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INTERVIEW

Japanese

植田真梨恵

2016年12月号掲載

植田真梨恵

Interviewer:石角 友香

2015年8月の「わかんないのはいやだ」から今年10月の「夢のパレード」まで、4曲のシングル表題曲を含む、ひたすら前を向き疾走してきた2年弱の植田真梨恵が凝縮された2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』がリリースされる。バンド・サウンドもピアノと歌の1対1の緊張感も、遊び心が溢れるチェンバー・ロック風も、根本には歌を作り表現を始めたころからの"シンガー・ソングライター 植田真梨恵"個人の覚悟や意志が息づいている。とはいえ、ライヴ・ツアーや数多の夏フェス出演、そして短い期間でのリリースという怒濤の季節を過ごしたことも事実。このアルバムについて、ここに至る想いも含めて話を訊いた。

-これだけキャラの立ったシングル曲を、よくぞアルバムの中に溶け込ませられたなぁと思いました。

そうですね、心配なところでした。自分の中では結構変化があったと思っていたので。ただ、その間に書いていた曲が歌詞に"夢"って入る曲ばかりで、思えばシングルのテーマも結局、夢のことを歌っているなと思ったので、"夢"でまとめてみました。

-どういうバリエーションの"夢"になったと思いますか?

書いた時期がバラけているので、集めてみたら"あぁ、夢って言ってるな"ぐらいの感じで。「悪い夢」(Track.4)が一番古い曲で、「WHO R U ?」(Track.3)に関しては「わかんないのはいやだ」(Track.2)に続く曲が欲しいなと思って書いたもので、これは夢オチの曲ですね。

-「Intro」(Track.1)の"物語が始まるよ"というイメージでアルバムが幕を開け、続いてわりとアッパーな展開で。

コンパクトだけど、内容がギュッと詰まってる曲が立て続けにトントントンとくるような感じがいいなと思って作りました。

-冒頭からずいぶんジェットコースターのような展開ですよね。植田さんのなかで、そろそろアルバムの形が見えてきたなぁって思えたのはいつごろなんですか?

この形が見えだしたのは......「夢のパレード」(Track.8)ができあがったあとだと思います。アルバム自体を意識するようになったのは、最初に「わかんないのはいやだ」ができたタイミングで。いつ出そうかな? と思いながらもシングルが続いたので、"続いたな"と(笑)。

-今年の濃厚さは、今までと何が違いました?

うーん、考えなかったですね(笑)。"あれどうかな?"、"これどうかな?"って吟味するんじゃなくて、わりともう閃きに近い感じで"あ、これがいいかも"で進めたら、"あ! 良かったかもねぇ"って。タイミングや巡り合わせに助けられた部分もあったし、勘みたいなもので動いてるっていう感じでしたね(笑)。

-それは多忙ゆえに? 今までだったらひとつひとつ考えたり悩んだりしていたけれど、今回は悩まなかったということですか?

はい。でも、思えば今まではずっと閃きでやっていることに対して裏づけを求めて、あとから"だからこうなのかもしれない"って理由をいっぱい探していただけで。このアルバムではそれがよりショートカットされて、早かったっていう感覚になっているのかも。

-実際の作り方はどんな感じだったんですか?

短い曲の中に世界観をギュッと詰め込むやり方にハマッていたので、「わかんないのはいやだ」に始まり、「WHO R U ?」が来て、自分にとって大切な曲である「スペクタクル」(Track.11)が入って。「ダイニング」(Track.5)が今回のアルバムのリード曲なんですけど、これは『スペクタクル』(2016年1月リリースの4thシングル)のちょっと前に書いてたんですね。落ち込んでる時期があって、一番つらかったときに書いた曲なんですけど、この曲をリリースすることは決めていたので、とても大切な曲だなと思いながら制作を進めていきました。

-「ダイニング」は、リード曲であるということに関係なく、大きな存在の曲だなと思いました。バンド・アレンジの大きなバージョンというか。バラードはあまりこういうサウンド・プロダクションにしないかもしれないけど、この曲はタフな感じがしたんですよね。ちょっとグランジな感じもしましたし。

たしかに。『スペクタクル』をリリースする前から「ダイニング」のアレンジに手をつけていたんですけど、そのときのイメージはもっと極端に優しくて柔らかい、もう透き通るような繊細な曲で。こんなにギターを入れたり、ゴツッとした感じをミックスで出したりする予定はなかったんですけど、このアルバムに入れるとなると、これぐらいのタフさでも歌えるなと思ったんです。そこはかなり変わった部分かもしれないですね。