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LIVE REPORT

Japanese

FoZZtone

Skream! マガジン 2015年02月号掲載

2014.12.23 @下北沢GARDEN

Writer Reported by 沖 さやこ  Photo by Taku Fujii, オオタシンイチロウ(scene16works)

過去アルバムのツアーの追加公演というコンセプトのもと2014年の7月からマンスリーで行われた"追加公演!"。ラストとなるこの日は"追加公演!"の追加公演、すなわち"大忘年会"として開催された。この日何度も渡會将士は気持ちのいい笑顔で"お疲れさまでした~!"と言い、彼がそう言うたびにこちらの心もすっきりしていくようだった。大忘年会であり、"追加公演!"の締めくくりであり、1年の締めくくり。やはりFoZZtoneはそういう節目にばっちりキメてくれるバンドである。筆者も"追加公演!"皆勤賞を果たし、大きな達成感をバンドとともに迎えられたような気がした。それも、常にバンドがどういう活動においてもリスナーとコミュニケーションを取ることを忘れないからだ。

1曲目は彼らの初作品である、2004年にリリースされたミニ・アルバム『boat4』からミディアム・ナンバーの「MorroW」。テンポ・チェンジやメロディもドラマティックな曲で、冬の情景とサウンドのリンクも美しい。序盤も序盤だというのに、このときからすでにクライマックスとも言ってもいいほどの強固なグルーヴが生まれていた。クリスマスにぴったりな「フラッシュワープ」の甘さと軽やかさに身を委ねていると、一転「黒点」で熱く太いサウンドを展開。菅野信昭のベースもひたすらに攻め、竹尾典明のギターも心地よいスピード感を生む。

最後を迎えることで"解放される思い"と笑わせる渡會。ほぼ時系列で展開されるセットリストで、続いて2ndフル・アルバム『The Sound of Music』セクションへ。「音楽」「茶の花」と、ステージだけでなく会場全体のグルーヴもばっちりだ。フロアからの愛情が加わることで、4人の音色もさらに鮮やかになっていく。FoZZtoneのライヴが心地よいのは、フロアとステージの自然体で強固な信頼関係によるところもかなり大きい。その後もバンドは竹尾の情熱的なギターが冴え渡る「Stone in the black boots」を「tempestoso」で挟み込んでみたり、コーラスも効果的に取り入れるなどし、フロアをさらに賑わせる。久し振りに演奏するという「Hey!Mr.Backpacker!」も渡會と竹尾によるツイン・ヴォーカル的なアプローチとハーモニーが力強く、そして滑らかだ。

イントロのアルペジオから涙腺を刺激する「口笛男」は、この"追加公演!"でもシンボリックな曲のひとつ。ずっと前進をやめなかったFoZZtoneが、この6公演で過去を振り返りながら再度吸収し、その間にも現在形となる『Return to Earth』というアルバムを作り上げた。こちらでは想像ができないほどのエネルギーを要したと思う。だがそれをバンド全体で成し遂げたことで、彼らは彼ら自身を再認識し、新たな英気を養ったのだ。ベスト・アルバム的なセットリストをひとつひとつ辿る彼らの音を肌で感じて、改めてこのバンドが自分たちの信じた道を歩んできていることを思い知る。フロアからの鳴り止まない拍手もまた、その祝福と賛辞のようだった。

"FoZZtoneが11周年を迎えられたのは、素晴らしいバンド仲間たちがいたからで。10年目のFoZZtoneを支えてくれた素晴らしいバンドの曲をやりたいなと思います"と、セカイイチとFoZZtoneの「リトルダンサー」をカバー。原曲はメイン・パートをセカイイチの岩崎 慧が歌っているのもあり、メインのメロディを歌う渡會も新鮮だ。ただ、ふたり分のパートを歌う渡會は少々ブレスなども大変そう(笑)。だがそんな様子もキャッチーかつコミカルに見せられるところもバンドの余裕である。「GO WAY GO WAY」「Master of Tie Breaker」と向かうところ敵なしのパワフルな情熱で突き抜け、2番から歌いだしてしまったというミスすらも楽しみに変えてしまうところは、これぞキャリアを重ねたバンドだからこそ作り出せる風格だなあ、と唸る。間髪入れずに渡會が"そのままお手を拝借"と言うと、すぐさま構えて「Stomp the Earth」のイントロのクラップを鳴らすオーディエンス。リリースから半年も経っていないにもかかわらずこの浸透率! FoZZtoneは本当に幸せなバンドである。ラストは『Return to Earth』の最後を飾る「Fortune kiss」。イントロでフロアから自然とクラップが沸き、渡會もそれに対して笑顔で"いいねえ"と語り掛ける。深い低音をあたたかく鳴らした菅野のアップライト・ベースも効果的。バンドが来年のツアーへとモードを移行させているような未来を向いた、希望に満ちた音色だった。

アンコールではまず、ライヴで1度も演奏したことがないという「window to window」を披露。思い思いに体を揺らし、自由に音を楽しむオーディエンスの姿も印象的だった。「Gloria」では中盤にクリスマス・キャロルの「荒野の果てに」を盛り込み、より祝祭感を高める。ダブル・アンコールは"やっぱ、こいつで締めないと"とFoZZtoneの強力アンセム「LOVE」。ここまで穏やかで大きな陽だまりのような、優しさと安心感に満ちた「LOVE」を聴いたのは初めてかもしれない。"今から始まる 今始まるんだ"という言葉が胸の中にまっすぐ響いてきた。これからもFoZZtoneは何度も始まりを繰り返す。2014年の締めくくりでもあり、2015年の布石にもなった、華々しい夜だった。

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