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INTERVIEW

Japanese

UVERworld

2017年07月号掲載

UVERworld

Member:TAKUYA∞(Vo)

Interviewer:杉江 由紀

-となると、技術的な部分以上にメンタルの調整が最初に必要になってきそうですね。

あぁ、そうですね。要は、それもあって僕は自分で歌を録るようになったんですよ。どうしても、スタジオにエンジニアとプロデューサーがいて、という状況だといつまでに行っていつまでに終わらせて、という縛りがある程度は出てきてしまうじゃないですか。それが自分にはどうも向いていないんです。例えば、朝起きて調子が悪ければ、その日はもう"やーめた"ってしたいし(笑)、夜中だろうと何だろうと"おっ! なんか今、調子いいかも!!"ってなったらその時点ですぐに録り始めたいですからね。自分で録ると、メンタル的にも体調的にも最も整った状態でレコーディングに臨めるんです。

-では、レコーディングを進めていくうち停滞モードに突入するようなことがあった場合はどうされますか?

そこは僕も神経質やから、細かいことを気にしだすと"ここは部分的に録り直そう"、"ここだけ録り直そう"ってなりかねなくて(苦笑)。あとは、今って機械で録った歌もいじって直せちゃいますからね。ただ、そういう切り貼りみたいなことをやっちゃうと絶対に歌が平坦で無機質なものになってしまうので、歌った本人は"きれいにできた"と満足できるかもしれないけど、聴いている側からしたら面白みも人間味もない歌になってしまう恐れが出てくるんですよ。それはどうしても避けたいので、歌で気になるところがあったら僕は千本ノックすることにしてます。気に入るまで歌い続ける。

-スパルタですねぇ! さすがはTAKUYA∞さん、ストイックの極みです。

いやほんとね。そのおかげかデビューしてからのこの12年くらいで、歌は"ちょっとずつでも成長していくもんなんやな"と自分でわかるくらいにはだんだんとなってきましたよ(笑)。実際、キー的にもデビューのころにしんどいなと思っていたのはBだったのに、今だったらEまで出るようになりましたもん。

-3音も上がるとは素晴らしい! 先ほど、TAKUYA∞さんは身体に筋肉がつきやすいとおっしゃっていましたが、要は声帯も筋肉ですしね。やればやったぶんだけ、強化されやすいのかもしれません。加えて、喉に対するマネージメントやケアも完璧なのでしょうね。

そこは病的にやっている、と言っても過言ではないです。誰よりもやっている自信がありますね。加湿とかは当たり前のこととして、このところは普段の食事も喉のことを考えた内容にしているんですよ。

-喉のための食事とはいったい......?

自分の体質を調べる遅延型フードアレルギー検査というものがあって、それは即時型ではなく、食べて1週間とか経ってから症状が出るようなものまで詳しく調べる検査なんですね。遅延型のアレルギーがある場合、特定の食べ物によってのちのち声帯がむくんでしまったりすることがあるらしいんです。

-遅延型アレルギーというものを、初めて知りました。

僕はそういったアレルギー物質を摂らないようにすることによって、声帯をよりベストな状態に保てるということを数年前に知って以来、乳製品、卵、小麦は食べるのをやめました。今はカフェインも摂ってないです。

-そういえば、以前ライヴのMCでTAKUYA∞さんは"グルテンフリーの生活をしている"という発言をされていましたが、さらに食事制限の幅が広がってしまわれたのですね。

基本的に飲み物は水しか飲んでいないし、食べ物もかなり限られてきますね。正直、だいぶキツいです(苦笑)。キツいんですけど、喉の状態は抜群に良くなってます。そして、千本ノック状態で自分を追い込みながら歌って、少し喉が腫れることがあったとしても、治りが断然早いんですよ。よく、僕は喉が強い人と思われがちなところがあるんですけど、別に全然そんなことはありませんから。それどころか人より弱いくらいで、そのぶんケアを人よりもたくさんする必要があるんです。

-UVERworldの歌は聴くからに難しいものが多いですし、カラオケなどでもおいそれとはマネできないような曲がたくさんあります。そのくらいの完成度を誇る歌を次々と具現化できているのは、喉に対する万全な管理体制とプロ意識があるからなのですね。

カラオケか。たしかに、たまに行って友達にUVERworldの曲を歌わせられるとメッチャ難しいです(笑)。


僕らがバンドとしてこれだけの振り幅があるということを、いろんな人に知ってもらえると嬉しい


-それでいて、UVERworldの曲は聴いているとつい歌いたくなるようなキャッチーさに溢れているものも多いですから、聴き手側からするとそこはなんとも心憎いです。なお、TAKUYA∞さんとしては今回のシングル『DECIDED』をリスナーのみなさんにどんなふうに楽しんでいただきたいとお考えですか?

なかには、映画"銀魂"を観て初めてUVERworldのことを知る人もいるかもしれないし、"銀魂"が好きだからこのシングルは買ってみるよ、という人もいると思うんですよ。せっかくなので、僕らとしては表題曲の「DECIDED」だけじゃなく、収録してある2曲目(「RANGE」)、3曲目(「DIS is TEKI」)もすべて楽しんでほしいですね。それも考えたうえでの、あえてのこの選曲ですから。「RANGE」は今後ライヴの中でも重要な場面で演奏する曲になっていくやろうし、「DIS is TEKI」はそれとはまたまったくの別方向に最高にブッ飛んだ曲になっているので、僕らがバンドとしてこれだけの振り幅があるということを、よりいろんな人に知ってもらえると嬉しいです。僕からすれば、「DECIDED」は映画のタイアップがあったからこそこういう曲になったというか、意図的にこういう聴きやすい感じに仕上げたところも大きくて、UVERworldとしてはちょっとイレギュラーで異色な曲だと思っているくらいなので、この3曲を通じてUVERworldの存在感が伝わってくれるといいなと思います。

-2曲目の「RANGE」については、今しがた"今後ライヴの中でも重要な場面で演奏する曲になっていくやろうし"との発言がありましたが、この曲はそもそもどのようなヴィジョンのもとで作られたものだったのですか。

僕は普段から、曲を作るときに何かしらの映像を観ながら作ることが結構あって、この曲については日本武道館や横浜アリーナといった大きな会場でやったときのライヴ映像を観ながら作ったんですよ。それもあって、この曲にはみんなにも歌ってもらいたいなと思うパートを設けたんです。みんなで一緒にシンガロングしてもらいながら、僕がその3度上で歌っていくみたいなシーンをここからのライヴでは作っていけたらいいなと思います。歌詞の面では、自分たちの行きたいところまで行こうというようなことを歌っていますね。

-だとすると。意味合いとして考えるなら、「RANGE」は「DECIDED」と通ずる部分がある歌詞になっているのではありませんか。選びたいものを選び、行きたいところに行くという姿勢を持っているという面で。

あぁ、そうですね。なんでもそうですけど、範囲とか限界を自分で"ここまでだ"って決めてそこに留まってしまうのは、つまらないなと思うんですよ。それよりも、自分が本当にどうしたいかを真剣に考えるべきなんじゃないのか? というところは、この2曲の間の接点になっているとも言えます。