人間を知ったのは9年前ですが、そのときの下川さんは"全員敵だ"みたいな目をしていたし。

たしかに昔はすべてが敵だと思ってましたね。今も敵だらけだと思っているけれど、その敵だらけの現状に納得している部分があります。今は敵だから攻撃を仕掛けようとはギリギリ思っていないですし(笑)。奇跡的なメンバーで集まっているなと思うので、それもすごく嬉しいです。

-熊本生まれの下川さんと、北海道生まれのアベさんと、愛知生まれの夏目さんが、東京で出会ってバンドをやっているって、とても奇跡的だし素敵なことですよね。

めちゃくちゃですよね(笑)! ふたりとも僕が1喋るだけで10わかってくれる人たちで、そういう人たちと出会えたこととか、そういう人たちと爆笑して音楽できて、レコーディング中もずっとみんなで笑ってて......ということとか、そういうのがすごく嬉しいんですよ。