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INTERVIEW

Japanese

majiko

2017年02月号掲載

majiko

インタビュアー:沖 さやこ

-タイトルは"cloud nine(最高に幸せ)"や"seventh heaven(天国の最上位)"に由来する"cloud seven"から?

そうです、そうです。これらの言葉に関して諸説あるみたいですけど、天国という意味で"CLOUD 7"という言葉を使いました。「Lucifer」(Track.6)はなんてったって地獄を描いた曲ですから、最後にしようというのは決まっていて。そしたら(ex-AIR/Laika Came Backの)車谷浩司さんが作ってくださった「SILK」(Track.2)の"蜘蛛の糸 紡ぐ人"という歌詞がカンダタ(※芥川龍之介の小説"蜘蛛の糸"の主人公。仏教説話に由来する)っぽいなと思って、「SILK」から「Lucifer」に落ちていくような群像劇が作れたらと思ったんですよね。そこに向かう先には様々なことが繰り広げられていたよ、というような作品というか。

-天国から地獄へ行くまでの過程を描いたもの。

私は両手を上げて喜べるような曲が書けなくて......そんなふうに思うことがないんです。明るいものもどこかしら晴れ曇りだったり、泣き笑いだったり。私自身もそういうものに惹かれるんです。行きすぎて真っ黒になっちゃうこともあるんですけど(笑)、どこか寄り添えるような曲を作れたら、と思うんです。

-そういう物悲しさや心地よさがどちらも存在している作品だと思いました。まず車谷さんに楽曲制作をお願いした経緯は?

高校時代に同世代の友達がいなさすぎて(笑)、組んでいたバンドも大人ばっかりだったので、そのときからめちゃくちゃ車谷さんの曲を聴いていたんです。それがお願いしたきっかけでした。車谷さんから"俺のどんな曲が好きなの?"と聞かれたので"これとこれの、ここの部分がこうで、ここがヤバいです!"と熱弁をして(笑)。特に私はAIRの「触れていたい」(1999年リリースの4thアルバム『FREEDOM/99』収録曲)がすごく好きで、『mirror』(2015年リリースの1stシングル)に収録した「ダージリン」もそれに影響を受けて作ったんです。そしたら車谷さんが「SILK」のデモを送ってくださって、聴いてみたら「触れていたい」のニュアンスが入っていて......本当に嬉しくて。"タイトルはmajikoがつけていいよ"と言ってくださったので、自分の好きな歌詞とアルバムの世界観の要になればいいなと思って僭越ながら"SILK"というタイトルをつけさせていただきました。

-1音1音の存在感があって、アルバムの始まりにぴったりの楽曲だと思います。

私の好みを一発で見抜いてくださって、"歌詞は外国の人が聴いても耳障りがいいものを選んだつもり"とおっしゃっていて、さすが車谷さん! と思いました。おまけにコーラスまで入れてくださって......。それでちょっと一緒に歌ってる感を出したくて、恐縮しながらラスサビで私もコーラスを重ねちゃいました(笑)。

-ははは(笑)。歌い出しのインパクトも大きいですし、歌声を立たせるアレンジメントだとも思います。majikoさんの歌の持つ力の大きさを痛感する曲でもありました。やはり心の深い部分で歌っている人だなと思うので。

自分は歌しかない、音楽しかないと思っているんです。私は昔、すごく引きこもっていた時期があって。部屋のブラインドを閉めて、黒いカーテンで覆って、朝も夜もわからないような空間でずっと歌う――そういうことを半年以上ずっとやっていました。(こうやってアーティスト活動ができているのは)それのおかげもあるな、と思っていて。正規ルートではないかもしれないけど無駄じゃなかったかもな、と思います。どんなときも音楽はそばにいたので。ストレイテナーも車谷さんの楽曲も、歌わせていただいた曲たちはそういうときに聴いていたものばかりで......。いやー! まさかそんな方々とご一緒できるなんて!

-いい話です。これぞ音楽の力ですよね。今回ホリエさんはトータル・プロデュースをなさっているんですか?

私が作ってきたものに対してバンド・アレンジをする際に、"ここをこうした方がかっこいいんじゃない?"、"俺ならここをこうするけどどう思う?"みたいに監修してくださって。「Lucifer」は"ここ音抜いた方がいいんじゃない?"と言ってくださって、実際やってみたらすごくかっこよくて"さすがや!"と。

-「ノクチルカの夜」(Track.3)は本格的なジャズ・アレンジですが。

父と母がジャズ畑の人間なのでジャズは触れてきたはずなんですけど、これは私にとっても挑戦で。「ノクチルカの夜」は舞浜でコンビニに行った帰りにコケて、服は無事なのに血がどばどば出てきてしまって、そのときたまたま赤信号だったことがきっかけでできた曲なんです。そのときに"赤信号だと止まっていても許される。このまま赤信号のままだったらいいのにな"と思って。それであのときに感じた気持ちを曲にしたいなと思って後日ギターを手に取ったとき、たまたまシールドが壊れていて音が出なくて、じゃあピアノで作るか......とできた曲なんです。

-だからジャズ・アレンジになったんですね。歌詞の面で言うと、ノクチルカ=夜光虫は夜に青く光る、昼は赤潮として目に入る。それと赤信号がリンクしていて。

あぁ! ばれちゃった(笑)! どれも自分に正直に綴ったものなんですけど、この曲は特に実話で。"わたしの生命線は とても短いのです"という歌詞どおり私の生命線短いし。

-終盤に"手のひらをうまく返しながら"が"生命線"と繋がるなとも思って。これもmajikoさんのユーモア・センスなんだろうなと。

でも"手のひらをうまく返しながら"は自分に対しての皮肉もありますけどね。本当はまっすぐ自分を貫いていたいんですけど、どうしても"そうですよね~!"とうまいこと取り繕っちゃったりして。かっこよくいたいのにそうなれない、そんな自分を何度も見損なって......ネガティヴなんですよね(笑)。