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INTERVIEW

Japanese

majiko

2017年02月号掲載

majiko

Interviewer:沖 さやこ

ロック、ジャズ、ファンク、エレクトロニカ、民族音楽など独自の感性で融合させ、闇の中の希望や感傷をエモーショナルに歌い上げる、ネット・シーン発の実力派女性ヴォーカリストが"majiko"としてアーティスト活動を本格始動させる。作詞作曲はもちろん、編曲も手掛け、イラストも描くなど歌以外にも多彩な才能を持つ彼女のデビュー作の名は"CLOUD 7"。ストレイテナーのホリエアツシがプロデューサーとして彼女の世界観をアシストしている。マルチ・アーティストとして才能を発揮する彼女の実態とは?

-majikoさんは"まじ娘"として2010年からネット・シーンで活動するようになり、2015年に1stフル・アルバム『Contrast』をリリースしてます。ストレイテナーのホリエアツシさんが作詞作曲した「アマデウス」など、収録楽曲の作家さんからもmajikoさんの音楽思考がわかりますが、majikoさんが作詞作曲編曲した「end」も収録されています。曲はいつごろから作っていましたか?

高校1、2年生のときにバンドをやっていて、そのときはメンバーとセッションをして作っていたんですけど、"ワンフレーズだけ作る"のを始めたのは高校3年生のころからです。『Contrast』をリリースするにあたって(スタッフから)"1曲書いてもいいよ"と言われて、本格的に曲作りをしたのが「end」で。アコギの弾き語りみたいな簡単な感じでデモを作るつもりだったんですけど、ギター入れたらベースも入れたくなっちゃうし、そうなるとドラムも入れたくなっちゃうし――いまもそうなんですけど、私はデモの時点から"自分の中の完成"まで持っていかないとダメなタイプなので、歌のエフェクトからコーラスまで入れるんです。「end」もそういうふうに作りました。

-それを錚々たるメンバーが生演奏でレコーディングしてくださったと。

はい、嬉しい限りです。みんな楽譜がないのに耳コピしてくれて......楽譜作れよ! って感じですよね(笑)。"こことここを押さえたらなんかいい音出るから、こんな感じにやろう"という感じで作っちゃうので、自分で楽譜に起こせなくて。

-感覚派だ。majikoさんはお母様がヴォーカリスト/ヴォーカル・トレーナーというのもあって、幼少のころから様々な音楽に触れていたんですよね。

家では常に音楽が流れていたので、ジャズ、ファンクとかいろんなものを聴いていて。雑食でしたね。特にSYSTEM OF A DOWNとかKULA SHAKERみたいな民族音楽を取り入れているバンドが大好きなんです。小学生のころに夏は必ずマレーシアに行く生活をしていて、イスラムの国だから1日に何回かコーランが流れるんですよね。自分の作る曲にはそのニュアンスが如実に出ているなぁと思います。

-2ndフル・アルバム『Magic』は自作曲が半分を占めていて、ホリエさん、haruka nakamuraさん、the band apartの荒井岳史さん、locofrankの森 勇介さんが楽曲提供なさっています。アーティストとしてのmajikoさんの大きな一歩となる作品なのでは。

そうですね。私の作った曲がメインになったアルバムで、初めて明るい曲を書くことにも挑戦して......明るい曲を書くのが苦手なんです(笑)。タイトル・トラックの「Magic」もすごく暗いものとちょっと頑張って作った明るいものの2パターン作ったら、"やっぱり明るい方でしょ"と言われて"やっぱりA面だし頑張って明るいものを作るか"と「Magic」を完成させて――それがリクエストに応えて作れるようになったきっかけにもなりました。『Magic』は"ちょっとこの音を加工してみたらどうなるだろう?"、"ここに音を入れてみよう"みたいに実験ができたので、徐々に成長できているかもしれない。

-そういう積み重ねがあって、今回"majiko"名義で再メジャー・デビュー。拠店特典のイラストをお描きになったりと、マルチに活躍できるアーティストとして新しいスタートを切るわけですね。

すごく負けず嫌いだから、"歌い手出身のヴォーカリスト"でまとめられるのがすごく悔しくて。だから自分で作詞作曲もするし、"全部ゼロから自分で作ってるんだ!"というのを見せるにはどうしたらいいかな? と考えたときに、編曲からディレクションまで全部私がやるぞ! と思って。自分が自分を認めてあげられる要素はそこしかないから、これからも頑張って勉強していきます。


これからどんなことがあるかわからないけど、ここにちゃんと帰ってこれれば大丈夫


-ここ数年、tofubeatsやDAOKOさん、ぼくのりりっくのぼうよみなどネット・シーンをきっかけに現れる若いアーティストは多いですが、ネット・シーンでなくてもmajikoさんみたいなアーティストはあまり思いつかなくて。UAやCoccoに近いのかな? とも思うけれど、majikoさんは自作はもちろんアレンジまでしっかり作り込むタイプだし、だからといってシンガー・ソングライターという言葉もあまりしっくりこないし。

バンドでもないし......私、何なんだろう(笑)!? 基本的に自分のことはあまり好きではないけど、少しでも認めてもらえるきっかけができたらそれに越したことはないから。今回はイラストも描かせていただいてたり、自分にできることは全部やろう! というスタンスです。2016年12月に渋谷WWWでワンマンをしたときには初めてライヴでギターを持って歌ったりして、挑戦しました。どんどん前に進んでいくぞ!

-その姿勢どおり、今作『CLOUD 7』はmajikoワールド全開の、なかなか攻めた作品になっているなと。

"これからどんなことがあるかわからないけど、ここにちゃんと帰ってこれれば大丈夫"と思う作品を作ったつもりです。12月のワンマンで『CLOUD 7』の曲たちも演奏したんですけど、これまでと違う雰囲気の曲でありながらファンの方々に"良い"と言っていただけて、おまけにどの曲も同じくらい好きだと言ってもらえたので、嬉しかったです。