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INTERVIEW

Japanese

majiko

 

majiko

Interviewer:三木 あゆみ

やっぱり、こういう世界になっても繋がっている人は繋がっているんだなと実感しました


-なるほど。そして、たぶんそうも言ってられないのが「一応私も泣いた」なんですよね。この曲を書こうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

今年はいろんなことがあって、自殺をしてしまう方とかも多かった1年だったと思うんですけど。そういうなかで、私自身、親族が亡くなったときどうだったかなと考えて、涙はすぐに出ない――でも周りが泣いているから、理解はしてないけど一応泣いておこう、みたいなことがあったりして。あのときどんな言葉が欲しかったんだろうとかを考えていたんです。でもきっと、最後にちゃんとひとりになって悲しむ時間を経てから、前に進めるというのはあると思うんですよね。この曲の主人公は最後にしっかりと悲しむことができたから、前に進むことがきっとできるだろうという、ポジティヴな解釈なんです。あと「一応私も泣いた」は、まずタイトルが先にあったんですよ。夢で親戚に"なんであんたはこんなことがあったのに泣いてないのよ!"と泣きながら怒られて、"え、じゃあ泣きます"って泣いたことがあったんです。それで、その夢のことを親族に"一応私も泣いたんだよね"みたいに話したときに、"一応私も泣いた"という言葉が残って。で、今回この曲を書いたときに、"一応私も泣いた"がタイトルにぴったりじゃないか、と思って、そのままサビもできていったという感じなんです。

-そうだったんですね。この曲は、忙しさや日々に流されて、前を向くために必要な時間を止めてしまったり、自分のために悩む時間を忘れてしまったり、人それぞれあると思うんですけど、そういうことをふと気づかせてくれるような曲なんじゃないかなと感じていました。この曲が誰かに届くことに対してmajikoさん自身はどう考えていらっしゃいますか?

共感とまではいかないけど、"なんとなくわかる"とか"やっぱりそうだよね"と思ってほしいなと思います。"自分はなんて冷たい人間なんだ"とか全然思わなくて良くて。それは自分の気持ちが追いついていないだけだし、日々の喧騒の中で生きていかなきゃいけないからしょうがないことだし。でも、その中でもしっかり悲しむ時間は作れるというか、そういう時間は来るものだから、大丈夫って。

-大丈夫と言ってくれることもすごく心強いです。そして、最後の曲が「エンジェルナンバー」ですね。この曲で書きたかったことはどういうことだったんでしょう。

自分ではない誰かへの応援ソングを作ってみたいと思っていて。2020年はコロナが流行ってしまって、何か書きたいなと考えていたところで書いたのがこの曲なんですけど、すごく難しかったですね。自分のことに関しては書けるんですけど、誰かを気遣って何かを言うってすごく難しい......でも書いちゃえと思って書きました。よく見る数字、例えば、ふと時計を見たときの時間とかのことを"エンジェルナンバー"と言うらしいんですよ。ちょっとスピリチュアルですけど、"天使からのメッセージ"の曲なんです。"あなたは気づかないけど、天使はちゃんと見ているよ"っていう曲だったりするんですよね。

-majikoさん自身が言われたい言葉も歌詞に入っているんでしょうか。

そうですね。実際に私が救われたって感じてる言葉も入っていると思います。"恥じることはない"とか。それと、今の時代って、若者が誰かを刺すよりも自殺をしてしまう時代というか、怒りを外に出せずに自分に向けちゃうところがあるのかなって考えていて。だから、もっとみんな怒っていいのに、とは感じてたので、そういう部分も入れましたね。

-そういう内に閉じ込めてしまう人の気持ちもわかりますし、実際に人に話してみると"なんでもっと早く言ってくれなかったの"みたいに言われてしまうこともあったりしますよね。この曲を聴くと、そういうことも"それでいいじゃない"と許される、楽になる感覚があります。

言ってくれればって言うけど、言えるわけないじゃんって思っちゃいますよね。言ったところで物事の解決にはならないし、聞いてほしいというレベルの話じゃない場合もあるじゃないですか。そうなったときに私たちはどうやってそれに気づけるのかが課題というか......。例えば、電車で人身事故が起きたとき、遅延したらたしかにイライラしますけど、最後の最後に社会に報復してやろうという気持ちもわかるというか。もう死というものに慣れてる世界だから仕方ないかもしれないですけど、"迷惑だから他所で死ね"とか、みんなめっちゃ冷たくてネガティヴなイライラを持っているなって感じるんですよ。でも、そういうなかで"もっと力抜きなよ!"みたいなことを言える曲になってたらいいなと思いますね。

-では、改めてご自身で振り返ってみて、今作『世界一幸せなひとりぼっち』はどんな作品になったと感じていますか?

2020年になってこのアルバムを出せたことには意味があると思っています。それに、全曲の作詞作曲っていうのは自分の中でほんとに夢に見てたことだったし、先日初めてVTuberの方に曲を提供したんですけど、私は歌も作詞作曲もやっていきたいんだなと改めて感じたアルバムになりました。まだ、全然未熟なんですけど、すごく楽しかったですね。

-ソングライターとしてのmajikoさんが、より色濃く感じられる作品でもあるのかなと思います。

ありがとうございます。でも、ひとりではここまでできなかったと思います。"majiko頑張れ"と言ってくれる人たちがいたからこそできたアルバムなので。やっぱり、こういう世界になっても繋がっている人は繋がっているんだなと実感しました。不安でどうしようもなくなりましたけど、前しか見ることはできないと思いますし、2021年とその先も含めて、一歩ずつ進んでいけたらと思えるアルバムになったと感じますね。

-そして、12月21日には、"majiko ONE MAN LIVE 「世界一幸せなひとりぼっち達」"が豊洲PITで開催されますね。こちらはどういうライヴになりそうでしょうか?

バンドとしてのライヴは1年ぶりになるんですよ。全席入れることはできないし、マスク着用や大声を出せないなどの制約はあるんですけど、久しぶりにみんなに会えるのはすごく楽しみです。遠くに住んでる方や行きたくても行けない方のために配信も行うので、majikoが好きだと言ってくれる方の少しでも近くにいれたらなという志でやりたいですね。1年ぶりですごくなまってそうで、どうなるんでしょうっていうのもありますけど(笑)、何よりも楽しみな気持ちが一番です。