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INTERVIEW

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majiko

 

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Interviewer:三木 あゆみ

majikoがすべての楽曲の作詞作曲を自ら手掛けたフル・アルバム『世界一幸せなひとりぼっち』をリリース。全編自身が手掛ける作品は念願だったという彼女のソングライターとしての制作意欲が存分に感じられる、渾身の1枚に仕上がっている。また今作は、本人が"2020年になってこのアルバムを出せたことには意味があると思っている"と話すように、この時代に生きる"ひとりぼっち"たちに寄り添うメッセージも溢れており、様々な気づきや救いも感じられるアルバムとなった。今作への想いをmajikoに語ってもらった。

-今作、聴かせていただいたのですが、本当に素晴らしい作品でした。まさに渾身の1枚というのが伝わってきて。すべての楽曲の作詞作曲をmajikoさんが手掛けたフル・アルバムというのは初とのことですが、完成してみての手応えはいかがですか?

自分でここまで書くことができたという達成感がすごくあります。今まで書いたことがない曲調があったり、亀田誠治さんにアレンジをしてもらった曲があったり、めっちゃ盛りだくさんで、充実したアルバム制作でしたね。

-これまでもmajikoさんが作詞作曲を手掛けた曲は作品に収録されていましたが、今回の作品では以前に比べて変わったところなどはありましたか?

個人的には意識が変わったなと感じています。2020年になって、みんな不安な時代を過ごしたかなって思うんですけど、そういうなかで自分との対話みたいなものが多くなったり、人との対話で救われることもあったりして。自分ってもっとこうしなきゃいけないんじゃないかなとか、こんな作品を出したほうがいいんじゃないかという意識は、今までと比べてめちゃくちゃありました。

-今作のテーマは"別れ"ということなのですが、アルバムの構想自体はどのような経緯でできていったんですか?

別れをテーマに始まったんですけど、こういうパンデミックみたいな世界になってしまって、別れ以外にもテーマがあるなって書いていて気づいたんです。聴いてくれる人に寄り添う歌詞を書きたいとか、こんな時代になって音楽の重要性というのが下がっているのがわかって、平和の上で成り立っているエンターテイメントだったんだなと思い知って、そのうえで音楽しかない自分に何が書けるのか、みたいなものはすごく考えました。2020年のこういう時代になってしまったからこそ書けた作品になったと言ってもいいと思います。

-たしかに、こういう時代にリンクして、いろいろなことを考えさせられる楽曲も含まれている印象はありました。ちなみにタイトルの"世界一幸せなひとりぼっち"は、前回のフル・アルバム『寂しい人が一番偉いんだ』(2019年リリース)のタイトルにも通ずる部分があるんでしょうか。

なんか、誇張癖がありますよね(笑)。きっと通ずるところはあると思うんです。今、私はこういうことを書かなきゃいけない時期なんだろうなっていうのがあって。過去の悲しかったこと、身を裂くような悲しい思いというのを、何年か経った今、こうやって自分の中で昇華して、作品として誰かを助けるようなものになればと、きれいごとですけど思っていますし。あと、今回は『寂しい人が一番偉いんだ』よりもポジティヴな世界観になったのかなと感じていて。2020年はリモートとかも結構普及したじゃないですか。そういうなかでひとりだけどひとりじゃない、ネットを開けばすぐに誰かと話せるみたいな、それを孤独ととるか、幸せととるかは人それぞれですけど、私は幸せなことだなと思っていて。どこかで繋がっているのは大事なことだし、そういうことを踏まえても、2020年にぴったりなタイトルになったんじゃないかなと個人的には感じています。

-その"世界一幸せなひとりぼっち"を冠した表題曲についてですが、MVを発表したときのコメントの"誰もが出会うであろう別れは、悲しいことだけど、もらった思い出や愛は一生消えないものだ"というmajikoさんの言葉には、すごく共感できるところがありました。これについて、majikoさんの想いを詳しく聞かせていただけますか?

私は5年前に母を亡くしていて。母とはすごく仲が良かったし、師匠でもあり親友でもあったので、亡くなったことに対して見ないふりというか、やっぱり考えると悲しくなっちゃうので、まだ昇華しきれてないところもあるんですよね。でも受け止めて、その先に進まなきゃいけないというところに自分は立っているなと思っていて。この「世界一幸せなひとりぼっち」については、まだ全部の想いは書ききれていないんですけど、この曲に想いを残しておこうという気持ちで書きました。

-そうだったんですか。

でも、今までは母が亡くなったとか言うのアレかなと自分では思ってたんです。それはリスナーには関係のないことだし、関係ないっていうスタンスでいてほしいし、軽い気持ちで受け止めてもらえれば良くて。楽曲に脚色はあまりつけたくないので、みなさんが思うこの曲の解釈で全然いいと思っています。

-母に関する曲だと「エミリーと15の約束」(『寂しい人が一番偉いんだ』収録曲)が頭に浮かびます。majikoさんの中にそういう想いを書きたい気持ちは以前からあったのでしょうか?

書きたい気持ちはあったんですけど、どうしても言葉にできなくて。簡単に言葉にできるようなことじゃないと自分では思ってたんですよね。でもカンザキ(イオリ)さんが、私は母を亡くしたとかひと言も言ってないのに、ああいう曲(「エミリーと15の約束」)をくださって。母に重ねてみたりもしてたんです。「エミリーと15の約束」は自分の中で結構救いになっていて。だから今回、「世界一幸せなひとりぼっち」という曲が書けたんじゃないかなと思ったりもしますね。

-また、この曲では亀田誠治さんをプロデューサーとして迎えていますよね。実際に一緒に制作をされてみていかがでしたか?

「世界一幸せなひとりぼっち」の曲を作るときって、デモの時点でガチガチに自分でアレンジまでしちゃったんですけど、亀田さんはアーティストの意向みたいなものをすごく大事にしてアレンジをしてくださって。音楽的にも尊敬できる方ですし、本当に優しい方だなと思いました。母とも面識があったみたいで、"もしかして娘ちゃん?"みたいな感じで話をしたこともありましたし、亀田さんがコメントで、"ずっと一緒に音楽を作ってきた仲間がそこにいるような気持ちになりました"って書いてくださっていて、ほんとに嬉しかったですね。あとは、レコーディングも普段はひとりひとり録って重ねていくことが多いんですけど、「世界一幸せなひとりぼっち」は、亀田さんと周りのミュージシャンの方たちがいっせーのせで録り始めたんです。"大御所ってヤバい"みたいに思って(笑)。あれはほんとにすごかったですね。

-その光景は想像しただけで、圧倒されますね。そして、林 響太朗さんによるMVも強く印象に残りました。あの爆発にはすごく驚いて。

思い切ったなぁと(笑)。林監督とこのMVの話をすることになったとき、"なんかさぁ、燃やしたいよね?"、"燃やしたくない?"とか言い始めて(笑)。私も面白そうだなと思ってそれに賛同しました。そしたら、あんな感じになるとは......。撮影の日、昼間に練習で1発だけ爆発させて、どのくらいの音なのか、威力なのかを試したんですけど、もう鼓膜が揺れるくらいで。"うえぇ、デカっ!?"みたいな。だからMV本番の撮影のときは、耳栓をしていました。戦隊モノとか、あんな爆音爆風の中でやってんだとか思ったらすごいなと思いましたね。

-映像で観ても、あの爆発はものすごい威力なんだろうなと思っていました。

AメロとかBメロとかの火に囲まれながら歌っているシーンも、すごく火が近かったんです。いざ撮影するってなったときも"majikoさん、もしカメラまわってたとしても、ヤバいと思ったら逃げてください"と言われて(笑)。

-(笑)

私は身が焼けなければ続行でいいかなとか、髪の毛が少し燃えるくらいならいいかなとか、考えてたほどテンションが上がっていたんですけど(笑)。でも、どこも燃えなくて良かったです。楽しかったですね(笑)。