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INTERVIEW

Japanese

岡崎体育

2017年07月号掲載

岡崎体育

Interviewer:石角 友香

-今流行ってる音楽でも、リスナーは全部聴きはしないじゃないですか? そういう意味では、このアルバムはトレンドの入り口にもなっていて。

今、リバイバルが流行ってるというか、オールドスクールなジャンルをリバイバルでやってるアーティストさんもいますが、僕はそこで一役買うみたいな意識は特にないです。でも、ファンクの曲を今回やって、実際にRay Parker Jr.っていうほんとに大御所の方がギターを弾いてくれてたりするので、今の若い子が"え? Ray Parker Jr.って誰なんやろ?"って気になって調べて、Ray Parker Jr.の曲を聴いてみてくれたら、作った側としてすごく嬉しいなと思いますね。

-そういう岡崎体育さんらしい労作もありつつ、「Horoscope」(Track.4)みたいなギャグの曲があったり。この曲ってバカバカしく聞こえるけど、結局占いじゃなくて、自分で頑張れって曲で。

そうですね。サビで言ってるとおり、人になんやかんや言われるより自分で考えてやりや、っていうのが裏テーマです。

-「まわせPDCAサイクル」(Track.5)は五月病の人とかに響きそうな社会人の曲です。

これはもう捨て曲ですね、アルバムの中ではどうでもいい曲です。完成するまでに2日しかかかってないし、テレビ見ながら歌詞を書いたので。ほんとはこれじゃない曲が構想にあったんですけど、とあるアーティストの方が、僕がリリース前に想定してたテーマの曲をすでに世に出されたので、泣く泣くその曲を却下して、新たに急遽入れ込んだ曲だったんですよ。でも、結構リラックスして作れたし、サウンド的にも一番僕に近いテクノ・ポップっぽい音で作れた曲だったので満足してます。別に心の底からほんとに捨て曲だと思ってるわけではないです。

-(笑)個人的に好きだったのは「観察日記」(Track.8)で。リリカルですね。

これは僕も結構こだわって作ったうちの1曲です。インタールードのあとに入ってる曲なので、比較的、真面目な曲という意識を持って収録してるんですけど。ほんとにこれも80年代、90年代みたいな音楽のリバイバルをやってみようと思って作ってみた曲なので、ここを評価されるのは僕としても嬉しいですね。

-すごく本音っぽい歌詞だと思って。"眼にまだ牙が生えているうちは"という歌詞は、まだ自分が鋭いというか、いろいろと見過ごせないってことじゃないですか。

20代という若い感性のうちにできるだけいろんなものを観察して分析して、世の中に馴染むためには、僕としてはどういうふうに考えたら一番いいか? とか考えてて。それをやっていくなかで、楽しいこともありますけど、ちょっとめんどくさいなとか、しんどいなと思うときもあるんで、サビの最後に書いてある1行("しんどいなら辞めりゃいいよ")で、自分がほんとにしんどくなったときに、自分に慰められて、それでも"いや、そんなことない。俺、まだできるよ"って言って、まだまだクリエイティヴな人生を歩んでいこうと思いますし。

-自分に励まされることを想定して作ってる?

そうですね。サビに関しては等身大ってわけではないですけど、なんとなく自分の主観とか、個人的な感情が入ってる曲ではありますね。だから自分がジジイになったときとかも、"2017年にリリースした2ndアルバム、こういう気持ちとかこういう感覚で作ってたんやな"って思い出せたら、それは作品作りとしてすごく意味のあることやと思います。

-リバイバル感で言うと、それこそ1998年ごろのくるりSUPERCARのようなイメージがありました。そういえば岸田(繁)さん、Twitter上で岡崎体育さんのことをすごく励ましてますよね。

わざわざLINEでメッセージを送ってくれたりとか、結構気にかけてもらってます。同じ京都出身というのもありますし、僕の作品作りにもいい印象を持ってくれているので。大学時代にコピー・バンドやってたんですけど、そのとき、初めてライヴハウスでやった曲がくるりで。そういう過去が僕にあったんで、初めてライヴハウスでやった曲を作った人にこうやって褒めてもらってるっていう現実は、今、信じがたいものですし、でも、もちろん認められたというところで自信にもなります。すごくありがたい、嬉しい存在ですね。