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INTERVIEW

Japanese

FoZZtone

2014年11月号掲載

FoZZtone

メンバー:渡會 将士 (Vo/Gt)

インタビュアー:沖 さやこ

前進しつづける意思を込めた2013年にリリースされたフル・アルバム『Reach to Mars』から約1年5ヶ月。"火星へ到達せよ"という言葉を掲げ逞しく飛び立ったFoZZtoneが『Stomp the Earth』を経て地球へ帰還した。その名も『Return to Earth』。"土に還る=死"という意味を持つこのタイトルを掲げたこの作品は、人間の生き様が克明に記されている。skream.jpにアップされている『Stomp the Earth』のロング・インタビューに続き、フロントマンの渡會将士にインタビューをした。彼は常に反抗心、世の中への疑問と問いかけ、ユーモアを忘れない。だからFoZZtoneはいつでも、あなたに"楽しみ"とその奥にある"考えるきっかけ"を与えてくれる。その深い一歩こそが、より人生に楽しみや豊かさを得るための重要な要素となるのだ。

-フル・アルバム『Return to Earth』は、地球に帰還したというよりは、とても精神性の強い作品だと思いました。"Return to earth"という熟語の持つ"土に還る"という言葉にも重なります。『Stomp the Earth』との振れ幅にも驚きましたが、8月にインタビューさせていただいた際、渡會さんは"暗いアルバムを作ろう"というところから話が始まったとおっしゃっていました。こういう音像になっていった過程は?

まず、ずーっと前から一緒にやってもらってるエンジニアの西川(陽介)さんとは、メンバーみたいな感じでレコーディングをやっていて。それで西川さんが"世界ではこういうものが流行っていて、対して日本ではこういうものが流行っているよ"みたいなマニアックなことを教えてくれて"最近の日本のバンドの音が進化していなくて、ちょっとかっこ悪いね""音が悪くて、且つ近すぎる"ということをお互い共通認識として話していたんです。音が悪いというのは――一時期すごく激しいロックが流行って、両サイドから耳のすぐ傍でギターがガッ! と鳴ってるサウンドがあまりにも多くて。"それは誰が弾いても一緒じゃないの? それじゃあ勿体ないよね"と思って。ベーシストとかに憧れている人が昔に比べて増えている反面、ギタリストには昔かたぎのマーシャルどかん!と使いますみたいなタイプの人がすごく減ってるなと。それで(日本のロック・バンドの)みんながレコーディングをどうやってるのか調べてみたら、DI(※楽器を直接ミキサーに接続するための変換機)に突っ込んで直Pro Toolsに入れて中でエフェクトかけたりとか、結構デジタルな録音をしている人が多くて。この時代にそんなことをやっていたら無意味じゃないかなと思ったんです。

-"無意味"とは?

僕はPro Toolsで打ち込みもするんで、生の良さは身に染みてわかっていると思うんですけど、デジタルに特化したレコーディングをしていけばしていくほど"それはバンドじゃなくてもいいんじゃない?""それをバンドでやるならVOCALOIDでいいんじゃない?"と思っちゃうんですよ。だからその逆を行こうと。なるべく耳元から距離を置いて、遠いところで鳴るように録って、その音にデジタルでリヴァーブをかけると"あ、デジタルだな"みたいなちょっと変な感じになるんです。だから単純に大きい部屋でアンプをどん! と置いてマイクを近くではなくちょっと離して当てて。そういうちょっとしたことで部屋の感じというか、人間がやってます感がすごく出るんですよね。そこでパンクなリズムとかをドラムが叩くと、部屋のリヴァーブで埋まっちゃうんで、リズムがわかんなくなっちゃうんです。だから必然的に部屋鳴りを録ろうとすると、プレイをなるべく簡潔に、無駄に手数を増やさない、みたいな必要性が出てきて。テクニカルなことに手を突っ込むのは誰でもできるから、アコースティック・ギターを弾いているときに、袖がギターに当たっちゃってる音が録れちゃうくらいの、人間がやっている感じを出したかったんです。......でも実際、FoZZtoneレコーディングうまいんで、そんな袖が擦る音なんて入らないんですけどね(笑)。

-はははは(笑)。そういう部屋の反響との相性を考えながら音を作っていかれたんですね。やはりお部屋の形も影響するでしょうし。

その影響は大きいですね。天井が低いところだとドラムのハイハットやシンバルの(反響の)スピードが速くて余韻が発生しないんですけど、今回合宿レコーディングをした湘南のスタジオは天井が高いところだったんで、反響して返ってきた音もマイクが拾って。エアーを録るのに最適な場所で録音できましたね。ドラムをスネアのまん前に置くのか、すごく離したところで置くのかで、スネアの音の伸びかたが全然変わるんです。それでマイクを離せば離すほど、レコーディングが難しくなっていくんです。ま、でもこのバンドをやって11年なんで"楽勝じゃね?"って感じで録れたんで(笑)。"11周年を迎えるバンドでしかできない録音をしよう"となると、必然的にエアーをしっかり録ったものになって必要最低限のプレイになりましたね。

-録音するというよりは、その音が生じた空間を封じ込めた作品になった。

そうですね。レコーディングのスタイルも――いつもそうですけど、アンプをブースに入れて、1番広い部屋にドラムを置いて、メンバーが3人いて"いっせーの"で録るんで。5曲目に入ってる「Gloria」という曲は、『Stomp the Earth』からベースに導入したエフェクター(※ワーミー......主にギターで使われるエフェクター。元の音階をオクターブ上げ下げできる)を、キャノン(※ベースの菅野信昭)に"面白いから最後好きな感じに踏みまくってくれ、それでフェードアウトしていこう"と言ったら、みんなが演奏をバーンと終えたあともベースだけウィーン、ウィウィウィーンって踏んでて、それをみんなでじっくり見てて......その音が切れたときに最後ふっとキャノンが自分でやってて恥ずかしくなったのか笑っちゃって(笑)。その笑い声をドラムのマイクが拾ってて、その音も録ってるんです。

-そんなエピソードがあったんですか。この曲もそういう広い空気感が出たと。

あ、演奏自体はひとつの部屋でやってるんですけど、生演奏のドラムの音を打ち込みっぽくしてあったり、この曲は逆にデジタルな録りかたをしようと言ってたんです。すぐ跳ね返ってくる音は打ち込みっぽく聴こえるんですよね。余韻が長く続く音は、やっぱり人が叩いてるのもあって、同じ強さで叩いていても差が生じてくるんです。エアーが多いとそれが如実になるんですけど、「Gloria」だけはあえてマイクをぐっと近くに寄せてエアーをあまり録らない方法で録ってて。