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INTERVIEW

Japanese

挫・人間

2018年05月号掲載

挫・人間

Member:下川 リヲ(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-『もょもと』に続きロック・バンドじゃないですか。

ね、正統派ですね! 言っていることだけは(笑)! 「品がねえ 萎え」で歌っていることはほとんどの人にとってはどうでもいい怒りだと思うんですけど、僕が享受として歌っておきたいなと思って。30分というプレッシャーのなかで書き上げたものが、結果として今の自分が一番訴えたいことになった、という感じです。

-こういうことが歌えたのは『もょもと』で下川さんなりのストレートを投げられたからかもしれませんね。

あぁ、それはあるかもしれませんね。

-「品がねえ 萎え」はサウンド面でも新しいアプローチだと思いました。

「品がねえ 萎え」と「ダンス・スタンス・レボリューション」はなんらかのダンス要素を入れられればと決めたうえで、ダンス・ミュージック的なものを研究してアレンジをして。......ダンス・ミュージックは楽しいということに気づいたんですよね。挫・人間は僕らがもう踊っているので(笑)。

-ライヴで楽器を置いてオケを流して踊る曲もありますしね(笑)。

昔はお客さんがずっと棒立ちになるようなライヴをしていたんですけど、今回はそれとは真逆で、お客さんにどう動いてほしいかを考えて作ったりもしました。手を挙げるのとかも、みんなでやると楽しいですよね。挫・人間にとってはお客さんが手を挙げることすらすごくハードルの高いことなので(笑)、それが成功したときのカタルシスはとんでもないんですよ。挫・人間の楽曲を通じてひとつのものを共有する瞬間はすごく感動的で、そういう景色が見たいなと思ったんです。それでダンス・ミュージックがいいんじゃないかなと。「品がねえ 萎え」はだいたいベースのアベ(マコト)君が頑張って打ち込みをしてくれました。

-アベさんはベースも上手いし、打ち込みもできるし、多才ですね。

あのルックスでなんでもできるのも不気味ですよね(笑)。なんであんなにできるのか僕でもよくわからなくて......得体が知れない。怖いので深く触れないようにしています(笑)。弾き語りに雑な打ち込みを入れたデモと一緒に"もっとベースがブリブリした感じで、キックがガツンとくる感じで"というひどいワードで注文を出して、それをアベ君なりに解釈してくれた結果こういう曲になりました。

-1stフル・アルバムの『苺苺苺苺苺』のときから踊れる曲はありますし。

そうですね。それに加えて僕らが踊ったりすれば、お客さんが結構ついてきてくれることが最近わかって。ここまで来たら俺らも負けたくないなと思いまして、お客さんを試すような曲を今回作っちゃいました。それが「ダンス・スタンス・レボリューション」で......もうこれは暴言ですよね(笑)。できあがって聴き返したらただの暴言じゃないかって......。

-(笑)それをメタルで歌うと。

メタルも挫・人間の大事な要素なので。これは基本的にギターの夏目(創太)がせっせか曲を作ってくれて、彼のデモの段階でほぼほぼ完成していたんです。あいつが作った曲で作詞をすると暴言が増えますね(笑)。

-夏目さんもいつもTwitterで怒っているから(笑)。

そうなんですよね、僕ら3人ともTwitter向いてないんですよ(笑)! ずっと前からインターネットにいて、誰よりもインターネットに詳しいはずなのに、そういう奴が一番向いてないという現代が来てしまった――この時代の流れの中で、それだけが悲しいですね......。今は"5ちゃんねる"なのに、今でも"2ちゃん"って言っちゃうし(笑)。

-(笑)詞で使われているワードも、ちょっと懐かしいネット用語が多いですし。

無意識で使っているものばっかりですね(笑)。「ダンス・スタンス・レボリューション」の歌詞は"聴いた人がライヴに行くの怖いと思っちゃうかなぁ"と思ったりもしたんですけど、やるなら今だ! とも思って(笑)、"ウォール・オブ・デスをやりたい"という夏目の意見も曲中に取り入れました。挫・人間のライヴに来る人たちは基本的に運動不足なので、その人たちにとって唯一身体を動かせる場所になればなと。やったことないことはなんでもトライしていただきたい、老人会みたいな気持ちでおります(笑)。実際この曲で歌っていることがライヴで起こったらすごく面白いと思うんですよね。対バンのお客さんはドン引きするか引き込まれるかのどっちかだと思うんですけど、白か黒かはっきりした方が面白いから(笑)。

-万人受けしたい人の台詞じゃないですけど(笑)。

挫・人間のことがダメな人はとことんダメということはわかっているので、人類をどんどんふるいに掛けていきます(笑)! 「ダンス・スタンス・レボリューション」は曲を聴くという体験を超えているので、初めてライヴでこの曲を聴いた人は相当戸惑うと思うんですけど、現代なんてそれくらいでちょうどいいんです。挫・人間は民主主義。僕らはみなさんのことは愛していますけど、すべての意見を尊重していくので、嫌われたら仕方がないです(笑)。

-「多重星」はロマンチックでセンチメンタルなラヴ・ソングで、挫・人間らしい曲だと思いました。

女性が誰かを追い掛けていく曲を作ろうと思って、ファンタジーのつもりで書いていきました。どこまで追い掛けさせようかな......と思って宇宙まで追ってもらいまして。本当は宇宙に行って無重力の中で涙を流して、涙の粒があたりに散らされる、みたいなロマンチックでセンチメンタルな曲になる予定だったんですけど、ところどころ変なワードが入ってきているので、そういう感じではなくなりました(笑)。